露木清高展『箱根寄木細工の伝統と未来』

露木清高さんの寄木細工の作品に出逢ったのは箱根ラリック美術館でのことでした。
お父さま、清勝さんの作品は、随分以前にテレビの取材で工房をお訪ねし、従来の寄木細工のイメージをはるかに超える、千年の木工の歴史、卓越した技術、その感性、日常の暮らしの中に”美”を見出せる作品の数々に驚きをもって取材させていただいた事をよく覚えております。
そのご子息、清高さんの作品をラリック美術館で拝見した時の驚き!
ルネ・ラリックは箱根寄木細工を知っていたのだわ。
いえ手元に置いて作品を制作したのでは・・・と思ってしまいました。
箱根寄木とアール・デコ。
「アール・デコ」とは1910年から30年代にかけてフランスを中心に流行した芸術様式です。まったく違和感なく感じられる清高さんのテーブル。シャープで、でも伝統に裏付けされた技術、そして、そのセンス。
現代を生きる露木清高さんには「箱根寄木細工」からさらに世界へと目が開かれているのでしょう。
そういえば、驚きましたよね。
パリのオランジェリー美術館でバッタリ出逢ったときは・・・。
「なぜ、貴方がここに!」と大きな声を出し、美術館の方にシ~!と注意を受けてしまいました。彼はパリの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に招待され出品し、休みの一日を使って美術館まわりをしていたとのこと。
清高さんの作品にぞっこんの私です。
今回も「箱根やまぼうし」で新たな作品を発表してくださいます。
6月15日(土)は14時から露木清高さんと私、浜美枝がギャラリートークをいたします。ぜひ作品をご覧になり、おしゃべりを聞きにいらしてください。
http://www.mies-living.jp/events/2013/yosegi.html 

香りの体験講座

初夏のやわらかな緑の美しい一日。
小雨が降り、樹木はいっそう瑞々しく、葉は濃淡のさまざまな色をみせてくれる、そんな一日、箱根やまぼうしで「香りの体験講座」開催されました。
静けさの中 無心になって 香を聞く
日常が慌しく、無心になれることが少ない私ですが、この会に参加すると深いリラクゼーションができ、精神が落ち着きます。
まだ私は3回目で、お作法もよく分かりませんが、渡辺えり代先生は形式にとらわれず、日本の香道という枠を超え、世界の香、香文化や歴史、古代と現代・・・といった現代社会で日常を暮らす私たちに心地よい香を教えてくださいます。

香道の世界では、香りを「かぐ」ことを「聞く」といいます。
この日の香木は伽羅・白檀・橘を練香した3種類でした。
前日に橘の花が静岡から送られてきました。
練香は、昨年の橘の花を乾燥させ渡辺さんが丁寧に練り込んでくださいました。
無心になって香気に意識を集中させ、その香りの本質に近づこう・・・と思うとごく自然に精神が落ち付き、身体が元気になってくるのです。そして、自分が自然の一部であることに気づかされます。

二部は「匂い袋づくり」です。
それぞれが好きな香りを吟味して調合し、香袋入れ、ヒモで結び出来上がり。
私は和的ではないラベンダー・ローズマリー・バラの花びら・シダーチップにしました。前回が白檀や丁子、桂皮など和の香りでしたから。
気分を晴れやかに!してくれる調合でした。
毎晩寝る前に音楽を聴き、ワイン(焼酎の時も)を飲む時に掛ける椅子の横にこの袋を置きます。健康で過ごせた一日に感謝し、ご縁に感謝し、眠りにつきます。

土楽展

5月26日から、我が家の「やまぼうし」で土楽展を開催します。
土楽窯は三重県伊賀の里に七代続く伊賀焼の窯元です。
「生活と仕事が分離したところに、美しいものは生まれない」
と、七代目当主・福森雅武さんはおっしゃいます。
福森さんの土鍋に出会ったのは、かれこれ30年ほど前のこと。
白洲正子さんのお宅に招かれお邪魔したときのことです。
尊敬する憧れの方、晩秋のころの武相荘の玄関には秋の野の花が
大きな壷に活けられ、私を暖かく迎えてくださいました。
やがて夕食になり囲炉裏には炭がおこされ、日本酒で乾杯。
そして、炭火の上に置かれた美しい土鍋。
白洲正子さんにして「新しい茶人」と称された福森さん。
黒い土鍋はまさに『用の美』そのものでした。
その夜の鍋は京都から取り寄せてくださったカモ鍋でした。
伊賀の自然を感受し、花を生け、料理をし、骨董を愛でる
福森さんの暮らし方には憧れます。
福森さんの窯で、ひとつひとつ丁寧に作られた鍋や器たち。
暮らしに幸せをもたらしてくれる数々の作品をどうぞご覧ください。
そして5月27日はもう一つ、私が楽しみにしているイベントがあります。
私が『世界一美味しいリゾット』と思う、日本を代表する北イタリア料理の
シェフ・室井克義さんにお願いしてしまいました。
「シェフ、福森さんの素敵な土鍋でシェフのリゾットが食べたいです」・・・と。
「お~いいですね、それではスプマンテでしましょう!」ということになり、シェフが懇意にされているワインショップのアルベロ・ジャパンさんにご協力いただきました。
なんとこの頃は、イタリア・スプマンテの最高峰、フランチャコルタの造り手として名高いワイナリーである「ラ・モンテイーナ社」の方が来日されているとか。

『室井シェフの土鍋リゾットとスプマンテを愉しむ会』
“生産者”と”料理人”のマリアージュが実現しました。
飲んで、食べて、おしゃべりして・・・。
これはバスをしたてて、皆さんに東京からお越し頂きたいとの思いで企画いたしました。限定30名様ですので、残りわずかですが、ご興味のある方はホームページへとアクセスしてください。
「箱根やまぼうし」での様々なイベントを通して”人に出逢う”幸福をしみじみ感じるこの頃です。

展覧会・イベントの詳細はこちらから

腸の不思議

皆さま、私たちの体の腸について、じっくり考えたことってありますか。
私たちの健康に、腸が大切な役割を果たしていることは何となく知ってはいましたが、大変興味深い本「からだの中の外界 腸のふしぎ」(講談社)を読んで驚くことばかり。
著者の上野川修一先生を文化放送「浜美枝のいつかあなたと」(日曜10時半~11時)にお招きし貴重なお話を伺いました。
上野川修一(かみのかわ)さんは、東京大学名誉教授で農学博士。
1942年、東京生まれ。
2003年までは東京大学大学院で教鞭をとりました。
食物アレルギーや腸管免疫のしくみ、腸内細菌のからだへの影響などの研究に従事し、数々の役職を歴任しておられます。
正直、本を読んだところ半分も理解できなかったのですが、スタジオでお話を伺っていると「う~ん、なるほど、なるほど」と実に分かりやすく解説してくださいましたし、役立つお話がいっぱい。
まず『からだの中の外界(がいかい)、内なる外、それが腸!』なのですよね。
当たり前といえばあたりまえですが、余り意識をしておりませんでした、私。
“世界中の生命科学者たちが今、「腸」に注目している”と書かれています。
つまり「腸の時代」がはじまったわけです。
腸は「食」を「命」に変える働きをし、栄養分から細胞を作り、エネルギーとなる物質に変えるわけです。そして、「いのち」を守る働き。病原菌の感染や拡大を防いでくれています。
小腸の全長は5~6メートルもあり、何と! 私たちが体内に取り入れる食べものは年間1トンもあるのだそうです。
それを消化・吸収して、絶えず病原菌にもさらされている腸は、他の臓器にはない、重要な役割を果たしているのですね。
「今日はつかれたから、休もう」ということなく、毎日、黙々と仕事をしてくれます。
腸は別名「第二の脳」ともいうのだそうです。
「あ~満腹・満腹」というのも脳に伝えるのは腸から。腸は脳から独立し、完全に自立し、自らをコントロールしているのだそうです。
日本人は長い間、海草を食べてきたので腸内細菌も独特の進化を遂げているそうです。その、腸もストレスによる問題もある・・・とスタジオでお話を先生に伺っていると、思わず自分の腸の辺りに手をやり「ごめん・ごめん・いつも気にせず当たり前のように思っていた腸に感謝」とつぶやいてしまいました。
文章ではなかなかニュアンスは伝えられません。
ぜひ、ラジオをお聴きください。
放送は5月12日 10時半~11時までです。

片づけ

皆さまはこのゴールデン・ウイークをどのようにお過ごしですか?
国内旅行、それとも海外?
近場での小さな旅・・・それぞれでしょうね。
私は、日ごろ旅が多いのでこのお休みは箱根で『片づけ』です。
朝は山を1時間、たっぷり歩いてきます。
春の山々は、厳しい冬を越えて訪れたのどかな季節。
新緑・芽ぶき、エネルギーに満ちているようです。
そして、「惜春」でもあります。
さ~あ、気合を入れてこれから5日間は家の中の片づけ、物の整理!
洋服・靴・・・5年前にこの整理をして、いらないものがなくなった場所から、
風が吹き込んできたように感じがして、空間がすっきりしたのと同時に、
私自身もまた生まれ変わったような気持ちになったのが心地よく
今回の休みの日は「整理」に取り組みます。
区切りをつけたいとか、自分を変えたいと思ったときには、
物がよどんでいる自分の空間を見直し、不要なものを処分してみるのもいいかもしれません。それが新しい自分に合う一番の近道かもしれないとさえ思います。
年齢を重ねると共に、自分の限界がわかってきました。
若いころに、能力の限界に突き当たるのは、とても辛いこと。
無限の可能性を信じて進んでいきたいと思う時期ですし、努力する時間がまだたくさん残されています。
11月で私は70歳を迎えます。
身の丈を知ることは大切です。でも、人は変化し続けます。
そこが生きる面白さの一つなのではないかしら・・・。
物を整理することで見えてくることがあるかもしれません。
といっても、思い切りが悪く、出してはしまい、しまっては出す、
の繰り返しになりそうですが・・・。