浜美枝のいつかあなたと ~ 姜尚中さん

毎週、日曜日の10時半から11時まで文化放送にて、素敵なゲストをお招きしております。
やわらかな朝の日ざしにつつまれて、今朝も素敵なお客さまを、我が家にお招きいたします。で始まります。
今回は、政治学者の姜尚中さんです。
姜尚中さんは1950年、韓国からの移住者であるご両親のもと、熊本県のお生まれ。早稲田大学の大学院で政治学を学ばれたのち、ドイツ留学などを経て、現在は東京大学大学院情報学環教授。
政治学、政治思想史の研究者としてお仕事をされるかたわら、マスメディアでさまざまな社会現象について発言されています。
現在発売中の最新刊が「悩む力」。現代社会に生きる人間達へ向けて、姜尚中さんがさまざまなメッセージを投げかけた一冊です。
「考え方」「生き方」のヒントが示されています。
日本の小説家、夏目漱石とドイツの社会学者、マックス・ウェーバーの文章が引用され、姜さんご自身はこの二人からさまざまなものを学んだそうです。
1時間半ほどお話を伺いました。
熊本の子ども時代、「在日一世」の皆さんとの思い出。
お母様(オモニ)との思い出。
姜さんは、人間の知性には「ブリコラージュ」という形があると仰っています。
「伝統的な生活の知恵」
その知恵が現代社会では希薄になっているのかもしれません。
「自己チュー」と「自我」の違い。
「自分の城」を守ることは成長につながらない・・・・とも。
若い人たちが希望を持てる社会にするにはどうしたらいいか。
そして、姜さんご自身40代末ごろ、年を取ることが恐ろしい時期があったそうです。現在は「死」を引き受けて、「怖いものなし」と。
以前、姜尚中さんとは「姜尚中対談集-それぞれの韓国そして朝鮮 」で対談をいたしました。
韓国の道具、美、そして人々・・・・。
「白磁の陰影に感じるものがあった」と。
この番組も300回を超えました。
毎回、毎回、素晴らしいゲストのお話に、学ぶことが多々あります。
今回はご一緒に出演している寺島尚正さんが北京オリンピックの取材で日本を留守にされるため、早めに収録いたしました。
放送日は8月31日、9月7日の2回です。お楽しみに。

悩む力 (集英社新書 444C)悩む力 (集英社新書 444C)
姜尚中

 

集英社 2008-05-16
売り上げランキング : 131

Amazonで詳しく見る by G-Tools

それぞれの韓国そして朝鮮―姜尚中対談集それぞれの韓国そして朝鮮―姜尚中対談集
姜 尚中

 

角川学芸出版 2007-12
売り上げランキング : 167256

Amazonで詳しく見る by G-Tools

“福本潮子 しつらえの布 展”

“福本潮子 しつらえの布 展”
を我が家の箱根で7月21日から30日まで開催いたしております。
恒例となった、京都 ”ギャルリー田澤“の主催です。
今回の展覧会に寄せて、福本潮子先生は「私は民藝を新しい感覚でとらえて、現代生活の中で生かしたいと考える。日本の風土から生まれた伝統的な感覚を、コンテンポラリに展開したい」と仰っておられます。
“ギャルリー田澤”の西洋骨董と布、そして我が家、三者のコラボレーションは胸の高ぶりを抑えられないほど魅力的です。「民藝」はたえず進化しつづけております。

私の憧れの京都は祇園祭も終わった夏の夕暮れとき。風もはたと止んで、明るくもなく暗くもなく、倦んだような空気があたりを埋め尽くす時間があります。空気や木の葉、人影、川の流れすらも、そこに佇んでいるような・・・だれも動かない午後。
京都に住む人は水やりの加減と時間についても、一家言持つ人が多いのです。
へたな時間に水を、それも不細工に撒いてはいけないのです。その辺りの息づかいをみだすと、たぶん、江戸でいう「野暮」というような、無言の非難がどこからともなく押し寄せるのでしょう。
余所者の私達が地団駄ふんでも追い付けない領域・・京都。それが今回の展覧会です。
今回の展覧会は潮子先生の布への想いと、田澤ご夫妻の何層にも重なった「美」への感性は息をのむほどです。
「美」を価値とするところには平和があることを、芸術家はそれを使命としているにちがいありません。
愛は美を呼び、美は愛を生む・・・そんな展覧会です。

NHKラジオ深夜便「大人の旅ガイド・ラリックに咲いたシーボルトの”和の花”」

箱根の山がふんわりと山ぼうしの花でおおわれる夏、
見事な開花は十年に一度とか。
我が家の庭のヤマボウシ・・・今年は見事に咲き誇っております。
そして、秋には実がイチゴのように赤く熟します。特にヤマボウシは芦ノ湖周辺に多く見られます。
今夜ご紹介するのは箱根。
たしか、昨年の夏もご紹介したと思うのですが、今年は春から夏にかけて素晴らしい企画展が開催されております。
箱根ラリック美術館では今、
『ラリックに咲いたシーボルトの「和の花」』という企画展が開催されています。


江戸時代後期に来日したオランダの医師フランツ・フォン・シーボルトは、日本の植物を広く海外に紹介した人物。弱冠27歳のシーボルトは鎖国下の日本にやってきました。
そして、シーボルトは来日して3年目、陽春4月7日、沼津から、美しい富士山を眺めながら箱根越えをしたとか。その箱根でも植物採集を満喫したようです。
植物採集するシーボルトの姿が目に浮かびます。
一方、19世紀末にはジュエリー作家として、20世紀に入るとガラス工芸家に転進したのがルネ・ラリックです。
この企画展では、シーボルト時代から70年を経て、ラリックが日本の植物をどう開花させたか・・が見事に読み取れる素晴らしい企画です。
日本の美しさは”大人の目”があってはじめて花開きます。今回の企画展はそれにじゅうぶん答えてくれます。
ラリックの作品が大好きな上に、同じ箱根に住まいとする私にとって、今回の企画展は皆さまに、是非ご紹介申し上げたいと思いました。
ラリックがお好きな方はもちろん、植物やジュエリィーに興味のある方、ヨーロッパと日本の関係に関心のあるかたなど、多くの人に様々な角度から楽しんでもらえるはずです。
展覧会の主役は日本原産のテッポウユリ、がまどろむような表情・女性を包み込むように咲いている姿をブローチにした「ユリの女」。7月下旬から8月にかけてこのユリを箱根で見ることができます。
そのほかにも菊や藤、桜、松・・・など、日本の植物をモチーフにした繊細な作品数多く展示されています。解説によると、デザインされているものであっても、それぞれの種を特定できるほど明確に植物の特徴をとどめているのだとか。
ラリックが日本の植物をじっくりと観察し、作品を作りあげたであろうこと、ジャポニズムと呼ばれる日本文化が流行していた当時のヨーロッパ、さらにはそのラリックの作品を今日本で見られる不思議さ。そんな風に想像を広げながら作品に接するのも、味わい深いものです。
企画展示室ではお気づきになられるかもしれませんが、ほのかな香りがただよってきます。テッポウユリ、ウメ、フジの花から天然のエキスを抽出して会場はとてもよい香りがします。
今回の企画展は箱根町立箱根湿生花園とコラボレートしており、湿生花園内25箇所にラリック作品の写真と解説がついたプレートが設置され、作品に登場する花々が実際に咲く姿をみることができます。
そして、この夏の箱根では、長かった梅雨も明け、様々な色鮮やかな花に出会えます。コオニユリ、ヤマユリ、レンゲショウマ、ミソハギ、シシウド、コバキボウシ、等など。可憐な花を見ることができます。
不思議ですね・・・。こうした可憐な花を愛でるときの皆さんのお顔には笑みがたえません。
そして、この時期は箱根全山”フラワー美ジェットキャンペーンが開催されております。数ある花の名所を訪ね、美術館を訪ね、箱根の奥深さを堪能していただきたいのです。
箱根湯本駅からあじさい電車で(箱根登山電車)強羅までも素敵です。車窓からあじさいをお楽しみください。約10、000株のあじさいが咲き誇っております。
箱根美術館箱根強羅公園彫刻の森美術館箱根ガラスの森、そしてラリック美術館湿生花園、お時間のある方は、観光船に乗って元箱根へ。
成川美術館では「花物語・極上の名画たち」が9月11日まで開催されています。
旅の足
箱根へのアプローチはさまざまです。
新宿から箱根湯本まで・・・小田急ロマンスカーで85分
新宿から箱根桃源台まで・・小田急箱根高速バスで約130分
湯河原から箱根町まで・・・箱根登山バスで約55分
三島から箱根町まで・・・ 沼津登山東海バスで約50分
箱根強羅・仙石原地区の観光スポットを施設めぐりバスが便利です。ただし夏の箱根は渋滞があり、そこはご理解ください。

緊急報道スペシャル~食料危機~あなたは生き残れますか

TBS緊急報道スペシャル ~ 食料危機 ~ あなたは生き残れますか
7月16日夜放送(18時55分~20時54分)に出演いたします。
司会:関口宏さん
コメンテーター:涌井雅之さん(桐蔭横浜大学特任教授)
ゲスト:
立松和平さん、永島敏行さん、
田中義剛さん、高木美保さん、
大桃美代子さん、そして私 浜美枝です。
自給率39パーセント(カロリーベース)のわが国。
なぜこのような低さになってしまったのでしょうか。
世界中で食料の争奪戦がはじまりました。
そして、環境破壊が論じられています。
私達の住むこの地球はどうなるのでしょうか!
国民ひとり一人の問題として考えてみましょう・・・という番組です。
久しぶりのテレビ出演で緊張しておりますが、私も40歳で演ずることを卒業し、子育てをしながら全国を旅し、毎日の家族の食を担い、辺りを見回すと、
とんでもない時代になっていたんですね。
日本はどこへ行こうとしているのだろう?そんなわけで私なりの勉強を始め「農・食」の道に踏み込みました。
田畑をお借りし、10年間米づくりも学びました。
そんな経験の中での今回の番組出演。
「農・食」をテーマにテレビが取り上げてくれるのは、現場を回っている私には大変ありがたいことです。
皆さん、共に考えてみませんか。 
戦後日本の食の歩み、日本の農村風景の変化、
養鶏・酪農・水産の現場、
原油高の影響が地球にもたらす事、
原油高騰の背景にあるものは「食」を揺さぶる市場経済。
食料危機が迫っています。
ぜひ来週、水曜の夜の番組をご覧ください。 

何か変ですね

何故こんなに食べ物の値段が高くなるのでしょう。
何故こんなに偽装が発覚し、人々の暮らしをおびやかすのでしょう。
食料の争奪!・・・がはじまった。など等、輸入に頼りきっている私達の台所が大変な事態になっています。
第一次生産者が誇りをもって農業・漁業・酪農などに従事できるように、そして消費者が確かな目を育てられるように、ひいては「安らぎの食卓」を支える安全な食品をだれもが当たり前に手にいれられるようになればと、私なりに情報を発信し、提案を重ねてきたつもりでおりました。
ですから、わたしにとって、近年続出した食をめぐる数々の事件は、本当に衝撃そのものです。
なぜ、こんなことが起きてしまうのでしょう。
モラルの低下や対応の遅れが指摘されていますが、わたしは何より、笑顔で食卓を囲み、健やかに暮らすために食事を味わう・・・当たり前のことが欠落しているのではないしょうか?
本当の「本物の時代」を、自分たちの手で切り拓いていく時期にきているのではないでしょうか。
では、本物ってなんでしょう。
私は共生共栄ということではないかと思うのです。
「損得」でビジネスを考えるのではなく「善悪」という視点からとらえ、展開していくようなお互い信頼関係がきずけないものでしょうか?
切磋琢磨できる関係を作りあげられないでしょうか?
 
「体に悪いものは作らない・売らない・買わない」
そんなこと、夢物語でしょうか?
なぜ、命と直結している食品と、ガソリンに代わるエタノール用のとうもろこしを奪い合うのでしょうか。
資源の乏しい日本はこのままでいくと、安心して暮らせなくなります。
こうした時代、カギは「女性の視点」にあります。
子を産み育み、健やかな命を次世代につないでいこうとする女性、そして命を丸ごと抱きしめることができる女性ならではの視点を、真ん中に据えて、常にその思いに立ち戻りながらものごとを進めていけば、”何か変”は解決できるのではないでしょうか。