寒川神社

神奈川県寒川町の教育委員会と青年会議所のお招きで講演会に行ってきました。
寒川・・・といえば「寒川神社」。
まず駅に降り立ち神社に向かいました。


相模川の河口から約7キロ遡ったところに鎮座する神社です。
歴史は古く承和13年(846年)に仁明天皇から従五位下を授かるという記録(続日本後記)があります。
境内は夕方でもお宮参りの赤ちゃんを抱いた若いお母さんやおばあちゃまなどで幸せムードが溢れていました。
私は旅に出て、その地に神社があるとなるべくお参りをさせていただきます。
静謐な中に心が浄化されるようで心が落ち着きます。
そして会場に向かいました。
大勢の方が出迎えてくださいました。
同世代か少し先輩、また50代の方も。
講演のテーマは『明日を素敵に生きるには』です。
以前、歌手の小椋桂さんがテレビ番組のインタビューに答えられておりました。
 「人生年を重ねれば、坂道を下りてゆきます。ただ、その道を上り坂と捉えるか、下り道と捉えるか・・・」「もう・・・なのか、まだ・・・なのか」でも違う、と。
私は中学を卒業するとバスの車掌に。そして16歳で女優デビューしました。それからずっと働いて、今に至っています。大学や高校に進学しておりませんので、学校という学び舎で勉強をする機会にはめぐまれませんでした。でも、本や映像、また社会に出てから出会った多くの先輩方から、たくさんのことを学ばせていただくことができたと、思っています。
会場の皆さんと時代を共有してきたからでしょうか、お互いうなずけることがたくさんありました。
『明日を素敵に生きるためには』
これは、誰にとっても、これからの第一のテーマではないでしょうか。
具体的なお話もさせていただきました。
心と体は常に変化し続けています。
限りある命であることを正面から受け止めなくてはならない辛さもあります。
それゆえの深い孤独とも、向き合わざるをえないこともあります。
でも、そうして孤独もつきつめていくと、その奥には、生きていることに感謝する気持ちが隠れている・・・それに私は気がついたとき、それまでよりもいっそう人を恋しくいとしく思えるようになった気がします。
寒川町の皆さま、ありがとうございました。
あたたかく迎えてくださった温もりを今も感じております。
『自分の生命を丸ごと慈しみ、おもしろがり、楽しんでいただきたい』
そんな思いで会場を後にしました。

藤田嗣治~手しごとの家

遅い夏休みをとってパリに8日間行ってまいりました。
ある日・・・箱根のポーラ美術館に「藤田嗣治展」を見にゆきました。
そこで知った「藤田嗣治・手しごとの家」(林 洋子)
藤田の絵画に魅せられたのはいつのころでしょうか・・・。
広島美術館の「裸婦と猫」だったように思います。
今回の箱根での展覧会では「人間・藤田」が感じられ3度も見に行きました。
そこで新しい藤田嗣治に出逢えたのです。
ずい分前にフランス国立近代美術館で見た「カフェにて」は強烈な印象を受けました。日本を去り、フランス国籍を取得し晩年を小さな田舎町で暮らした藤田嗣治・レオナール・フジタ。その藤田の生涯を想うとき、彼ほど暮らしを豊かに、充実させ自ら「手しごと」にこだわった人はいないと思いました。


今回の旅では、パリの下町ラ・モット・ピケ・グルネルにアパートを借り、自炊をしながらの旅でした。日曜の朝、アパートに着きすぐに近くのマルシェで、ハム・野菜・果物を買い近くのスーパーでワイン(赤・白)2本、そしてパンなどを買ってスタートしたパリ。


翌朝、最初に向かったのが”サンジェルマン・アン・レー”
パリから30分ほどの丘。
セーヌの流れとパリが一望できる場所です。
ルイ14世生誕の地。
城や庭園そして続く公園。
この国を終の棲家とした藤田嗣治に想いを馳せました。


そして、向かった先、郊外にある藤田晩年の旧宅・「メゾン・アトリエ・フジタ」
エソンンヌ県の小さな村ヴィリエ・ル・バクル。
迎えてくれた猫からもうフジタの世界がはじまります。
足元に咲く可憐な花。
「ここをどうして知ったのですか?」・・・県の担当係員。
この建物は藤田が死の直前まで君代夫人と暮らした家。
ポーラ美術館で「藤田嗣治の手しごと」で知りました、と答えました。
今は県に寄贈された家をまもる女性が丁寧に案内してくださいました。
けっして大きくはない家、むしろ想像していた家よりはるかに小さな家でした。
表通りからは2層、庭に回ると地下がキッチンに改装されアトリエのある3層建の家。
そのインテリアの多くが本人の手による作品です。
キッチンの下の棚には当時めずらしかった日本の炊飯器。となりには食堂。吊るしてあるランプや棚や陶器などなど。階段をのぼると居間には手づくりのクッション、そして寝室のベットカヴァーも彼の手によるもの。
壁にかけられた画家自身による小作品のかずかず。
最後に藤田のアトリエを目の前にして言葉を失いました。
“美しい”
画材、ミシン、壁に描かれた絵画。
全ての品々には藤田の愛したモノたちが居心地よさそうに存在しています。

空き家となった石造りの農家を1年以上かけて改装して住んだ古い民家。
私の住む箱根の家も古い農家を改装して住みつずけています。
2011年はたくさんのことを考えさせられる年です。
アパートの窓からはエッフェル塔やモンマルトルの丘が遠くに見えました。
今年は『祈りの年』・・・そんなことを考えながらのパリ滞在でした。

『須田菁華展~受け継がれる用の美』

『須田菁華展~受け継がれる用の美』のご案内です。
箱根「やまぼうし」で念願の展覧会を開催いたします。
9月23日(金)~29日(木)まで。
旅は最良の師や友を私に与えてくれます。
自分の体に合った水、空気、風、土、
そして人との出逢い。
それを探すのが旅のような気がします。
旅先で求めたものによって旅先の見え方が違います。
どのくらい前のことでしょうか。
山代温泉の須田先生の工房をお訪ねしたのは。
日本家屋のその佇まいは温かで優しさに包まれていました。
そして、笑顔で出迎えてくださった須田先生。
作品一点一点が手の中に包みこまれてしまう・・・。
そんな作品に魅了され、我が家の食器棚には須田コーナーがあります。
使い勝手が良く、どんな料理にもあう、まさに「用の美」です。
23日は須田先生も私も一日中会場におります。
会期中は私はできる限りそれらの器とともに居たい・・・と思っております。
皆さまのお越しをお待ちいたしております。
詳しくはHPをご覧ください。
http://www.mies-living.jp/events/2011/sudaseikaten.html

つなみ

文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」(放送は日曜10時半~11時)
お客さまに、ジャーナリストの森健さんをお迎えいたしました。
現在、「文藝春秋・臨時増刊号」として発売されている一冊の本。
タイトルは「つなみ」
森健さんは1968年、東京のお生まれ。
早稲田大学法学部に在学中からライターの活動をはじめられ、卒業後は「文藝春秋」、「週刊文春」などの媒体で多くのルポルタージュ記事を随筆されてきました。
今年おきた東日本大震災に関しては早くから取材をはじめられ、現在は森さんが企画・取材・構成された子供たちの作文集「つなみ」が発売中です。
これは、森さんが宮城県の石巻市、気仙沼市、岩手県の釜石市、陸前高田市などを訪れ、地震と津波の被害にあった子供たちに作文、あるいは絵を書いてもらい、一冊にまとめたものです。
私はこの本を電車の中で読み始めました。
涙が止まりませんでした。
そして、「子供に辛い思い、いやな記憶を思い出させたのではないか・・・」
との心配もいたしました。
でも違っていました。
子供たち一人ひとりが、真正面から震災や津波に向き合っているのです。ある意味、子供たちのほうが大人たちよりも「心が強い」(立ち直ろうとしている)部分が感じとれました。
番組ではその作文を寺島アナウンサーが紹介してくださいます。
三陸海岸は、明治29年や昭和8年にも大津波に襲われています。ご本を拝見すると、年長者の知恵(津波の予知)で助かった子供たちも多かったことがわかります。
本書は、活字もありますが、原稿用紙をそのまま撮影しているページもあります。その鉛筆の質感から子供たちの息づかいが伝わってきます。
森さんはおっしゃいます
「多くの子供たちが感謝しているのですよ、お世話になった多くの方々に」
家族を失っても元気に遊んでいる子もいます。
元気を装っている部分もあるでしょう。
でも、子供たちには「未来」があるのが救いです。
そして楽しいことを発見するのが子供たち。
この子供たちに私たち大人は何ができるでしょうか。
「つなみ」手にとってください。
そして放送をお聴きください。(10月2日放送)

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=bloghamamiejp-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B0053VL8O8&ref=tf_til&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr

C.W.ニコルx浜美枝 『森を語る』

作家のC・W・ニコルさんが「箱根やまぼうし」で森を語ってくださいます。
私とのトーク、そしてDVDでは「アファンの森」(ケルト語で”風が通るところ”)の現在の様子が観られます。

ニコルさんは25年前に荒れた森を再生させるために長野の黒姫に移り住み、自らの手で森づくりをはじめました。
当日の様子は私のもつラジオ番組「浜美枝のいつかあなたと」でも収録させて頂きます。(文化放送・日曜10時半~11時)

お伺いしたい話はいっぱいあります。
「森」の再生に向けてどんな思いがあったのか。
そしてその森は動物や人間に何をもたらしてくれたか。
現代の日本社会の「山」に行政はどのような取り組みをしているか。
(海外との比較)
ニコルさんが17歳まで暮らした英国、ウエールズ。
人間が子供の時期に自然とふれあうことの大切さ。
それは一生の記憶に残るのか。
現在の日本の子供に何をしてあげるべきか。
日本は今年、大震災という未曾有の事態に襲われた。
今後どのような精神性をもって暮らしていくべきか。
など等。
日本国籍を取得し、心から日本を愛しているニコルさんから見て日本人の暮らし方がどのように映っているのか。
もう30年近く友人としてお付き合いさせていただいて、彼ほど真摯に自然と向き合っている人は少ないように思います。
今回の災害で被災した子供たちを「アファンの森」に招いてもおられます。
自然に触れ「心開く」子供たちも多いとききます。
当日はトークとDVD・・・そして食事をご一緒しながら語り合いたいと思います。
開催日は2011年10月2日(日)15:30開場です。
詳しくはHPでご覧ください。
皆さまと共に「語り」あいましょう!
http://www.mies-living.jp/events/2011/afan.html