「かながわ里地里山シンポジューム」~未来に引き継ごう!私たちの里地里山

神奈川県主催のシンポジュームが新百合ヶ丘のホールで開催され、私も講演、シンポジュームに参加してまいりました。


450人のホールいっぱいの人。県内で活動を行なっている団体・大学・企業による活動、研究発表もありました。私は講演で「美しい暮らしを通した里地里山の魅力」についてお話をさせていただきました。
箱根の森の中に家を建てて、もう40年になろうとしています。これまで箱根の山の自然に満足していたので、実は地元の里地里山を知る機会が以外に少なく、全国を旅してまいりましたが今回改めて県の方にお願いして、事前に三ヶ所だけでしたが伺いました。
素晴らしい里地里山・・・が皆さんの手で守られていました。里地里山はそう簡単に保全できるわけではありません。集落と農地、水路、ため池、雑木林、それら全てが一体となって始めて「美しい里地里山」になるわけです。長い時間と労力がかかります。


平塚市土屋の「里山をよみがえらせる会」では田畑の復元保全・雑木林の復元・田植え、稲刈り体験・野菜作り体験などに取り組まれています。なかでも素晴らしかったのは雑木林に遊具を手づくりで造り、市内の幼稚園などに開放していること。地元小学校、大学と連携した「生き物調査」などを実施しているとお話をうかがいました。
農家の方やリタイアしたおじいさんたちが孫の笑顔をみるように作業をし、女性たちは手づくりの漬物などを準備し迎えてくださいました。この季節ですと、落ち葉で山を滑り台かわりにするなど、子どもたちにとってその想い出は一生忘れることがないでしょう。
南足柄市大雄町の「五本松・原花咲く里山協議会」は様々な活動を通して地域の活性化をはかっているとのこと。箱根町・畑宿の「箱根旧街道畑宿里山と清流を守る会」など等、足元に「美しい景観」があったのですね。
これまで私は全国を旅し、様々な美しい景観を保全し、守ってこられた地域をみてまいりました。しかし、近年は鳥獣被害、農産物の価格低迷、農家の高齢化、水田の耕作放棄が増加していることも事実です。逆にそうした棚田を利用した再生や付加価値のある野菜作り、6次産業化などで女性が主役になり「農家レストラン・農家民泊」など新たな挑戦も活発ですし、若者がまったく新しい視点で「田舎」を演出しています。
『自然こそは私たちが身動きできなくなった時に飛び込める、おおきなふところ』と私はいつも思っています。そして以前こんな言葉を聞きました。『山が荒れると川が荒れる。川が荒れると海が荒れる。そしていつしか人の心も荒れる』と。人も、ものも、自然も、愛されてこそ輝きをますものだと思います。そして、長くお付き合いをすればするほど、深く、楽しく付き合えることができるのではないでしょうか。
パネルディスカッションでも、活発な意見交換、提案があり有意義な一日でした。

『ボケてたまるか!』

この度、「ボケてたまるか! 62歳記者認知症早期治療実体験ルポ」をお書きになった週刊朝日編集委員・山本朋史さんをラジオのゲストにお招きしお話をうかがいました。
山本さんは1952年、福岡県のお生まれ。リクルート事件、オウム事件、KSD事件など取材に携わってきた敏腕記者です。その山本さんの認知症早期治療の実体験・300日間の記録です。
今、日本で認知症の方は462万人いて、その予備軍を含めると860万人を超えるそうです。長年、山本さんは活字の世界にいるため、記憶力には自信があったそうですが物忘れがひどくなる。仕事でダブルブッキングをした時にはショックを受けたそうです。きっかけはご自分の責任でペットを死なせてしまい、ペットロスからくる喪失感や無気力感、自己嫌悪。そこから軽い鬱になられたとのこと。そんな山本さんが医療関係者に相談し、大学病院の精神科「物忘れ外来」へと行くのです。
表紙の帯にはこのようなチェックポイントが書かれています。
○ 俳優の名前が出てこない
○ 漢字を忘れてメモが出来なくなる
○ 予定をダブルブッキングした
○ 買ったはずの勝ち馬券を買い間違えていた
○ 認知症かと不安で夜も眠れなくなった
・・・・・こうしてぼくは、「物忘れ外来」に飛び込んだ。と。
う~~ん。
私だって漢字は出てこない、人の名前が出てこない、スケジュールは間違えないようにダブルでメモをする。列車のチケットを勘違いで購入する・・・など等。
「これって年を重ねていけば当然よね」なんてのん気に思っていました。しかし、お話を伺っておりますといかに初期にトレーニングをすれば回復するかがわかりました。本人が自覚する。身近にいる人が感じる。友人達が感じる。様々ですが、本人が自覚し早く治療を受けることの大切さを実感いたしました。そもそも「物忘れ外来」があるなんて知りませんでした。
ラジオでは具体的なデイケアでのトレーニングや生活習慣などの見直し、ご家族の理解を得ることなど大変参考になるお話でしたし、御著書は分かりやすく、美術療法や筋肉訓練、日常生活の中からのトレーニングなどが書かれています。
「ボケ記者といわれてもいいと告白」しそれを支えた同僚。なんと、週間朝日でルポを連載。同じ悩みを抱えている人も多いと思っての連載、出版だそうです。
症状はまだ軽いが認知障害の疑いがあると言われた。まだ認知症まで進んでいない。しかし、このまま放っておくと数年後には症状が進んで認知症になる可能性がある。恐ろしかった。危機一髪だった。
(はじめより)
去年、大きな国際会議でオープニングスピーチをなさったとのこと。そう、他人事ではありませんよね。ご興味があったらご本を読んでください(朝日新聞出版)。そしてラジオをお聴きください。
文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」
2月8日(日曜)10時半~11時までの放送です。


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旅気分 『東京駅100年の記憶とハヤシライス』

旅に出たいな~!という思いに駆られたときの大切なスポットがあります。
東京駅です。
構内にある「東京ステーションギャラリー」で東京駅開業百年記念「東京駅100年の記憶」が開催されています。(2015年3月1日まで)


近代建築史や絵画、写真、東京駅が出てくる文学など、あの赤レンガの丸の内の駅舎がどのように記憶されているか・・・。2012年秋に復元工事が終わり、新しいスタートをきりました。関東大震災と第二次世界大戦をくぐり抜けてきた建築当時のレンガが使われています。


歴史的建造物としての100年の記憶。昭和39年10月1日に新幹線ひかりが東京駅から大阪へと始めて時速200キロで走った記憶。その前の「ツバメ」で京都まで行った記憶。私が初めて新幹線に乗って京都まで行ったのは昭和42年春だったと記憶しています。食堂でカレーライスを食べながら見た富士山の美しさに感嘆しながらのひとり旅。多くの人が食い入るように見つめています。きっとご自分の人生に重ねあわせているのでしょうか・・・。
東京駅は、旅の拠点や毎日通勤に通う駅、というだけではない”何か”を感じさせてくれる場所です。ギャラリー館内を巡れば、当時のレンガが語りかけてくれます。重厚なのにモダン。心地よさと、レンガを通して二度と起こしてはいけない戦争。今回の展覧会も素敵です。


そうそう、もしいらしたらお薦めのスポットを。それは美術館へ入った人しか見られない風景です。ギャラリー2階の回廊からの眺め。美しいドームが干支の彫刻、レリーフなど身近に見る美しさには目をみはります。見下ろすと床面に描かれた文様。以前はジュラルミンと鉄板で仕上げられていたドームの内部を床面に転写したとのこと。おしゃれ。その2階から人々の行き交う姿を見ているだけで100年の歴史を感じます。ギャラリーを出て外から眺める東京ステーションを一望すれば心がウキウキしてきます。


そして、私の秘密基地。
駅中にある日本食堂のカウンターに座り”ハヤシライス”をいただくのです。カウンターには全国の路線地図が置かれています。その地図を見ながら全国にいる友人達のことを思ったり、美しい風景を思い描いたり、壁面にはかつての食堂の写真などが飾られています。もう、もうすっかり旅気分です。

寒中お見舞い申し上げます。

寒中お見舞い申し上げます。
皆さまはどのようなお正月をすごされたでしょうか。
七草粥も食べ、さ~あ、今年も健康で過ごしましょう!などとつぶやいている私です。


元旦は家族で祝い2日、3日はそう・・・私にとって欠かせない「箱根駅伝」の応援です。毎年ドラマがあり若者たちの熱き思いとひたむきさには観ているこちらが勇気と感動をいただきます。
それにしても・・・今年の5区を走破した神野選手には驚きました。青山学院の選手一人ひとりが今までのマラソンのイメージを大きく変えましたね。監督は選手たちと寝食を共にし、現代の若者に理解できる指導があったればこそ、と思いました。参加した選手、それぞれにドラマがあり私たちに爽やかな力を与えてくれます。ありがとう!


そして、箱根神社に参拝。年末年始の初詣はすごい人なのです。私は毎年4日夜明けとともに静謐な中、神社へと向かいます。凍てつく芦ノ湖周辺を歩き、冬ざれの墨絵のような世界・・・。山の木々は葉を落とし、身の引きしまった空気がたまらなく好きです。
昨年71歳になったとき運転免許書を返納しました。「これからの20年は、よりいっそうスローな暮らしを楽しめばいい。旅もローカル線でいい。」不要なものを整理して、生活を縮小することで、すっきりするだけでなく、エネルギーを蓄えられるような気もします。よどんでいた空気がなくなり、新たに気が巡りだしたような気持ちがします。


箱根で静かに暮らすのが、私の幸せのひとつの形。それは確かなのですが、ただ静かにしているのを私はまだまだ望んではいないのでしょう。昨年の冬はとりわけ箱根に雪が多かったのですが、今年はどうでしょうか。でも、箱根のこの山の中に暮らすことで、光が木々の枝の間からきらきらと差込み、青空の中に雪山が白く明るく光り出すたびに、私は毎回、再生のイメージを感じます。10年後の光を目指して、再スタートしてみたいと思ったりもするのです。


“皆さまにとって今年も幸多かれとお祈り申し上げます”

新年のご挨拶

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新年おめでとうございます。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
今年は、私の干支・未年です。
また新たなスタートラインに戻ったという気持ちで、
好奇心に胸をはずませ、美しく年齢を重ねることもテーマとして、
今という時期を大切に一歩一歩進んでまいります。
「やまぼうし」では、暮らしを彩る展覧会やワークショップなど
数多く企画しています。ぜひお出かけくださいませ。
お待ちしております。
平成二七年 一月一日
浜 美枝