感謝をこめて


一年間書きつづったブログをお読み頂き感謝申し上げます。
2016年もあと二日。皆さまはどのような年でしたでしょうか。
世界に目をはせれば色々なことがあった年でした。
私は今年も旅を続けました。
人に出逢い、人から恩をいただき、今年も終わろうとしております。
旅は昔から賜ぶ(たぶ)と書いて、旅。
旅をつづけるなかで、いろいろなことを与えてくださった方々にも感謝いたしますし、今度は私も差し上げられるようになりたいと、いま、思っております。
いただく心より、ちょっとだけ、差し上げられる心のほうを多めにしていきたいな、これからの旅に対する私の心構えです。
明日は除夜の鐘を聴きつつ年越し蕎麦を食べ、来年の夢や目標を静かに考えたいと思います。
2017年、来るべき年が平和で皆さまにとって佳い年になりますように、寒さ厳しき折から、ご自愛のうえ、よいお正月をお迎えくださいますようお祈りいたします。

古川祭り・ユネスコ無形遺産

「山・鉾・屋台行事」がユネスコの無形文化遺産に33件が登録されました。全国をこれまで旅をしてきて、こうした素晴らしい祭りに私は何度も出会ってきました。木工・漆・染物など伝統技術によって継承されてきた祭り。まさにこれらの祭りは「地域の宝」です。
その33件の中に飛騨古川の「古川祭りの超し太鼓・屋台行事」も入りました。
あれは40年ほど前になるでしょうか。古民家探しの旅の途中、飛騨高山の先の古川町でひと休みしていたら、ある青年がやってきました。「僕たちどうしても映画を作りたいんです。」
彼は青年会議所のメンバーの一人でした。「何の?」「ふるさとを見直す映画です」。その真剣なふるさとを思うまなざしに引き込まれてしまい技術的にはお手伝いできないけれど、仲間を紹介しささやかなお手伝いをし、8ミリの超大作「わがふるさとに愛と誇りを」は2年半の歳月をかけて、出来上がりました。
制作予算なんか全くないも同然、青年会議所のメンバーも持ち出しでの映画作りでした。街の人たちも皆んな手弁当。自分たちの生まれ育った町、その中で何を受け継ぎ、何をのばしていこうか・・・真剣です。
旅先で知り合った大切な仲間たちが私の生涯の友です。
大ヒット映画アニメ「君の名は」では架空の田舎町になっておりますが、飛騨古川であることは観てすぐにわかりました。駅、図書館・・・田園風景。映画のヒットにより土日ともなると若い観光客が町中に溢れていると古くからの友人の手紙にありました。
今回の無形遺産登録はどこの地でもそうですが、自分たちの暮す町の文化を守る・・・という強い熱意が伝わります。
古川祭りは気多若宮神社の例祭として毎年4月19、20日に行われ、それはそれは厳かで、勇壮です。


[写真提供:飛騨市公式観光サイト]
神社本殿での神事、古式ゆかしい「御神興行列」(飛騨の匠の技が随所に施されている屋台)と「起こし太鼓」(毎年3月第1日曜日)。
起こし太鼓が動き出すと男達の熱気が広がり町中が高揚感に包まれます。男性が主役の祭りですが、家を守る女性は子ども達にお菓子をくばったり・・・と陰で支えます。飛騨古川は老若男女すべてが協力しあう、それが古川祭りです。
その祭りを長年守ってきた中には私の仲間たちもいてくれます。


[写真提供:飛騨市公式観光サイト]
新たな取り組みも行われ、飛騨の里に欧米人観光客も多く訪れています。それは「よそ者」の新しい息吹が入り、新たな仕掛けが里山の風景をさらに魅力的な街へと変身させているのです。
どこでも高齢化の傾向が強まる中で”キーパーソン”が求められています。自分たちの手でこの町の未来は作る・・・と動きはじめたところがいくつも出てきました。
幸せな町には幸せな人生があります。
“がんばって!”と応援したいです。
そして、無形遺産を守り続けてください。

一汁一菜でよいという提案

2016年も間もなく終わろうとしています。何かと慌しい日々ですね。そんな中、心がほっこりする本に出会いました。大切にしたいと思える本です。
土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』(グラフィック社)
ページをめくるとこのように書かれております。
 一番大切なのは、
 一生懸命、生活すること。
 一生懸命したことは、いちばん純粋なことであり、
 純粋であることは、もっとも美しく、尊いことです。
一汁一采とは「ご飯、味噌汁、漬物」を原点とする食事の形。ご飯と味噌汁だけでもじゅうぶんです。塩気が必要なら漬物の代わりにご飯に味噌を添えてください。と書かれ具沢山の味噌汁にご飯の写真。
そうですよね・・・私たちが長年ご先祖から受け継いできた考え方、生き方ですね。どうしてもお話しを伺いたくラジオのゲストにお越しいただきました。
料理研究家の土井善晴さんは1957年、大阪生まれ。スイス、フランスでフランス料理を学び、帰国後、「味吉兆」で日本料理を修業しました。
土井勝料理学校の講師を経て、1992年「おいしいもの研究所」を設立。変化する食文化と周辺を考察し、命を作る仕事である家庭料理の本質と、持続可能な日本らしい食をメディアを通して提案されています。
NHKの「今日の料理」、テレビ朝日系の「おかずのクッキング」の講師も務めておられ、私は随分参考にさせていただいております。
土井さんはおっしゃいます。日本には、手を掛けるもの、掛けないもの、「ハレとケ」があり、そのけじめをつけることが大切です、と。
「ハレとケ」では食材も使い分け、例えば魚のアラは、ハレの場には使わない。頑張りすぎている若いお母さんの中には、味噌汁は「きちんとダシを取らないと!」と思ってしまう人もいらっしゃいますが、湯に味噌を溶けば、味噌汁になる。
ケの概念は日常の家庭料理。現代社会では(ハレとケ)2つが混乱していますね、と。そして、「家庭の台所」には料理する音、匂いがあります。それが、安心感につながるのです。と。貧しくても
たしかに私たちが子どもの頃は生活の中にけじめのついた日本らしさがありましたよね。貧しくても一生懸命に生活することが、その後の高度経済成長で性能の良い製品を作る土台になったのですよね、たしかに。
3年前に、和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されましたが、私たちはもう一度日本の家庭料理を担ってきたおばあちゃんや母親のもとに行かないといけないのかもしれませんね。
来週はクリスマス。そしてお正月へと「ハレ」の日が続きますが、日常は心が暖かくなる「一汁一采」でじゅうぶんだと私も思いました。
“頑張りすぎないこと”はとても大切です。
未来を担う子ども達の”食”が心配です。
ぜひ土井さんのお話しをラジオでお聴きください。
2週にわたり放送いたします。
文化放送 「浜美枝のいつかあなたと」
12月18日と25日
日曜10時半から11時まで。


ひと足早い、クリスマスの集い

先日、雑誌「ゆうゆう」(主婦の友社)の読者40名の方々が我が家の「やまぼうし」にお越しくださいました。40名いっぺんには無理なので20名を2回に分けてのお集まりでした。


楽しかった!です。同世代、ちょっとお姉さま、親子で・・・北は山形から、南は宮崎、四国と全国からお集まりいただきました。


地元のお気に入りのケーキと一緒にコーヒータイム、そして私が少しお話しさせていただき、クリスマスのデコレーション、お花などで飾り、皆さん、おひとりお一人との記念撮影。女学生時代に返ったような雰囲気でした。夜は近くのホテルに宿泊。私も夕食前に伺い”乾杯”をさせていただきました。
その時にもお話しいたしましたが、女性が1泊で、家を空け旅に出るのは大変なことです。私は申しました。『日ごろのご褒美よ!』って。
私の好きな言葉「逢えてよかった」
そう読者の方々と肩を抱き合い、お互いに健康に感謝し、そして出逢えたことに、今年の締めくくりの出会いに心から感謝いたしました。
こうして、クリスマスの飾りも子どもが小さい時には”子ども達のため”でも皆んなが独立してからはこうして”女同士のため”
少し早いクリスマスをお楽しみください。

井伊直虎

2017年の大河ドラマの主役は「井伊直虎」です。
皆さま、この井伊直虎という人をご存知でしたか?正直申し上げて、私はしっかり日本史を勉強していなくて直虎という強そうな名前なので男性だとばかり思っておりました。「女性」なのですね。しかも激動の戦国時代に、一族を守ったボスでもありました。「井伊」と聞くと、井伊直正かあるいは幕末の大老・井伊直弼(なおすけ)が思い浮かびます。
安部総理が「女性の活躍」を掲げておりますが、家を守る時代が長かった女性の、はるか前の時代に、直虎のような女性が活躍していたのですね。
そこで、この度「井伊直虎 女領主・山の民・悪党」(講談社現代新書)をお書きになったな夏目琢史さんをラジオのゲストにお招きをし、直虎の魅力を伺いました。
夏目さんは、1985年、静岡県浜松市生まれ。一橋大学大学院・社会学研究科を卒業。専門は日本史です。これまでに「アジールの日本史」、「文明・自然・アジール: 女領主井伊直虎と遠江の歴史」など著書も多数あります。そもそも、夏目さんの生まれ育った浜松は直虎の地元である引佐(いなさ)地方なのです。もう中学時代にこの直虎に興味を持ち、古文書も調べていらしたそうです。
引佐地方の豪族で、直虎の両親には男の子が生まれず、直虎のいいなずけだった親戚の直親も暗殺されたために1565年(永録8年)直虎が女領主になります。
私がもっとも興味深かったのは、引佐地方のもっと山奥、オオカミの遠吼えがこだまする緑豊かな自然で生まれ育ったと推測される直虎の故郷は、ほとんど宮崎駿監督の「もののけ姫」の世界です。”山の民”非農業民。夏目さんにお話しを伺うと教養もあり、魅力的な女性でもあったそうです。「悪党」と言っても現代での解釈とは違うようです。戦国の世、なぜ女性が領主となり、なぜ近世期、彼女は忘れさられたのか・・・そうした直虎の運命をスタジオでたっぷりと伺いました。
いつの時代もその「時代の転換期」があるのですね。「女性の活躍」・・・と声高にいわなくともごく普通に「女性の活躍」のできる世の中になってほしいものです。来年の大河ドラマが楽しみになります。
その前にラジオをお聴きください。
文化放送『浜 美枝のいつかあなたと』
12月11日
日曜10時半~11時