第三回『箱根三三落語会』

「箱根三三落語会」を今年も、箱根やまぼうしで開催いたします。
今年36歳の三三師匠。
若手落語家の筆頭を走り、お若いのにその芸はまことに正統派。
師匠の柳家小三治師匠は「芸は自分で磨くもの」とおっしゃっておられます。
三三師匠の魅力は、その「口調の良さ」といわれます。
4月22日。
箱根の我が家・やまぼうしはコメ桜が満開の季節を迎えます。
うつむき加減に下を向いて咲く可憐な桜。
古民家の柱や梁、イギリスの家具・李朝のたんすに水屋。 
みんなこの日を待ち望んでいます。
噺が始まるとそれらが、噺に引き込まれていくようです。
1回・2回・・・その空間は寄席とも違う空気で師匠のお噺がきけました。
さあ、3回目が楽しみです。
そして、終わってから三三さんを囲んでの食事をしながらの”おしゃべり”。
ほんとうに魅力ある・優しいお人柄。みなさんがその魅力に感動なさいます。
ご一緒にいかがですか、お待ち申し上げております。
なにより私がワクワクしております。
http://www.mies-living.jp/events/2012/hakonesanzakai1204.html

もうすぐ春ですね

寒さもゆるみ、一雨ごとに春めいてきました。
さ~てと・・・冬の間にお世話になった厚手のセーターやダウンジャケット、ブーツ、バッグなどのお手入れの季節です。
主婦歴45年の私ですが、この季節は毎年頭を悩ませます。「同じことの繰り返し」なのですが、世の中便利になり環境に優しい洗剤が登場したり、私の思い違いの手入れ方法など「あらまぁ~知らなかったわ。もっと早く知っていたら・・・」と思うときがたびたびあります。
皆さまはどのようになさっていますか?
私は、料理は大好きなのですが洗濯と掃除はあまり得意ではありません。欧米では、暖炉を使わなくなる春に、スプリング・クリーニングという習慣があるのだそうですね。
「そうか、春こそ大掃除なんだ!」といつも思ってはいるのですが・・・。
そんな時にとても心強い味方をゲストとしてラジオにお招きいたしました。文化放送「浜美枝のいつかあなたと」(日曜10時半~11時)
クリーニング革命―すべては喜ばれるために』(アスペクト)を出版された古田武さんです。
東京・南麻布にある、知る人ぞ知る「クリーニングの店アジュイール」のオーナです。古田さんは1939年、長野のお生まれ。中学校卒業後に上京され修行を積み、83年クリーニング店「レジュイール」を設立。クリーニングのクオリティー、営業哲学などが従来の「業界の常識」をくつがえすものだと評判を呼びます。開店当時「高くて、遅くて、でも上手い店」だと言われたそうです。
「すべてはお客さまに喜ばれるために」・・・と古田さんはおっしゃいます。
それは本を読み、お話を伺っていると納得の言葉です。
ネクタイのシミをとるために、一度ネクタイをほどき、クリーニングして、あとで縫いなおすケースもあるそうです。
古田さんは、フランスやイタリアをたびたび訪問され、ヨーロッパのクリーニングを勉強され洋服文化の浅い日本はまだまだ「後進国」とか。
高級ブランドから絶大な信頼を得ているお店なのですが、そんな高級な洋服だけではなく「できる限り、自分で手入れをしたい」と思っている方のために、自宅で簡単にできる衣類のお手入れ方法などもしっかり伺いましたし、本の最後に「難しい技術は必要ありません。ほんの少しの素材に関する知識と、ちょっとしたコツを身につければ、上手に仕上げることができるはずです。」と教えていただきました。
洗濯編
○ 洗剤について
○ 洗濯前にやっておくこと
○ 干し方について
「着古した白いシャツ」が黄ばんでしまった場合の、買い立ての頃の白さに戻す方法やダウンジャケットを自宅で上手に洗う方法、そして、最後にアイロンのかけかたから保管の仕方まで本当にたくさんのことを教えてくださりました。まぁ~知らないことばかり!!!ラジオでは「ビックリする」ようなことも教えていただきましたよ。
古田さんはおっしゃいます。
『どうぞ、今手元にある洋服を大切にしてあげてください。愛してください。手をかければその分、服たちは輝きを失わず、少しでも長くあなたを楽しませてくれると思います』と。
放送は3月25日です。ぜひお聴きください。
私の仕事場は3畳ほどですが、仕事スペースと家事ユーティリティーは一緒の部屋です。仕事の合間に洗濯機を回したり、アイロンをかけたり、子育てをしながら仕事を続けてきたせいなのか、私は両方やれる空間にいると安心できるようです。
さあ~来週は仕事をしながらのクリーニング週間にいたしましょう!

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原発と若狭 水上勉の一滴

日本経済新聞 3月5日の「時流 地流」に「原発と若狭 水上勉の一滴」
という記事があり、その中で水上作品の挿絵や本の装丁を手がけた地元在住の画家・渡辺淳(すなお)さん(80)の企画展が開かれていることが書かれていました。
京都に行くたびに時刻表を見ては湖西線へ飛び乗り、若狭に通い始めたのはもう24、5年前のことです。
それは不思議なご縁からの始まりでした。
三月のある日、信州野尻湖湖畔は、夭折の画家・野田英夫の記念碑建立の
式典で賑わっていました。
そろそろ春の兆しもみえようという頃なのに、一夜にして白銀の冬へ逆
戻り。信じられないほどの美しい雪の舞い方で、降りしきる雪が地に舞い
下りる寸前、氷片となって枝々に付着し、木という木が季節のフィナーレを祝う飾りをつけたかのような輝きをみせていた夜でした。
今は亡き松永伍一先生、「ハラスのいた日々」で読み知っていた(?)中野孝治先生、そして水上勉先生・・・居並ぶ先生たちと同席させていただくことに恐縮しましたが、その話題のあまりに興味深く、尽きない面白さに、しんみりしたり笑いころげたり、心に深く感じること大で、ついつい夜更けまで座に加えていただきました。
美しい若狭に原発ができたこと、水上先生の故郷に「若州一滴文庫」が設立されていること・・・等などお話を伺い「行ってみたい」・・・と即座に思いました。
当時私は800年も続いた集落がダム建設のために水中深く沈む。そのために村を捨てざるを得ないおばあさまと最後の日を共にしたことなどを思い出していました。
人間はなぜ人間の力で抗いえない巨大な文明を持ってしまったのだろう。
一滴文庫へ向かう前にまず、原発へ立ち寄ります。中へ入ることはできませんからゲートまで。あたりの、あまりにも美しい海とのどかな漁村の風景に息をのんでしまいました。
それから私の若狭通いがはじまります。
そんな時に出逢ったのが渡辺淳さんです。
結局、その若狭の地に古民家を移築し、田んぼをお借りして、専業農家の方にお手伝いをお願いしてのお米作りもいたしました。様々なことを経験し、感じ、考えてきました。
都会で働いている時とはまったく別の時計を持ちたくて、若狭という田舎に家を持つことにしたのです。
渡辺淳さんは郵便配達をしながら、炭焼きをしながら絵を描き続けてこられました。若狭の自然を友として暮らしながらいつも素晴らしい絵を描いていらっしゃる渡辺淳さんは、川の魚や虫や、木や草の一本一本と親しく語り合うことのできる人です。現在は子供たちに優しく絵の指導もなさっておられます。
縁側に座り淳さんとのおしゃべりの時間は至福のひとときです。
私たちは今回の福島第一原発の事故に大きなショックをうけました。
新聞記事には「先を急ぐように文明の開発に明け暮れる現代。今こそ足元を見つめ直さなければならない」と語られておられます。そして、杉野記者に別れ際、こんな言葉をかけられたそうです。
『この谷の この土を喰(く)い この風に吹かれて 生きたい』・・・と。
久しぶりに淳先生とおしゃべりをいたしました。
「まだまだ雪の残る若狭、早く蕗の薹の顔がみたいですね」と。
東日本大震災の復興計画が一日も早く前へ進むことを祈っております。

今和次郎~採集講義展

パナソニック汐留ミュージアムで素晴らしい展覧会を見てまいりました。
東日本大震災被災地の復興が急がれているなかで、考えさせられる展覧会でした。
今和次郎の名前を知ったのは40年ほど前のことでしょうか。
民藝運動の創始者・柳宗悦の足跡を訪ねての旅の途中でした。
14歳の時に、図書館で著書「用の美」という民藝の考え方に魅了されました。
気がつくと、各地の伝統工芸を伝承する人々を訪ね歩き、後の私のライフワークのひとつになっていました。
当然各地の民家を訪ねるわけです。
そこで「今和次郎」の名前を知るのです。
民家研究の第一人者で、当時、すでに失われつつあった民家を克明に調査スケッチしていたのです。しかも、そこに暮らす人々の行動、暮らしぶり、モノをなど私が知りたいことが全て記されていました。
調査・・・という視点ではなく「そこに暮らす人々とともに、同じ目線」で問題点やこれからの暮らし方を提案していました。
『考現学』の創始者であり・画家・建築・デザイン・・・に優れた才能の持ち主ということは後に知りました。
『考古学』にたいして『考現学』という概念です。
今和次郎は1888年(明治21年)青森県弘前の生まれ。
18歳で上京し、24歳で東京美術学校を卒業。
26歳で早稲田大学の講師となった後、助教授となり定年退職するまでの46年余りの間、デッサン・造園・建築デザイン、住居学、工芸、服飾、舞台美術、映画など様々な分野に携わりました。また、テレビの草創期に自ら出演し建築についてわかりやすく解説したりもしていました。
代表的著作『日本の民家』では民家のデッサンだけではなく周りの景観、道具、台所で働く農村女性の姿、また小さな部屋での暮らし方など、北国生まれの今ならでの暖かな視線を感じます。
最初は柳田國男たちと一緒に民家研究の旅を続けていたといわれていますが、今和次郎は、柳田國男から破門されたといいます。何故・・・と当時思いましたが、私にはすぐに納得がいきました。柳田の民俗調査と今の調査では異なるからではないでしょうか。
民家探訪地図を見ると、北海道から九州の南まで68ヶ所をくまなくスケッチしています。一人で全国の農山漁村に出向いています。
今回災害に遭った三陸地方にも足をはこんでいます。
朝鮮半島の民家も訪ねています。
『日本の民家』を刊行した翌年、関東大震災があり、彼自身が被災者となり焼け跡に立つのです。「東京の土の上に、じっと立ってみた」と言います。
全てを失いこれからの新たな生活再建を焼け跡から考えました。
それが「バラック装飾社」の表現活動へと続いていくわけです。
全てを失い新たな生活を立て直そう・・・と人々は一歩一歩と歩み始める姿を記録しています。あくまでも『人間の生活』が主体です。
今回の展覧会で改めて考えました。
自然の猛威の前には人間はあまりにも無力であることをしらされます。
復興計画には行政・国の感覚、計画と、そこで暮らしてきた人々の歴史文化、暮らしそのものへの思いが両立するのだろうか・・・と。
もし、現在ここに『今和次郎』がいてくれたら、どんな復興計画をたててくれるだろうか・・・。
人々に寄り添い復興に力をかしてくれるだろうか・・・。
きっと彼なら「美しい日本」への道に光りをあててくれるだろう・・・そう思いました。
3月11日を迎えるにあたり
人びとが大切にしてきた美しいものを次世代に伝えるために私たちはどうすればいいのか。
若い人に心を受け継いでもらうために何が必要か。
そんなことを考えながらの展覧会鑑賞でした。

浜美枝のいつかあなたと ~ 本郷和人さん

文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」(日曜10時半~11時)
また素敵なお客さまをお迎えいたしました。
『謎とき平清盛』の著者、歴史学者の本郷和人さんです。
本郷和人さんは1960年、東京のお生まれ。
東京大学文学部および大学院で「日本の中世史」を学び、これまで書かれたご本に「天皇はなぜ万世一系なのか」、「武士から王へ」などがあり、
現在は最新刊「謎とき平清盛」が発売中です。(文春新書)
何しろ・・・中学出の私は歴史をしっかり学んでおりません。
だからこそ「知りたがりやさん」の私にとっては興味あるお話しがいっぱい。
本郷さんは、NHK大河ドラマ「平清盛」の時代考証担当者でもいらっしゃいます。私もあの番組は好きで毎週見ております。
どこかの方から「暗い・汚い」とクレームがついたようですが、私など東宝時代に黒澤明監督のスタジオをこっそり拝見しており「汚しの衣装」など、どれほど手間ヒマかけて美術の方、衣装さんがなさっていたか・・・を知っているだけに「分かってないわね~」っと思ってしまうのですが。
中世日本の重要人物、平清盛の実像はあまり知られていないように思います。清盛自身は64歳の生涯を終えたわけですが、本郷さんは「NHKの大河ドラマをはじめとする歴史ドラマはフィクションであって、歴史を忠実に再現する教育番組ではない。でも、フィクションだからといって、何でもあり、というわけではありません」とおっしゃいます。
時代考証はなかなか難しいお仕事ですね。
私のイメージですと、日本の12世紀戦乱の時代、源平の合戦。
平家一門を巡る物語「平家物語」のなかから
「平家の世をつくり、やがて滅亡に導いた人」
「悲劇的な末路をたどった人」
と、いった感じでしたが、本郷さんのお話によると、清盛は重要な「改革者」であったそうです。「部下思いの優しさを兼ね備えていた人」とも。
ご本の中でも書かれておりますが、
父親は誰だ・・・・白川上皇の落胤説を検証する。
私もドラマを見ていて、そのくだりはドラマチックに描かれていましたが事実を教えていただきたいと伺いました。
経済、海外交易を重視し、目は世界に向けられていたようです。
そして、よく「学ぶ」人だったようです。
伝統を学び、貴族に相応しい観念を学び、他者の振るまいを学ぶ。
あちらの勢力にもこちらの勢力にも気配りをしながら、自らを成長させていったのでしょう。
今の時代、ある程度立場が確立されるとそこまで「学ぶ」ことを重要には思わないですものね。本郷さんのお話で清盛が男としてもなかなか魅力ある人物のように思えました。続きはぜひラジオをお聴きください。3月18日放送です。

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