いつもより早く仕事が終わったら
美術館目指して歩いてみよう。
ちょっと遠回りでも
ちょっと面倒でも
子どもの頃のように「寄り道」してみよう。
きっと、心の宝物に出会えるよ。
(自由国民社「仕事帰りの寄り道 美術館」 プロローグより)
そうですね、私はお気にいりの美術館をいくつも心の中のリストに持っています。ちょっと疲れたとき、何となく鬱々しているとき、美術館の建築をみたいとき、美術館にはオシャレなカフェも併設されていて、ときにはそこでお茶をいただくときも。
私にとって夢のような美術館から現実の暮らしに戻る、さながら架け橋のような存在が美術館です。素敵な本に出会いました。
それが「仕事帰りの寄り道美術館」です。
たしかに、この20年近くで街にはアートがあふれ身近な存在になりました。
大きな展覧会だけではなく日常的にアートにふれる機会ができました。だから・・・ふらっと寄り道がしやすくなりました。この本には東京の美術館がエリアごとに写真とイラストマップ付きで掲載されています。カフェの情報も素敵です。仕事、仕事、仕事・・・そんな日常、隠れ家的なアートスペースから、明治期のオフィスビルが復元された展示室、新しい才能を発掘しつづける美術館など等、満載です。
つい先日気になっていた展覧会に仕事を早めに終えて娘と一緒に丸の内にある「三菱一号館美術館」に行ってきました。
ここの素晴らしいところは、作品との距離が近く、じっくり作品と向き合えるところ、明治の建築が素晴らしく建物、廊下、鉄筋階段、天井など、まるで個人の館に招かれたよう。
9月23日で終わってしまう『冷たい炎の画家 ヴァロットン展』です。
1865年ローザンヌで生まれ、一時期フランスに帰化し、「アンダーグランドのスイス人」ともいわれ、20年ほど前にブリジストン美術館で版画作品を観て感動したことを覚えています。けっして、広く知られてはいませんが、今回のこれほど大きな回顧展は日本で始めてです。しかも「三菱一号館美術館」での開催はもっともふさわしい場所のような気がいたします。絵の感想は申し上げません。ただ本にあるように「仕事帰りの寄り道」にはふさわしい美術館です。なぜって、アートの余韻をたっぷり楽しめるカフェがあるからです。
クラシカルな雰囲気の中で、明治時代のハイカラ文化も味わえ、私は”白ワインとナポリタン”をいただきました。陽が落ちての中庭のライトアップも素敵でした。心がとても豊かになりました。
ラジオ「浜美枝のいつかあなたと」に出版社・自由国民社の徳田祐子さんにご出演いただき企画された意図などお話を伺いました。
『夕方の美術館は、自分を見つめる場所かもしれませんね』というお話が印象てきでした。
放送は文化放送・9月21日(日曜・10時半~11時)
「浜 美枝のいつかあなたと」