映画『嘘はフィクサーのはじまり』

私の大好きな、大好きな、ファンのリチャード・ギアの主演作品です。

『溢れるウイットと歪んだ人間賛歌。
見たことのないリチャード・ギアにのけぞった。
ノーマンはさながら神話の主人公だ。
負け犬で、奴隷で、ほら吹きで、夢見る男・・・・・
ソール・ベローやフランツ・カフカ、
アイザック・バシェヴィス・シンガー、
そしてメル・ブルックスとコーエン兄弟の主人公たちがそこにいる。』
[ニューヨーク・タイムズより]

これだけで、これまで私たちが見ていたきたリチャード・ギアとは違うことがお分かりいただけるでしょう。彼が今まで演じてきた役柄はある意味で共通するところがあり、そこがまた素敵でセクシーで私など首ったけでした。

「愛と青春の旅だち」(82)、「コットンクラブ」(84)、90年の大ヒット作「プリティーウーマン」、「心のままに」(93)、「シャル・ウイ・ダンス?」(04)など等。

俳優活動の傍ら、熱心なチベット仏教信者で人道主義者としても活動しています。そんな彼が今回選んだ作品のノーマン・オッペンハイマー(リテャード・ギア)はくたびれたキャメルのコート、茶色っぽいハンチング、黒いショルダーバックをたすき掛けして、つねに携帯電話のイヤホン(マイク付き)を耳にかけしゃべりまくる・・・。

名前はユダヤ系。6ヶ月にわたり自分自身とは真逆の世界を生きるキャラクターの所作やボディーランゲージを学んだそうです。『耳を少したててみたんだ。ちょっと滑稽にみえるくらいに』と。

ノーマンを取り巻く人々は、イスラエルのカリスマ政治家で首相。ユダヤ人弁護士。有名実業家。イスラエル法務省の女検察官等。「フィクサー」「ユダヤ人」「アメリカとイスラエル」「ニューヨーク」これだけでストーリーは想像していただけるのではないでしょうか。イスラエルとアメリカの合作です。

監督・脚本のヨセフ・シダーは仰います。『リチャードを今まで私たちが見ていた姿とは全く違うように見せたかった』と。かっこいいアルマーニのスーツも着ていないし・・・。

監督は1968年ニューヨーク生まれ、6歳でイスラエルに移住した経歴の持主。映画のなかでは英語とヘブライ語が入り混じり、センスよくニューヨーク的とイスラエル的が交じり合い、『あ~スーパーでなく言語がわかったらこのニュアンスはより理解できるのに~・・・』と思った私でした。

この映画には悪党の姿はありません。お金の受け渡すシーンも出てきません。リチャード・ギアの意気地のない顔、度胸のない顔、自信のない顔・・・それでいて可愛らしい大人の男の姿を見せてくれます。

ストーリーはあえて載せません。国際色豊かな実力者たちがギアをサポートします。

あ~やっぱりギアさまは素敵!やはりシャレてる。

と、同時に混迷する世界のなかで政治、経済、社会、宗教、人種・・・さまざまなテーマを見せてくれた作品です。少し、疲れましたが忘れられない映画でした。

映画公式サイト
http://www.hark3.com/fixer/

全員巨匠!フリップス・コレクション展-三菱一号館美術館

全員巨匠!フリップス・コレクション展

ワシントンDCに1918年に創設され、1921年にフリップス・メモリアル・アート・ギャラリーとして開館した美術館。実業家フィリップス氏が生涯をかけて収集したコレクションはまさに、『全員巨匠!』ピカソ・ゴッホ・モネ・ボナールなど。

ひとりのコレクターが収集した年代順に展示されていて、その源泉をたどることができます。強い情熱と高い見識は見事としかいいようがありません。

秋の暖かな陽光の中、丸の内まで出かけてきました。「三菱一号館美術館」です。お昼時は中庭でランチをするサラリーマン。子供連れのママ達。大都会のなかのオアシスのような空間です。

この美術館の建物が生まれたのは19世紀末。明治期のオフイスビルが復元され美術館へと生まれ変わったのです。フィリップスミュージアムも彼の館が美術館へと生まれ変わり、ともにレンガつくりの瀟洒な建物です。

正直に申し上げると『心地よい疲労感』で、観終わってからカフェでひと休みいたしました。室内にどのように飾られていたかも写真で見られますし、私がまず感銘をうけたのはフリップ氏の絵画・画家への想いがつづられている文章です。

『絵画は、私たちが日常生活に戻ったり他の芸術に触れたりした時に、周囲のあらゆるものに美を見出すことができるような力を与えてくれる。このようにして知覚を敏感にするよう鍛えることは決して無駄ではない。私はこの生涯を通じて、人々がものを美しく見ることができるようになるために、画家たちの言葉を人々に通訳し、私なりにできる奉仕を少しずつしてきたのだ・・・』

会場に入りいきなり観たかったウジェーヌ・ドラクロアの「ヴァイオリンを奏でるパガニーニ」の演奏する姿にはのけぞってしまいました(笑)”きっと奥のほうにある”とばかり思っていましたから・・・購入順に展示されているからなのですね。

そんな展示のしかた等お話を館長の高橋明也さんから伺いました。

以前三菱一号館美術館のホームページで対談をさせて頂きました(館長対談で掲載中)。共感できることが多々あり、”これからの美術館のあり方”など、じっくりお話を伺いたくラジオ「浜 美枝のいつかあなたと」にお迎えしお話を伺いました。

高橋さんは、1953年生まれ。

1965年に大学教員だった父のパリ赴任に伴い、12歳の時に横浜港から船でフランスに渡ります。10代の多感な少年時代、言葉も分からず遊び場は週1回無料開放しているルーブル美術館だったとか。その後、東京藝術大学大学院 美術研究科修士過程を終了。オルセー美術館開館準備室に勤務され、国立西洋美術館主任研究官などを経て現在にいたっておられます。

私が一番伺いたかったのは海外の美術館では、子供たちが床に座り込んで絵をスケッチしている光景をよく見かけます。日本では難しいのか・・・無垢な子供たちが本物に出会い、本物を見る目を養っているの姿を館長はどのようにお感じになっておられるのか。など等、話しはつきませんでした。

ラジオをお聴きください。
そして来年2月11日まで(フリップスコレクション)は開催されています。
美術館のホームページの(館長対談)も覗いてみてください。

「浜 美枝のいつかあなたと」
文化放送 11月18日
日曜日10時半~11時まで。

三菱一号館美術館公式サイト
https://mimt.jp/