お寺ごはん

猛暑日の続いた今年の夏。
みなさまの食欲はいかがでしたか。
体調はいかがでしたか。
私はめずらしく、5日間ほど断食に近い日を過ごし(もちろん断酒!)
体調が回復しました。
そんな最中、読んだ本が「お寺ごはん」です。
「お寺ごはん」と聞けば「精進料理」を連想しますが、この本は「精進料理」をベースに私たちの日常生活に取り入れやすいよう、アレンジされていて私の胃も心も大喜びでした。
さっそく皆さまに聴いていただきたくラジオのゲストにお招きいたしました。
浅草にある浄土真宗・東本願寺派・緑泉寺(りょくせんじ)のご住職・青江覚峯(あおえかくほう)さんです。
青江さんは、1977年、東京生まれ。
カリフォルニア州立大学で、MBA(経営学修士)を取得後、アメリカで事業をしていらしたのですが、帰国しようと決心したのは9・11のテロ。自らのバックボーンを考え、実家のお寺を継ぎました。
現在、料理僧そして、精進料理や食育にも取り組み、真っ暗な中で嗅覚や味覚などを研ぎ澄まして食事する催し「暗闇ごはん」を主催するほか、宗派を超えた僧侶たちと様々な活動をしておられます。
「心と体の整えかた」
青江さんはおっしゃいます。
「ていねいにつくり、ていねいにいただく」
料理の前にはていねいに「だし」をとる、煮物のするときには「面取り」をする、ごはんのとぎ方には注意をはらう・・・
う・・・ん、分かるけど、時間もないし、手間ヒマかけていられないのよね・・・が正直な気持ち。でも、5日間やってみました。野菜中心ですからヘルシーだし、体の中をすっきりととのえることができました。そして、気がつきました。
一つひとつの作業を積み重ねていくと、からだだけではなく、”心がととのってくる”・・・と。
ひと手間かければ誰にでもできる簡単料理。
「台所に立つ時間は自分の心を見つめ、問いかける貴重な時間です」・・・と青江さんはおっしゃいます。
「家でつくれるお寺のレシピ99」です。
お話もとても素敵でした。
ぜひ本を手にとってご覧ください。
そしてラジオをお聴きください。
文化放送「浜美枝のいつかあなたと
放送は9月8日(日曜)10時半~11時です。


学生たちと若狭でのフィールドワーク

近畿大学・総合社会学部の客員教授をお受けして4年目。
今年ですべての講義が終了いたします。
初回に「この美しいキャンパスを港として、どんどんフィールドワークに出かけましょう」と毎年、答志島と若狭へ出かけてきました。
「自分らしさの発見ー暮らし・食・農・旅がもたらすもの」をテーマに学んできました。
“この目で見て、この耳で感じる”・・・それを何度も繰り返してきました。
その中から人の暮らしが見えてきます。
「現場を歩く大切さ」
「食は命」
講義を担当させていただき、学生さんたちとのやり取りを通して、私もまたもう一度学び直すことができました。
TPP交渉も始まりました。
国家百年の計・・・と安倍総理はおっしゃっています。
農業の衰退は国を滅ぼします。
農業をはじめとして、私たちはどんな国を目指そうとしているのでしょうか。
“美しい日本の暮らし”
私たちが生きて暮らしているこの日本という国を、「誇りに思っている」と胸を張っていえる人がどれだけいるでしょうか。
私たちの子の世代に、孫の世代に、一体何を、誇りを持って受け継ぐことができるのか・・・。「物」と「お金」を必死で追い求めた時代。それを得ただけでは心から幸福にはなれないことに、若者は気づきはじめました。
この4年間、若者から多くのことを学ばせてもらいました。
ありがとう。

今回の若狭での経験を簡単ですが、感想文として寄せてくださいました。
私は今回の大飯町でのフィールドワークに参加して普段大阪にいるだけは感じることや、学ぶことのできない多くの体験をすることができました。様々な人との出会いもあり、お話を聞けたり、体験もでき、私にとってはとても貴重な経験になりました。大飯町の人はどの方もあたたかい人ばかりでまた交友関係が広くみんなが仲の良いように感じました。これも大飯町の魅力なのだと思えました。お世話になった方々、貴重な経験をさせていただき本当にありがとうございました。機会があればまた大飯町に訪れたいです。
【植田 直弥】
今回のインターンシップで多くのことを学びましたが、その中でも最も感じたことは、食の大切さです。農家の人たちに関する映像を見たり、実際に農家の人の話を聞いたりして、とても苦労して作っていることを知りました。そんな国内の農家のために私たちができることは、できるだけ国産のものを買うことにあると思います。また、それは私たちにとっても安心を買うことにつながると思うので良いことだと思います。
【川端 達也】
今回の福井県でのインターンシップでは多くの貴重な経験をする事ができ、またとても楽しかった。竹紙作りや畜産農家の方に聞いた、苦労話やTPPへの思い。ほかにも多くの事を学ぶ事ができた。松井さんのおっしゃった「何にもないけれど、探せば何でもある」ということをしっかりと理解し学べたと思う。
【橋本 拓也】
私は、大阪に住んでいるのであまり自然と触れ合う経験があまりなかったのですがフィールドワークで見渡す限りの田園風景、山々の中を自転車で駆け巡り、様々な場所に行きそこで滝に打たれたり竹で紙を作ったりなど、たくさんの体験ができました。そしてたくさんの人たちの出会いもありました。訪れた場所でお話を聞き、バーベキューにいらっしゃった人たちとの交流や、案内してくださった松井さんの農業やおおい町の話を聞かせてもらい良い経験ができました。このフィールドワークは私にとってとても貴重な経験になりました。
【濵口 洋平】
今回の体験を通して、どれだけ自然が大事なものであるかということと、人と人との関わりの大切さを学んだ。三日間という短い日数の間だったけれども、その間にたくさんの新しい人と関わりを持つことができたし、松井さんからたくさんのことを学ばせていただいた。三日間本当に楽しかった。ありがとうございました。
【古川 恵里那】
今回のフィールドワークでは自然の素晴らしさを感じるだけではなく、現地の方々からお話を伺うことで自分の知らないことが数多くあることに気づきました。そのなかでも特に畜産や農業の一部を実際に見学することが出来、興味深く感じました。この2泊3日の経験を通して学んだことをしっかりと受け止め、考えることでこれからに生かしていきたいです。
【森田 勇佑】
おおい町では、目にするもの、食するものすべてが都会とは大きく異なっていました。若州一滴文庫を訪れたり、滝を見たり、畜産農家での見学、釜の見学、渡辺淳先生のアトリエにお邪魔させていただくなど貴重な体験を数多くさせていただきました。食べ物も新鮮でとてもおいしかったです。ぜひまたおおい町を訪れたいです。
【渡邊 絵梨奈】
やまぼうしのフィールドワークは、都会ではできないことを体験することができました。また、のどかな風景を自転車で進むのは爽快でした。ここでの体験は今後の人生の糧になると思います。最後に、楽しく、スムーズに過ごせたのは、松井さん家族をはじめ、若狭のお世話になった方々のおかげです。本当にありがとうございました。
【塩澤 洋佑】
今回のフィールドワークは去年に引き続き二回目で、お手伝いとして参加させて頂きました。去年の内容には無かった椎茸工場の見学や紙すき・絵付け体験など、二回目の参加でもとても学ぶことの多い機会だったと思います。今回のフィールドワークに関わって下さった多くの方々、誠にありがとうございました。
【仲 勇至】
授業では二回目、実際に訪れるのはもう何回目かわからない福井県おおい町ですが、行く度に新たな発見がある素敵なところだと感じます。自転車で風を感じながら、おおい町で様々な体験をすることができました。今回は特に地元の方たちとお話できたのがすごく印象的でした。貴重なお話を聞くこともできてこれからのことを考えるよい機会となりました。ここでの出会いを大切にしていきたいと思いました。
【井實 彩嘉】
都会から離れ、大自然のなかで過ごした三日間は心身ともにリラックスできた時間になりました。おおい町は、見渡す限り山と田んぼで何もないように見えたが、学びがたくさんありました。それは地元では見れない農家を営むひとたちであったり、自分が知らないおおい町の文化です。この三日間は非常に濃く、考え、感じる三日間になりました。
【高本 典愛】

素敵なコラボ

「辻友雪さんと高橋裕美さんの展覧会」のお知らせ。
振り返ると、私はこれまで多くの旅を続けてきました。
「旅は曼荼羅」
ある日、私は、中央アジアの草原に立ち、雲の行方を見つめていたり、あるときは、イスタンブールの広場で粗目の布袋に入ったヘーゼルナッツを売っているジプシーの可愛い女の子からナッツを買ったり、時には蚤の市で素敵なアクセサリーに出会ったり・・・パリでも美しい小物に出会うと幸せな気持ちが胸いっぱいにひろがったり。
旅のさなかに思うことほど心ときめくことはありません。
私は美しいものを求め世界を旅してきました。
訪れた国には、その土地ならではの美と伝統があります。
今回の展覧会では、箱根の木の空間でお二人の作家の美が出逢います。
京都の伝統に裏打ちされた技と”染”の美。
辻さんの洋服を着ていると、デザインは斬新ながらも心地よく、
日本の美を感じますし、ほっこりした気分になります。
そして、旅好きの高橋さんが世界中を旅して見つけた古布、
古金具は、辻さんの洋服にもよく合います。
お二人の感性、美意識に私は魅せられています。
そんな素敵なお二人と、ギャラリートークもいたします。
詳しくはホームページをご覧ください。
http://www.mies-living.jp/events/2013/tsuji_takahashi.html
自由に貴女らしい着こなしをお楽しみください。
お越しをお待ちいたしております。

京都・相国寺へ

暦の上では8日から秋になりますが、実際は一番暑い夏の日。
それでも、ふと山は秋が近づいていることを感じさせてくれます。
そんな真夏日の早朝、京都・相国寺にお邪魔してまいりました。
座禅をくんだあとの皆さまの前で6時からお話をさせていただきました。

畳の講堂に座る方々の清々しいお顔を拝見しながら、緊張は致しましたが皆さまとのご縁に感謝いたしました。
6日は広島で、本日9日は長崎でそれぞれ平和記念式典が行なわれます。
太平洋戦争が終わって、今年で68年。
夏の盛りに、戦争は終わったのですね。
蝉の鳴く境内を歩き、美しく咲く蓮の花を見ながら講堂へと向かいます。
世界で唯一の核被爆国として、平和への祈りを捧げ、平和への思いを深く考えました。
そして、人と人との出逢いの素晴らしさを改めてからだで受け止めました。
臨済宗相国寺派大本山・相国寺
法堂(重文)は桃山時代の遺講で我が国最古の法堂、入母屋造りの唐様建築で本尊釈如来は運慶作です。
豊臣秀頼によって再建されたもので、現存する法堂の中で最古のものだそうです。
話を終え、お粥をご馳走になり法堂にお参りさせていただきました。
天井には狩野光信によって描かれた龍の図がそれは見事です。
「鳴き龍」として有名です。
手を叩き、その音に心静まり感動の瞬間でした。

前日に見た相国寺・承天閣(じょうてんかく)美術館で開催されている「伊藤若仲の名品展」も素晴らしかったです。若仲に多大な影響を与えたお寺さん。
鴨川の流れが朝の陽射しに反射してキラキラ光っていました
そして町を見守るように、しっとりと四方を取り囲む山々・・・
初秋の到来が待ちどうしい京都の二日間でしたが、大きな希望ももたらしてくれた旅でした。講堂でご一緒した皆さま・・・ご縁をありがとうございました。

奇跡はつばさに乗って

8月6日は広島で、9日は長崎でそれぞれ平和記念式典が行なわれます。
太平洋戦争が終わって、今年で68年。
夏の盛りに、戦争は終わりました。
世界で唯一の核被爆国として、平和への祈りを捧げるとともに、平和であることの有難さ、平和への思いを深めていきたいと思います。
少女の名は佐々木貞子さん。
1945年8月6日、2歳の時に広島の原爆で被爆し、1955年10月25日、
白血病のため12歳という若さで亡くなりなりました。
病が治ることを祈って、病床でけんめいに千羽鶴を折り続けました。
彼女が折った折り鶴は薬を包むセロファン紙や、キャラメルの包み紙など
小さな小さな、1~2センチほどの折鶴、針を使って折った鶴。
“あなたはこの少女を知っていますか”
「奇跡はつばさに乗って」を読み涙がとまりませんでした。
著者はニューヨークで日本文化の発信を行なう民間非営利団体
「ジャパン・ソサエティー」に勤務する源和子さんです。
1963年、奈良県のお生まれ。
1990年、アメリカに渡り、その後、ニューヨーク市立大学バルーク校を卒業。
現在は「サダコの祈り鶴」を各地に広める、平和促進活動など力を尽くされて
います。
彼女が病床で折っていた鶴は21世紀になって日本とアメリカの様々な人たちを、奇跡的に結びつけます。
広島と長崎に原爆投下を命じたトルーマン大統領の孫、クリフトン・トルーマン・ダニエルさん。ダニエルさんが貞子さんの折り鶴を手の平に乗せ、じっと目をつぶられ、貞子さんのお兄さんと交わした言葉。
トルーマンさんはサダコのことをよく知っていました。
平和記念式典にも参列しました。
ご本の中に書かれています。
当時、父、繁夫さんが
「あんまり根をつめるて折ると、体にわるいよ」 と貞子さんをいたわると、彼女は笑顔を見せ、こう言って指を動かし続けたそうです。
「いいから、いいから。うちにも考えがあるんじゃけん」
そして今、折り鶴たちは、まるで自らの意思、使命をもつかのように、止まることなく、癒しが必要な場所に向かって、そのつばさを広げ、羽ばたき続けます。
国境や時代、ときには「敵・味方」という厚い壁をこえて。
ニューヨーク在住の源さんは9・11マンハッタンから這うように自宅に辿りつきます。そして、その2日後、テロの跡地に千羽鶴がフェンスにかかげられているのを目にします。
「小さなおもいやり」は、続きます。
千羽鶴は捨てられることなく、ニューヨーク州立博物館のスタッフによって集められ大切に保管されているそうです。
原爆の子の像・台座の上で千羽鶴をかかげる少女のモデルは佐々木貞子さんです。
「サダコと千羽鶴」をテーマにした児童書は三十か国以上で翻訳・出版され、アメリカの小学校の授業でも紹介され海をこえ、世界のこどもたちに知られています。
「サダコ鶴」は9・11跡地へ。
真珠湾攻撃のあったハワイへ。
源さんはおっしゃいます。
ひとりひとりが手をとりあい、自分たちが望む世界を一緒に創りあげていくことができる・・・それを、折り鶴たちが教えてくれているような気がします・・・と。
ぜひ本を手にとってください。
世の中への扉 奇跡はつばさに乗って」源和子著(講談社)
そして、ラジオをお聴きください。
文化放送 日曜10時半~11時 8月4日放送です。