ルネ・ラリック展

落ち着かない日々が続きますね。
早い収束を願うばかりです。

なんとなく鬱々と落ち着かないときはには、美術館にひとりで行くのがベストですが、休館のところが多いですね。

私は休館数日前のまだ人の少ない平日午前中に目黒の東京都庭園美術館に行ってまいりました。”美しいものを見たいわ”とラリック展に。

全館撮影可なのでその時の作品を皆さまにご覧いただきたいと思います。私はお気に入りの美術館をいくつも心の中のリストに持っています。

東京都庭園美術館もそのひとつ。
この建物も庭も本当に素敵です。

建物は旧・朝香宮邸で、アール・デコ様式。玄関を入ってすぐにラリックのガラスのレリーフや壁面をおおうアンリ・ラバンの油彩画、壁や天井、階段の手すりなどのモチーフの面白さ、照明器具の見事さ、窓の美しい曲線・・・建物全体が宝石といってもいいほどです。

そこで、北澤美術館所蔵のルネ・ラリック、アール・デコ時代の作品220点が展示されております。

アール・デコ時代を切り開いたルネ・ラリック(1860~1945)。

アール・デコは、主として建築と工芸とファッション、グラフィックデザインなど、ある時代のすべての造形芸術です。この美術館は常設のものだけでも十分、見ごたえがあります。

いかがですか、美しいでしょ。2時間ほど一点一点作品を拝見しているとラリックの”自然観”が感じ取れます。日本の植物をモチーフにした作品も数多く残されております。

見終わり都会の真ん中にあると思えない静けさ、庭に出ると大きな木が春の陽光を浴び、早春の庭には初蝶の舞う姿を見かけました。ほんの数時間でしたが、のどかな気分を味わうことができました。

バスに乗り、家に戻る途中芦ノ湖の向こうに”春夕焼け”が。夕空を茜色に染め、ざわざわする心を優しく包み込んでくれました。

世界中一日も早い終息を・・・と祈っております。

東京都庭園美術館
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/200201-0407_lalique.html

日々を編んでいく(宝島社)

素敵な暮らしのエッセイをお書きになられた安田成美さんをラジオのゲストにお招きいたしました。爽やかな春の風を感じ、スタジオが華やかな空気に包まれました。とてもチャーミングな笑顔。初めてお目にかかりますが想像していた通りの方でした。

安田さんは1966年、東京生まれ。81年にCMデビューし、アニメ映画「風の谷のナウシカ」イメージソングで歌手デビュー。その後、数々のドラマに映画に出演なさり、94年、とんねるずの木梨憲武さんとご結婚。

女優として、仕事と家庭を両立なさりながら三人のお母さまでもあります。とても自然体です。木梨さんとは映画で知り合って、そうとう「付き合って!」と繰り返し告白されたとか。木梨さんとは「家族であり、仕事のパートナーでもあり、同居人で、仲間で同士」とおっしゃられます。

「長い年月を過ごしてきたので、今は「結婚してよかった」と、特に意識することもないのですが、ふたりの間に築いてきたものがある、という実感は確かなものです。」

「相手のことが大切であれば、それに連なる人も大切。憲武さんをこの世に送り出してくれた両親がいて、ご先祖様がいる。お墓参りも行くし、憲武さんの友達も大切に思う。一緒に幸せになりましょうという気持ちも生まれてきます」と笑顔で語られる成美さんには無理がない自然体なのです。

時間が許すかぎり毎朝二人でお嬢さんを学校に送って行き「私、バスでいくからいいのに!」と言われても二人で朝のドライブがしたいから・・・と。そこにも無理がなくいい年を重ねてきたお二人の姿が垣間見えます。

三人の子育てと仕事の両立の大変さは想像ができます。そしてこうも『やっぱり結局なるようになる』と思えるのです。私はきっと自分の声に耳をすまして、心が動くほうへと、生きていくのだと思います・・・、安田さんのそのお気持ち、よく分かります。私も同じですから。

ご本の中の”憂鬱なとき~私の場合”のページでは
●泳ぐ、ストレッチをする
●車を運転して外に出る
●愚痴らない
●ゆっくり原因探しをする
●贅沢をする(かなり簡単ネイルサロンやヘヤーサロンでヘッドマッサージ)
●思い込みを捨てる
●自分で自分を愛せているか
●今、今、今の連続~この瞬間はどんどん過ぎていきます。だから過去ではなく、未来を思い描きながらも今を生きなきゃと思うんです。今できること、今伝えられることをやっていたい。憂鬱でいるのも今のこの瞬間だけ。2日、3日と続いても、それでも今だけと思っていればいい。今、今、今。いつも私は、単純に、そうして過ごしています。

とおっしゃいます。

”強く、でも朗らかに穏やかに、そしてしなやかに生きよう。”とあります。編み物が大好きな成美さん。人生もひと針、ひと針丁寧に編んでいらっしゃるのでしょうね。心地よい時間をご一緒いたしました。

お知らせです。文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」の放送時間が変わります。
日曜日・9時半~10時までです。
1時間スタートが早まりました。

1本目は4月5日
2本目は4月12日
安田成美さんをゲストにお招きいたしました。お楽しみに。

日々を編んでいく(宝島社)

おそうじ

コロナウイルスで、皆さまも仕事以外はなるべく外出をひかえておられることでしょう。小さな子供を世話するため、在宅ワークをする親御さんたち。休校が始まって10日以上がたちストレスがたまっているのは子供たちだけではありませんね。新聞報道などによると「都心の人出 大幅減」とありました。

私は雨の降らないかぎりウォーキングはしております。都会暮らしではないのでその辺は安心ですが、やっぱり映画や美術館にいけない!というのは多少のストレスになっています。

でもせっかくの休日は有意義に過ごしたい・・・と思い『そうだわ、こういう時こそ日頃なかなか手が回らない部分の“お掃除”をしましょ!』というわけで、細かなところ、キッチン周りや冷蔵庫、床、グラス磨き等をしながら過ごしております。

私の家は芦ノ湖の近くにあるので使う洗剤類は「水を汚さない」モノを、と心がけております。ほんのちょっとの量で、しっかり汚れが落ちるもの、洗剤の使用量も減らしたい。フキンやまな板の除菌はしっかりしたい。そんなこんなで、私の家のお掃除グッズは同居している息子のお嫁さんがネットショップで扱っている商品を使用しています。

毎日使うものはシンプルなモノが続けやすい。
毎日使うならもっとワクワクするものがいい。
毎日使うからこそ正しいものを選びたい。

今日よりちょっといい明日のために
自然とまっすぐ向き合える

暮らしのモノ・コト集めました。

との彼女のショップのコンセプトが納得できるのです。と、言うわけで私が毎日使っているモノをご紹介いたします。彼女は2児の母親。毎日の暮らし方はとても丁寧です。彼女から商品のご説明や想いをひと言お話ししていただきますね。

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こんにちは。
私は2012年から『森から海へ』というネットショップを運営しています。

そもそもは、10年ほど前に環境問題のことに興味を持ちはじめたとき、温暖化など地球規模で物事を具体的に考えることが出来ませんでした。であれば洗剤など自分が毎日使うものを見つめなおすところから考えてみたいと思っていたところ『がんこ本舗』という会社に出会い、そこで働く機会をいただき様々なことを仕事を通じて学びました。

がんこ本舗は、洗剤を作りながらもなるべく洗剤を使う量を減らすためにいろいろな活動もしている面白い会社でもありました。

『エコ』というとどこか我慢して使い続けなくてはいけない、そんなイメージが当時私の中にはあったのですが、エコは楽しくないと続けられない!ということをその会社で働いて実感しました。

そんな想いを伝えたく、子育てをしながらでも長く続けられる『ネットショップで独立』という道をえらんで今に至ります。

前置きが長くなってしまいましたが、コロナウィルスの早い終息を願いつつも、この機会に日頃できないお掃除を、ということで今回はキッチン回りのお掃除におすすめな商品をいくつかご紹介いたしますね。

台拭きや床のお掃除に『コレカラのフキンシリーズ』

見た目もかわいくてついつい見えるところに置いておきたくなるフキン。タオル地の表面に付いているゴムは油分を吸着するはたらきがあることから軽い汚れであれば洗剤も不要。吸水性も抜群です。

洗剤を使いたくないレンジや冷蔵庫などの拭き掃除にもおすすめ。台拭きとしての役目を果たしたら今度は床掃除用にと長寿命のフキンです。汚れや臭いが気になったら酸素系漂白剤での浸け置き洗いをおすすめします。

拭き掃除全般におすすめ!食器用洗剤『森と…』

食器洗いとしてはもちろん、お掃除にも大活躍の『森と…』シリーズ。
スプレータイプは家中の拭き掃除全般にお使いいただけます。
二度拭きも不要です。

巻きまきがんこクロス

洗剤いらずのトイレットペーパー状のお掃除クロス。
水をつけてこするだけでふしぎと汚れが落ちていきます。
IHやコンロ回りはこれだけでピカピカに。
少し長めにカットすれば水栓周りの手が届かない部分も楽々お掃除できます。

ネットショップ「森から海へ」公式サイト
http://www.mori-umi.com/

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みなさま、大変ですが一日も早い終息を願い、ここはしっかり身を守りましょう。そして、入院なさっておられる方々の一日も早い回復をお祈りいたします。

ひなまつり

3月3日はラジオ収録のため東京に出かけ、その帰りに楽しみにしていたのが、根津美術館の特別展「虎やのひなまつり」展でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため2月29日から3月16日まで全館休館となりました。

8年ほど前に観に行きすっかり魅せられてしまい楽しみにしていたのですが、仕方がありません。和菓子の老舗、虎屋十四代店主・黒川光景が長女のために揃えた雛人形と雛道具。明治中ごろの作品で気品高い面差しの”おひなさま”です。

私にとっての、永遠に解決されることのないコンプレックス。それは、おひなさまを持っていないこと、といったら人は笑うでしょうか。

春は一年のなかで一番希望に燃えて、特別好きな季節のはずなのに、三月三日、桃の節句のその日だけはいまでも、胸に小さな痛みを感じる日なのです。

昭和18年、あの戦争の真っ只中に生まれたせいもあり、子どもの頃の私の家におひなさまはありませんでした。終戦後も、日々を生き抜くことで精いっぱいの両親は、ひとり娘の私のために雛人形を買ってやるなど望むべくもなかったのでした。

あの頃は、学校のお友だちの家々でもひな祭りの日に立派なお人形を飾っている家庭のほうがむしろ珍しい時代でしたが、それでもその日になると、「私の家には雛人形がない」ということが、私の胸にたまらない寂しさをさそったのです。

それは、お友達の家にはあるのに私の家にはない、といった他人と比較して貧しさに対するコンプレックスではなく、いまから思えばもっと心の根っこの方で渇望していた、根源的ともいえる寂しさだったような気がします。

少女の心というものは、自分が直接手に触れたり垣間見たりしたことのないことでも、本で読んだりしたことのなかにとても魅力的なものがあれば、それに対してはてしない憧れや夢想を広げます。

私がどんなに逆立ちしても手に入れることのできないもの、それはひなまつりの日の五段飾りの雛飾りに象徴される、古い「旧家」のイメージでした。

三月三日が近づくと、お母さんが押入れの奥にしまっておいた箱のなかからお内裏さまやおひなさまを出しているイメージ。白いやわらかな紙に包まれた三人官女や五人囃子の人形たちが、一年にたった一度赤い毛氈を敷いたひな壇に飾られる日・・・。

私の目の裏で像を結ぶそんな映像こそ、少女の頃から憧れてやまない、伝統と由緒ある「旧家」のイメージなのでした。

身ひとつで地方からそれぞれ都会に出てきて必死で生き抜いた両親。根なし草の家庭に生まれた私は、自分が決して味わうことのできない旧家の伝統やしきたりに、つきない憧れを抱いていたのでした。

「私はおひなさまを持っていない・・・」という渇望感、そのコンプレックスは、大人になってそれなりの収入を得るようになっても、決して解決するものではありませんでした。

考えてみれば、社会に出て多少収入を得るようになってからというもの、ずっと古い民具や道具ばかり買い集め続けているという私の性癖も、「おひなさまがない」という、少女の頃の飢餓感にその根があるのかもしれません。

子ども時代の私の家にはおばあちゃんの使っていた針さしとか、おじいちゃんの匂いのついている火鉢といったものは何もありませんでした。ルーツというものを持たない私たちの暮らしはどこか心もとなく、私の胸のなかにはいつも音もなくすきま風が吹き続けていたような気がします。

でも、この年齢になって少しづつ私の心は満たされてきました。

1971年生まれの有識御所人形師 伊東建一氏の立雛に出逢いました。江戸時代から続くお父さま十二世・伊東久重さんからその伝統はしっかり次世代の建一氏に受け継がれています。

私の”おひなさま”を飾った部屋で孫たちと一緒にちらし寿司を作りいただきました。心が軽くなってきました。年のせいでしょうか・・・孤独の明るい面を、ゆったりと自覚できるようになりました。