67歳の誕生日

奈良を旅してまいりました。
賑わう奈良の街から離れたところにある奥深い山と渓谷に囲まれた室生の地、女人高野・室生寺。かつて土門拳先生が1ヶ月近く、雪舞う室生寺を撮影するために逗留した橋本旅館の前を歩きながら・・・想いました。
「魅かれるものに魅かれるままジーッと眺める。モノを長く眺めれば眺めるほど、それがそのまま胸にジーンとしみて、僕なりの見解が湧く」
(私の美学・あとがきより)
先生はどんな思いでシャッターをおされたのでしょうか・・・。

奈良から桜井、そして近鉄(大阪線)で室生口大野へ。
バスで15分ほどで室生寺へ到着します。
大自然と調和して、いつ訪れても四季おりおり移ろう佇みの美しさ。
楓の紅葉や銀杏の黄葉が深山の緑に錦を織り、夏に訪ねた涼風とはまた違った室生寺。

石段を上ると金堂(平安初期・国宝)へ。一本造りの御本尊、釈迦如来立像(平安初期・国宝)、薬師如来像、そして地蔵菩薩像。檜皮葺きの屋根、朱塗りの柱や白壁の五重塔(平安時代初期・国宝)が私を迎えてくれます。
私のもっとも好きな客仏の釈迦如来坐像が静かに・静かに佇まれており、じっくり対話ができました。
幸せな67歳の誕生日。
限りある命であることを正面から受け止めなくてはならない辛さもあるでしょう。でも、そうした孤独もつきつめていくと、その奥には、生きていることに感謝する気持ちが隠れているのですね。私は奈良の旅でそれに気づいたとき、それまでよりもいっそう、人が恋しくなったような気がします。
なにごとも、いいことだけではなく、悪いことだけでもないということなのでしょう。自分の生命を丸ごと慈しみ、おもしろがり、楽しんでいきたいと思っております。

浜美枝のいつかあなたと ~近藤文夫さん

文化放送 浜美枝のいつかあなたと (日曜10時半~11時)
今回は銀座「てんぷら近藤」のご主人・近藤文夫さんをスタジオにお招きいたしました。
近藤文夫さんは1947年、東京都足立区のお生まれ。
高校卒業後、「山の上ホテル」に就職。天ぷらや和食の料理人として修行を積まれ1991年に独立し、銀座に「てんぷら近藤」を開店。お店は多くのファンをもつ名店として知られています。
山の上ホテルの時代から、作家の池波正太郎さんとの交流があり、現在、池波さんとの思い出を綴られたご本『池波正太郎に届ける「おせち」』(筑摩書房)が発売中です。
近藤さんが台所に立ったのは6歳の頃。
お父さまを早く亡くされ、4歳年上のお兄さまとで家事を受けもっていらしたそうです。(私もその頃からカマドでご飯を炊き、いわしの煮付けなど家事を任されていました)
日本にはこんなに美味しい野菜がたくさんあるのに、どうしてそれを使わないのだろう。自国の野菜を天ぷらに!それが「海老と野菜の天ぷら」として生まれ、天ぷらを進化させたのです。
池波正太郎の随筆にはたびたび近藤さんのことが書かれていました。
「先生と僕が親しくなれたのは、僕の”失敗”がきっかけです」と語られる近藤さん。心底、先生を尊敬されていらっしゃることがスタジオでも伝わってきます。ある時「未熟ということが大切なんだ。僕だって未熟だよ。天狗になったらおしまいだよ」と池波正太郎さんはカウンターごしに語られたそうです。
そして、池波正太郎さんは、最期に急性白血病で入院されたとき、近藤さんの「天丼」を食べたいとおっしゃられ病院の入り口まで届けていただいたそうです。独自の薄衣でからりと揚げられたホクホクの空豆と海老の天丼。それが最後の近藤さんと池波さんをつなぐ届け物。
早朝から魚河岸に行き、ある時は生産者を訪ねて北海道まで。
「池波先生がいつ訪ねてきてくださっても召し上がっていただけるよう、皆さまに心こめて揚げています」・・・と。
師走の第二週目。十二月十日からおせち作りが始まるそうです。
本の写真はカラーでそれは美味しそう。
素晴らしいお話を近藤さんからたくさん伺いました。
ラジオを聴いてくださいね。(放送日1月16日)

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映画「クレアモントホテル」

映画「クレアモントホテル」を観てまいりました。
ロンドンの古い街角にある、時代から取り残された小さなホテル。
その小さなホテルでくりひろげられる人間ドラマ。
主人公パルフリー夫人が語ります。
「これまでの人生、私はずっと誰かの娘で、誰かの妻で、誰かの母親だった。だから残りの人生は、私として生きたい」・・・と。
初老の未亡人と青年との出会い。
主人公パルフリー夫人を演じるのは、アカデミー賞ノミネートやトニー賞を受賞したベテラン、ジョーン・プロウライト。(故ローレンス・オリビエ夫人)
原作 エリザベス・テイラー(イギリス人作家)
監督 ダン・アイアランド
青年役にはロンドン生まれのルパート・フレンド
老夫人と青年の心あたたまる交流が描かれています。そこには限りない愛が存在します。孤独と、より良い人生を静かに演ずる主人公の生き方に、私自身の生き方を重ねてみます。
歌手の小椋桂さんがテレビ番組のインタビューに答えておられました。「人生年を重ねれば、坂道を下りてゆきます。ただ、その道を上がり道と捕らえるか、下がり道と捕らえるかで随分違う。もう・・・なのか、まだ・・なのかでも違う」と。
私は、箱根の山を時間が許すかぎり歩いておりますが、ときにはだらだら道を歩いておりますと、足元に咲く可憐なスミレを見つけたり、急な山道を息を切らしながら上がっていると、雲の流れに目を奪われたり、その日、その日の自然を体ごと受け止めている自分に気づきます。
そうなのですね。この映画は、いかに自分らしく行き抜くかを問われているように感じました。そして、最後まで自立して生きる。あきらめない。そこには老いも若さも互いに共有できる愛があるのです。気品ある生き方に感動いたしました。

12月4日(土)より、東京・岩波ホールで公開。
オフィシャルHP http://www.cl-hotel.com/

浜美枝のいつかあなたと ~天沼寿子さん

文化放送いつかあなたと(文化放送日曜10時半~11時)
今回はお客さまにインテリアやアンティーク雑貨の専門家・天沼寿子さんをスタジオにお迎えいたしました。
天沼さんは東京のお生まれ。
大学を卒業後、貿易会社勤務などを経て、アメリカに移住。
8年間のニューヨーク滞在の経験を生かし、帰国されてからはカントリーショップ「デポー39」を設立され、現在はインテリアのアドバイザーとして活動され、
これまで書かれたご本には
カントリーアンティークの家づくり
デポー39ものがたり
などがあります。
現在は最新刊の「人生をリセットする、部屋の片づけと模様替え」(主婦の友社)が発売中です。
今年もあと2ヶ月。そろそろお家の片付けや大掃除を計画なさっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。私は12月の半ばの週で、1週間かけて計画的にしようと思っております。
そこでスタジオでは天沼さんにお家の片付けや、本のタイトルにもあるように「人生をリセットする、部屋の片付けと模様替え」についてお話を伺いました。
このご本は中高年をターゲットに書かれたそうです。
私もそうですが実際、人生の後半(中高年以降)になってくると「子供の独立」や「夫の定年退職」、「家族との別れ」など生活自体に変化が起きます。そんなとき、どう生活をリセットするかなど具体的にお話を伺いました。
なかなか私達の年齢は物を「捨てられない」世代。
そこで「自分自身のライフスタイルの見直し、リセット」・・・大変参考になりましたのでぜひラジオをお聴きください。
私は子どもたちが巣立った60歳のとき、家族との思い出がたくさんつまった家から人生の荷物を整理して「小さな暮らし」を始めることにしました。残りの人生を大切に、軽やかに生きられたら・・・そんな思いでした。これからは自分の時間を大切に生きたいとも思っております。
天沼さんとはかれこれ30年来のお付き合い。
「デポー39」には随分と通わせていただきました。
イギリス・アメリカのアンティークはすべて天沼さんの審美眼で選びぬかれた物ばかり。
“家を癒しの空間”にするちょっとした工夫。
年末にかけての計画をなさってみてください!
放送は12月12日です。

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