エジプト・ハラニア村のタペストリー展


一本の樹の下にかわいらしい動物たちが集います。
一本の樹の下に笑顔が集います。
その風景は素朴で優しく、色鮮やかです。
職人さんたちが心を込めて織ってくださいます。
自然の染料だけがだせる色合い。
いつかエジプトに行き、その職人さんをお訪ねしたいと思い続けてきました。今年の秋にはエジプト行きを計画していたのですが、今の情勢ではそれも適わなくなりました。
ハラニア村はカイロ近郊・ギザからサッカラに向かう途中にある村だそうです。タペストリーからはのどかな田舎の風景が見えます。木々に小鳥たちが遊び、村の人々は花に囲まれ穏やかな暮らしがそこにはあります。
今回のテーマは「FLOWER」
Nefer Galleryの金田理恵さんが2年前から準備してくださいました。
素晴らしいタペストリーの数々を皆さまにぜひご覧いただきたいと思います。
そして、こんな素晴らしい作品を生み出す村の人たちに早く穏やかな暮らしが戻ってきますように・・・と祈らずにはいられません。
12月8日(日)は日本では数少ないウード奏者の常味裕司さんのコンサートと金田さんと私のギャラリートークもございます。
ぜひお越しをお待ち申し上げております。
詳しくは「やまぼうし」のHPをご覧ください。
http://www.mies-living.jp/events/2013/nefer.html

飛鳥Ⅱの旅・船内での講演

今年はお正月早々、友人達と飛鳥に乗り”お伊勢さん”にお参りに行き今回が2度目の飛鳥での旅でした。
JA新潟女性組織協議会主催のお招きでした。
参加者は650名。
同じ「食・農・環境」に関わっておられる方々、それだけで気持ちが通じ嬉しい出会いをいただきました。
私は名古屋経由で鳥羽港へ。そこで皆さまと合流いたしました。
翌朝2回の講演でした。


『明日を素敵に生きる』というテーマでお話をさせていただきました。


以前、歌手の小椋桂さんがテレビ番組のインタビューに答えられておりました。「人生年を重ねれば、坂道を下りてゆきます。ただ、その道を上り坂と捉えるか、下り道ととらえるか・・・」でずい分ちがう・・・「もう・・・なのか、まだ・・・なのか・・・」でも違う、と。
私は、箱根の山を時間が許すかぎり歩いておりますが、ときにはだらだら道を歩いておりますと、足元に咲く可憐な花をみつけたり、急な山道を息を切らしながら上っていると、雲の流れに目奪われたり、その日、その日の自然を体ごと受け止められる自分でありたいと思います。
輝いて「明日を素敵に生きる」とは、いかに自分らしく生き抜くことではないでしょうか。
私は四十歳のときから、演ずることを卒業し、新たな人生の扉を開けました。
30代は子育てをし一緒に旅をし、家作りをし、毎日の食を担い、子供の勉強を見、やれやれと辺りを見回すと、「日本はどこへいこうとしているのだろう」と思いました。
それから勉強を始め、「農」の道に踏み込み、田畑をお借りし10年間米作りを学び農村の女性たちと夜を徹して明日の暮らしを語りあってきました。
農村漁村と都市を結びつけ、生産する皆さんと消費する皆さんが、手をつなぐことの大切さを実感しました。
あれから30年の歳月がたちました。
「農」は自然、、環境、食、伝統、歴史、政治、未来、人間、美、健康、経済、教育などあらゆる方向から考えられるテーマなのです。
私は”明日を素敵に生きる”ための三つの「食・職・飾」を提案させていただきました。
食べることは生きること、食は命そのものです。
職は社会参画すること。
飾は心を飾ること、感動を忘れず、愛する心をもつこと。
そうなのです・・・分かっていても、ああ、今日は、予定通りできなかったわ。
なぜ、あれをこうしなかったのかしら。
そんなことを思いながら、夜、布団にはいることもあります。
なんでも自分でやらなければ、気がすまないし、それがきちんとできなければ、自分に対してイライラ。そのあげく、くよくよしてしまう。
でも、70歳を迎え今の私だったら、今日は考えるのをやめて、ワインでも飲んでゆっくり寝てしまおうと、思えるようになりました。
全部、自分でしようと思わなくてもいい。
完璧にできないことだってある。
この当たり前なことが、あるとき、心の中にストンと落ちてきてくれたのでした。
心の深いところに届くと、なんの抵抗もなく、するりと納得できてしまうんですね。
そんな日常のあれこれをお話させていただきました。
同じ女性として、同じ空間の中で「明日を素敵に生きてゆきたい」との思いを深めることができました。
皆さん、ありがとうございました。
また今度は新潟に遊びにうかがいますね。
幸せな気持ちで横浜港、飛鳥を下船いたしました。

『箱根三三落語』へのお誘い


皆さまも夢中になれる趣味をお持ちだと思います。
私はここ10年近く、落語に夢中です。
落語家はしゃべりとしぐさだけで、舞台の上にドラマ世界を作り上げるのですが、登場人物の持つ空気感というものがじんわり伝わってきます。
その人物像、時代背景、場所の雰囲気、人々の息遣いまで感じ取れるのです。
普段はパソコンとにらめっこをして、また当日券を求めて窓口に並ぶこともあります。何がこれほど私を夢中にさせてくれるのでしょうか。
落語の八つぁん、熊さんの世界は今の時代にも通じます。
人々の暮らしのさんざめきや、あちこちのおかずが入り混じったような夕方の匂いなど、長屋暮らしだった私の子供時代を思い出させてくれます。
人生のすべてがあるともいわれる落語の笑いの中には、人間に対する優しさのようなものがあります。だからこそ、大人が心からわらえるのではないでしょうか。
そんな落語を我が家で聴きたい・・・見たい。
それがきっかけで 「箱根三三落語会」が生まれました。
古民家で落語。
おかげさまで第6回を迎えることができました。
三三師匠の落語には、柳家小三治師匠の伝統を踏まえたうえで、なんとも表現の仕様のない洒脱でいて暖かく、ときめきます。
あらゆる社会問題が高度化し、複雑な時代。
“笑いの大切さ”を感じます。
一度、落語を聞きにお出かけになりませんか。
そして、落語を堪能いただいた後は、師匠を囲んで、平塚を中心に湘南・西湘地域で取れた新鮮な野菜やお肉、そしてお魚をふんだんに使ったカジュアルフレンチをお楽しみください。
古民家の木の温もりに包まれながら、美味しいお食事と三三師匠との素敵なひとときをご一緒できたら幸せです。
お越しをお待ち申し上げております。
詳しくはやまぼうしのホームページをごらんください。
http://www.mies-living.jp/events/2013/1214rakugo.html

「モネ、風景をみる眼」


樹々が黄色や茶色に色づきかけてきた箱根の山。
朝庭に出てみると、美しい光を感じ思い立って「そうだわ・・・ポーラ美術館に行ってみましょう」というわけで先日行ってきました。
「モネ、風景をみる眼」が開催されています。
ポーラ美術館と国立西洋美術館の共同企画です。
箱根の森でモネの風景を観る・・・贅沢な時間です。
「モネは眼にすぎない、しかし何と素晴らしい眼なのか」
セザンヌの言葉です。
我が家からバスに乗り強羅駅からまたバスに乗り換え「こもれび坂、ひめしゃら林道」のバス停を抜けるとポーラ美術館があります。
私は美術館、神社仏閣などはなるべく朝一番で行きます。
そこには静謐な空気、風、匂いがするからです。
9月に2週間パリに行き、オランジェリー美術館でモネの睡蓮を見て、今回出展されている「サン・ラザール駅の線路」が描かれたその駅に降り立ち、白い煙を上げて走る列車ではありませんでしたが、じゅうぶん雰囲気に浸れました。
あるときは、ジヴェールのモネの家の美しい黄色に塗られた食堂に飾ってある浮世絵をみて、モネの深い浮世絵への興味に心が動かされ、庭を歩きなぜ私はモネにひかれるのかしら・・・と思ったものです。庭には藤や牡丹を植えて日本風の太鼓橋をかけ日本が好きだったことがわかります。
光や風、煌く水辺の風景。
後年、モネは語っています。
「私の眼はしだいに開かれた。自然を理解し、愛することを知ったのだ」・・・と。
私は不思議に思うことがあります。モネは収穫や農耕の風景をよく描きます。
でも、農民や労働を表現している絵がありません。
なぜかしら・・・風景に人物を描かないのは。きっと、光の効果を熟知しているからなのかしら。
見惚れているうちに、感動のこころでいっぱいになりました。
歳を重ねていくにつれて感動のこころが広がるように思います。
11月24日まで開催されています。
http://www.polamuseum.or.jp/

片岡鶴太郎展『こころ色』


箱根に一足先に秋がやってきました。
空がぐんと高くなり、朝夕はきんと涼しい・・・というより肌寒くなり、
赤とんぼがすいっと飛び始め山が燃えるような色に染まるのも間もなくです。
「この時期に箱根に泊まると、夏の疲れが癒される感じがするのよね」という声をよく聞きます。箱根の山の力でしょうか。澄んだ空気の中、大いなる広がりのある風景が人々の心身をゆさぶり、浄化してくれるような気がしてなりません。
「箱根やまぼうし」として展覧会やコンサート、落語会など皆さまにアートスペースとして本格的にご利用いただくようになって4年がたちます。
私自身、民藝に憧れ、日本の手仕事に魅せられ、多くの方々との出逢いによって、人から人へ伝えられてきた”もの”がもつ魅力に惹かれてきました。そういった意味ではこの木の空間は私自身の生きてきた証しかもしれません。
そんなスペースでの片岡鶴太郎さんの展覧会も今年で5回目を迎えます。
真摯にキャンバスに向かっている鶴太郎さんのお姿からはタレントの時とはまた違う作家としての情熱を感じます。作品のひとつひとつに生命を与え、美しい日本の文化を表現されていらっしゃいます。
そんな鶴太郎さんが本年はまた新しいテーマに取り組まれています。
「作品と映像・音楽の融合」です。
「夜桜」の可憐な花びらが、映像から生みだされた桜吹雪と共に舞い、
美しい音色が一緒に奏でられます。
初日には念願のギャラリートークをさせていただきます。
その心に秘められた”想い”をたっぷりきかせていただきます。
この秋はとっておきの箱根の空間にぜひお越しくださいませ。
秋の深まりをご一緒に愉しみませんか。
詳しくはHPをご覧ください。
http://www.mies-living.jp/events/2013/kokoroiro.html