ひと足早いクリスマスの集い

先日、箱根やまぼうしに雑誌ゆうゆうの読者約40名の方がお集まりくださり
「クリスマスの集い」で楽しいおしゃべりをさせていただきました。

私が大好きな西伊豆・間菜舎の焙煎コーヒーのおともには、昨年小田原にオープンされたパティシエ・鎧塚俊彦さんのお店から「ムッシュ・キタノ」と名づけられた美味しいケーキをお出しさせていただきました。
鎧塚さんはカカオにこだわりを持ち、当日のケーキはピンクペッパーと花山椒をベースとした大人の味。美味しいコーヒーとケーキでホッと一息、とても幸せな時間です。

「ゆうゆう」は4年連載をさせていただき、「凛として、箱根暮らし」という本になりました。
当日は同世代、少し先輩、少し年下の方々。
三分の二はおひとりでの参加です。
北は北海道から南は熊本まで。
我が家で過ごしてからは山のホテルで一泊。
翌日は箱根神社参拝や美術館巡り
日ごろは家事に追われている皆さまに申し上げました。
「ご自分へのご褒美よね!」と。
おひとり・おひとりに人生があります。
女性の人生は、家族を精神的に支えることが求められるだけに、男性より悩みが複雑かもしれません。けれども、その大変さを乗り越えることで、より豊かな自分になれるのではないでしょうか。
かたい握手をしながら「浜さん、私がんばれそうです」とおっしゃった方。「明日からまた日常に戻り、主婦を楽しみます」とおっしゃった方。
そうですよね。
人生の中に楽しいことや嬉しいことばかりでなく、苦しかったことや悲しいことなど、ぎっしり詰まっていますよね。
皆さんのお顔が輝いておられました。
素敵な出逢いをありがとうございました。

長岡エンジン02

「長岡エンジン02」に招かれ、温泉エッセイスト・山崎まゆみさんとのトークに参加致しました。
テーマは「ニッポン女旅学~暮らすように旅する」
まゆみさんは秘湯や、町の銭湯のような湯でおじいちゃん、おばあちゃんなどと混浴し、その土地の文化を紹介しているとてもチャーミングな女性です。私も一人旅が多いので「暮らすように旅する」は大賛成。温泉の入りかたから、入浴のコツ、など楽しいお話が伺えました。

いつものことながら仕事の前日には到着し、周辺を散策しました。
まずは長岡市内の朝市へ。秋の味覚キノコ、食用菊など豊富な野菜に出合いました。その後はまゆみさんと、友人、女性3名で「寺泊」に行きました。

鎌倉ゆかりの寺泊は歩くにかぎります。
民俗資料館から白山愛神社、古くから海上安全の神として崇拝されてきた神社。江戸時代の寺泊は、江戸や大阪、四国を出帆し、能登半島を廻って、北海道へ交易した北前船の寄港地であり、海上交通の要津として栄えた場所でもあります。
眼下に日本海。遠く佐渡が見えます。
多くの歌人が逗留されたところでもあります。
良寛はすでに家運が傾いていた生家には立ち寄らず
来てみれば
わがふるさとは荒れにけり
にわもまがきも 落ち葉のみして
と詠み半年後、いずこともなく行方を絶ってしまいます。
再び放浪の旅から寺泊に帰ってきたのは45歳くらいのときだったといいます。
かつて遊郭のあった路地を通り、群生する石路や藪椿を見ながら高台に出ると急に視野が広がり街なみや港が一望に見渡され、佐渡も手に取るように眺められます。

そして、街に下り魚の市場通り(通称=魚アメ横)では取れたての魚は圧巻でした。
午後には長岡市内に戻らなければいけないので、今回は温泉はパス。そのかわり、お昼に食べたキンキの焼き魚の美味しいこと!!!
油がのっているのに新鮮だから身がプリプリしているのです。真冬の2月ころにはタコの内臓が食べられるそうです。これは食堂、市場にも出回らず、漁師さんたちの楽しみの味とか。
あ~!食べたいな。
今度は雪深い2月に行ってみたいです。

伊東建一~御所人形の世界

『箱根やまぼうし』からのお知らせ
伊東建一~御所人形の世界
11月18日(日)~25日(日)※21日休館
11時~17時(最終日15時まで)
御所人形にはじめて出逢ったときの感動は忘れられません。
「十二世 伊東久重 御所人形展—慈しみのこころ—」展でのこと。
透き通るような白い肌に真っ黒な髪。
そのふくよかな姿の愛らしさ。
完成までに一年近くの年月がかかること、
すべての工程にを自らの手で創り上げること・・・
などお話を伺うとその伝統の奥深さを感じます。
その伝統工芸の御所人形がご子息の長男・建一さんに
しっかりと受け継がれています。
天皇をはじめ高貴な人々に愛された人形のもつ品格と技が
しっかりと継承されていて思わず抱きしめたい衝動にかられます。
我が家でその御所人形は赤い着物をきて優しく佇んでいます。
私の大切な大切なお人形。(伊東久重作)
この度は「箱根やまぼうし」で建一さんの素晴らしい作品の
展覧会を開催させていただけることになりました。
また、十二世 伊東久重氏の作品も展観したします。
ぜひ生活空間の中で御所人形に出逢ってください。
晩秋から初冬へと移り変わる美しい箱根。
ぜひお越しをお待ち申し上げております。
展覧会の詳細はホームーページをご覧ください。
http://www.mies-living.jp/events/2012/goshoningyo.html

萩への旅

今回の旅はちょっと硬いテーマ。
全国農村アメニティー・シンポジュームで「農業の危機の克服に向けて」~農業と集落の再生へ~という会に出席いたしました。
第一部の講演は萩の野村市長と私でした。
そして第二部はシンポジューム。

私はこのような仕事のときはなるべく早めに現地入りし、現状をしっかりと見せていただくようにしています。2日前に萩入りし、まずはどうしても拝見したかった山口県立萩美術館・浦上記念館で開催されている「古萩・江戸の美意識」展に行きました。
「一楽・二萩・三唐津」と謳われ、侘び数奇に適う茶の湯のお道具として高い評価を得てきた萩焼の茶碗。これほど見事なお茶碗をこれだけ一同に拝見したのは初めてです。
“江戸の美意識”
その多様性にとんだ豊かな美意識に圧倒され、声も出ないほどの感動でした。その後は小雨降る中の城下町を散策。国指定史跡に指定されており、周辺は今も江戸時代の地図がそのまま使える程町筋が残っています。萩藩御用達の豪商菊屋家やなまこ壁の土蔵、高杉晋作誕生の地、など往時の面影をとどめたものがたくさんありました。
夜は旅の楽しみのひとつ、一人でのんびり、地のものをいただき、熱燗でのひととき。至福の時間です。40年近く旅を続けてきて、その町を知るにはこの”ひとりの時”がとても大切なのです。
翌日は役場の方のご案内で萩市内を1日かけて拝見したしました。
萩市は合併により、東京23区くらいの広さです。
旧萩市中心部は平坦な地形が多いですが、ほとんどが山間地にあります。

そして、6つの離島「萩・六島村」。
農林水産業と観光都市として有名ですが、山間地においては過疎化が進み、耕作放棄地も増えてきました。高齢化も進み、これから何が必要か・・・そんなことを考えながらの一日でしたが、はじめに向かったのが、「萩をまるごと詰め込んだ市場」の”萩しーまーと”。鮮魚や水産加工品、地元産の野菜に果物。地元生産者が集結して運営されているこの市場は漁港直結だからでしょうか、町の市場より安く新鮮です。鮮魚は持ち帰れないので乾物のあれこれ、野菜、果物などを箱根に持ち帰りました。
そして、地域に根ざした三見(さんみ)シーマザーズで昼食。海のお母さんたちの作る定食の美味しいこと!日本海を見ながら獲れたての魚は最高ですが、ここも高齢化率は40%を越えています。
漁業者は40名程度で、中心は60歳から70歳、若者は6~7名です。
でも、海のお母さんたちは元気いっぱい。
創意工夫した、いか寿司やあじの押し寿司など・・・美味しかった!
おばちゃんたち・・・ご馳走さまでした。

生産現場は「千石台だいこん産地」とトマト生産者を訪ねました。
千石台は戦後開拓でこの土地に入り、農業共同組合を設立し、黒色火山灰土が大根の生産にふさわしい・・・ということでがんばっておられます。トレーサビリティーへの確立にも積極的です。
周りを山々に囲まれての収穫。
共同体のシステムが和む地域でもありますが、朝は3時には起きて収穫し、新鮮な野菜を消費者に届ける・・・土とともに生きる人たちの顔は輝いています。
「山口あぶとトマト」の生産現場も徹底した土づくりを基本にし、選果場のパート等が地域の雇用の場を創出していました。熱いハウスの中での作業も女性は「すごいですよ、頑張りは女性のほうが上です」とご案内くださった男性が語ってくださいました。部会全員がエコファーマーに認定されています。
最後に合併には入らなかったお隣の阿武町まで足を延ばし、友人達にお会いしてきました。元気に加工品をつくり、こちらも頑張っておられました。

帰りは菊ヶ浜の海岸線を見ながらホテルに戻りました。
ここは「日本の夕日百選」に選ばれた絶景です。
本番のシンポジュームでは『農のある風景』~これからの地域活性化に向けて~というテーマでお話をさせていただきました。
○グリーンツーリズムについて。
気候風土の違い、生活スタイルの違い、休暇にたいする意識の違い、日本では週単位の長期休暇制度が確立されていませんから、ヨーロッパとは比較できませんが、これからの新しいライフスタイルとして、「農」のあるライフスタイルは人びとの望むところです。そのためには農村は美しく、農村が農村でなければなりません。「都会の人たち」のために農村があるのではなく、そこで暮らしている方々が快適に過ごす事が重要です。「主人公はあくまでも自分たち」を守っていただきたいと思います。
○『農村は、私たちの心の故郷』です。
共にヨーロッパでグリーンツーリズムを学んできた仲間の女性の活動を報告しました。岐阜県山県市美山のとびきり魅力的な女性たち「ふれあいバザール」。バザールが発足して今年で15年が経ち、女性ならではの素晴らしい底力、しなやかさには目をみはります。オープン以来の黒字経営。生産、加工、食堂経営とサポーターの生産者、地元の方々、他県の人・・・非常にバランスのとれた「人と産物と環境」を感じる活動です。
○最後に、「なんもない・・・」から「クールな田舎へ」をテーマに「クールな田舎をプロデュースする」独自の理念を挙げ、交流人口の増加を目指して観光コンサルティング会社「美ら地球」(ちゅらぼし)をスタッフ6名と立ち上げ今年で3年目を迎え、活動をしている方々をご紹介しました。
リーダーの方は国立大学院を卒業後、5年前までは米国や日本のコンサルティング会社で企業変革の支援プロジェクトや社員研修などを担ってきましたが、「ちょっと休み、日常と異なる世界に身を置きたい・・・」とそんな思いで奥さんと約2年世界を旅し、日本の「イナカ」に対する外国人の関心の高まりと、海外で日本の地方を知る機会の乏しさを実感したといいます。

「自分も戦前からの暮らしや文化が残る地域に住み、海外の人との橋渡しする仕事がしたい」そう思い飛騨古川に築約100年の家を購入し自宅も兼ねて起業しました。
木造建築は、飛騨のみならず、世界に誇る日本の財産です。
そんな古民家が空き家になってきました。
飛騨民家プロジェクト」を立ち上げ、「飛騨民家のお手入れお助け隊」ではボランティアが都会から来て、梁、柱、床などを磨き、美しい町並みを保存し、「古民家貸し出し」に大きな反響があり、IT企業を誘致しました。これは地元の建設会社と共同です。環境省などが主催したエコツーリズム大賞、特別賞にも選ばれた「飛騨里山サイクリング」は外国人には地元住民との交流が出来ると好評だそうです。

少子高齢化や都市への人口流失、地方を取り巻く現状は厳しさを増していますが、「否定的なイメージしか持たれていない田舎も、実は我々や次の世代の生活の場としてすごく理想的。必要な役割を担っていきたい」・・・と語ります。
これから、新たな世代に挑戦の場を準備することも大切でしょう。
地方部の景観や営みの存続、継承は「需要側」の間だけではなく「供給側」にも問題があるのかもしれません。
飛騨古川に素晴らしい若者たちが”新しい風”を吹き込みます。
今回の3日間の旅では、私自身大いに学び、刺激を受け、また「現場を歩く大切さ」を実感致しました。
民族学者、宮本常一は山口県周防大島の出身です。
心の師を持つ幸せも実感しながらの旅でした。

八幡平のブナの紅葉

一度は訪れたかった秋田、八幡平の紅葉を見てまいりました。
平地とちがい、高山の紅葉はそれはそれは美しいのです。けっして平地では見ることの出来ない色彩。その鮮やかさに言葉を失うほどでした。大沼周辺、夕日が射すブナ林の紅葉、黄・緑・紅・赤・・・

今回の旅は女友達3人と一緒でした。
私は20年前から農村・漁村の女性たちと勉強会を重ねてまいりました。その女性たちと15年間「グリーンツーリズム」の研修でヨーロッパ、また国内を旅し、共に学んできた仲間です。
グリーンツーリズムとは「自然環境や農村景観といった農山漁村の良さを残した場所で、都会の人が農家民宿など体験し、楽しんでもらうこと」です。そんな仲間の一人が八幡平で素敵なホテルをご夫妻で経営しています。と、言っても生易しいものではありませんでした。

8年前、大雪の中、二人は八幡平にやってきました。
だれもいないホテルの館内は静まり返り、震えるように冷えきっていました。
二人で決心してきたからには何とか活気のある、温かみのホテルにしようと考え、「湯めぐりツアー」がはじまりました。千葉や埼玉からバスで訪れます。
健康をテーマに、近隣の温泉にご案内し、なによりも大切な「食」は地元の食材で。料理してくださる方たちも地元の女性たち。美味しいのです、とても。
お客さまの中には、故郷のない又は遠のいた方たちも多いそうです。
『おかえりなさい、高原の我が家へ』と出迎えてくださるご夫妻の優しさはきっと故郷へ帰ってきたような、温かみを感じるからでしょうか、リピーターが多いと伺いました。90歳代の方、若い人たち、中高年のご夫妻など、食堂は家族が集って食事をしているようなそんな和やかさです。
「生きているということは、生きた言葉をかわし合っていること」と以前、お坊さまに伺ったことがありました。
八幡平は標高1、613m、北東北の高地にある豪雪地、雪解けは遅く6月ころに春の訪れを迎えます。厳しい環境を耐え抜いた花々、きっと凛と輝いているのでしょうね。
その頃はミズバショウ、ヒナザクラ、ワタスゲなど高山植物の花が一面に咲き誇るそうです。

春になったら、八幡平山頂の「花あるき」をしましょう、と友と誓ってローカル線に乗り、盛岡では女同士「盛岡冷麺」を食べ家路につきました。

友人のホテルは
十和田・八幡平国立公園『八幡平高原ホテル』です。