深夜航路

なんとも羨ましい旅をなさっておられる方がいらっしゃいます。午前0時からはじまる船旅です。日本で現在運航している深夜便(午前0時~3時発)の全14航路を旅した方です。

北は函館ー青森間。
南は鹿児島ー奄美大島間。
羨ましいのは敦賀ー苫小牧東港。948キロを20時間で結ぶフェリーです。敦賀港(福井県)と苫小牧東港(北海道)深夜航路の中では最長の航行距離。敦賀を出たら能登半島、そして佐渡島・・・ひたすら北上します。

出航が00:30発で翌日の20:30着。「すずらん」(1万7382トン)は本州と北海道を結ぶトラック・貨物がメインですが、旅客サービスにも力を入れていて快適な空間だそうです。

船室は3階層でレストランのみならず事前予約をすればグリル、露天風呂!まであるそうです。あ~いいな!私は憧れていたのです、深夜航路。

クルーズ船とはちょっと違う世界が広がっています。山口の徳山港を午前2時に出航する竹田津港(大分)行き「ニューくにさき」。中国地方と九州を結ぶ唯一の深夜航路、2時間!

旅した方は清水浩史さん。
この度素敵な本を出されました。『深夜航路』(草思社)

午前0時を過ぎると・・・・・。
そこには、「扉」がある。
もうひとつの世界へと通じている扉が。

そうだ。午前0時を過ぎると、扉が見つかるはず。
深夜は誰からも干渉されることのない時間。
最も日常から離れられる時間だからこそ、
見えてくるもの、感じられるものがあるはず。
午前0時に旅立ちたい。
全国の深夜航路の旅に出かけよう。  (深夜航路より)

清水さんは書籍編集者でライターがご本業です。毎日慌しい生活を送る中での深夜航路の旅へと出かけます。これは詳しくお話を伺いたい!とラジオ「浜美枝のいつかあなたと」にお招きし、お話が伺えました。

深夜の旅では、自身の内面が開かれてくる。自己対話、内的省察の扉が開かれてくるのだそうです。日中は知覚がが開かれているので、目の前のことを次々と対処していかなければならない。思索したり、想像することを忘れがちになってしまう。所用時間15分の直島(香川県)と宇野などワクワクしてしまいます。

直島はアートの島として今やフランス人はじめ海外からの観光客で賑わっていますが、深夜になるとまた素敵だそうです。そうですよね~、真夜中に見えてくるもの・・・ってありますものね。まだ若いころから憧れていた「深夜航路」を実践している方がいらしたなんて!

昔、若き頃、コロール島やマップ・ヤップ島で見た満天の星空も、カナカ人が小船に乗って月明かりをたよりに島に辿りついた時の話しを古老から聞いたのも「深夜」でしたっけ。

これからでもまだ出来るかしら・・・。「深夜航路」が。

まずはラジオをお聴きください。
そして素敵な表紙の本をご覧いただき”旅した気分”を味わってください。

文化放送「浜美枝のいつかあなたと」
日曜日10時半~11時
放送8月19日

映画「グッバイ・ゴダール!」を観て。

現在87歳のジャンリュック・ゴダール監督は今年もカンヌ映画祭に新作を出品している現役監督です。フランス・ヌーベルバーグの草分け的存在だった監督。フランス映画界において「生ける伝説ジャンリュック・ゴダール」ともいわれます。

60年の「勝手にしやがれ」そして「気狂いピエロ」など、私には衝撃的な映画でした。その監督を描いた「グッバイ・ゴダール」を観てまいりました。

『グッバイ・ゴダール』を撮ったのは「アーティスト」でアカデミー作品賞と監督賞を取っている巨匠ミッシェル・アザナヴィシウス監督。

ストーリーは「中国女」の主演にアンヌ(ステイシー・マーティン)を抜擢します。ノーベル賞作家フランソワ・モーリャックの孫娘。その19歳のアンヌに一目惚れしたゴダールは彼女と2度目の結婚をします。

原作は昨年亡くなった彼女自身の回顧録によるものですが、ミッシェル監督がどこまで物語構成しているか分かりません。新聞記事によると「彼の脚本には、皮肉とともに軽妙さがある。この映画の撮影は、ギリギリの線上を歩き続けることが必要でした。誰もが常に『やりすぎていないか』ということを注意していました」と書かれていました。

世界中で学生たちが反乱を起こした1968年前後。フランスでも5月革命が起り、まさに政治の季節。ゴダールもデモに積極的に参加します。フランスは、自由・平等・博愛を国是としている一方で、つかまった学生たちはあの五月革命の頃には警察署から悲鳴が耐えなかった、と知り合いから聞いたことがあります。

そんなデモに参加していたゴダール。警察隊と学生や群集が血を流す、そんな場面もゴダールの行動をユーモラスに捉えているのです。プライベートでは嫉妬深く、エゴイズムで、アンヌとの仲も彼女が女性として成長していく過程で徐々に暗雲をはらんでいく・・・。

『人間ゴダール』を描いているのですが、そこは、フランス。ユーモアのなかにも「どこまでが真実なの?」とも思いました。べつに「真実」が必要だとは思いませんが、あの時代のゴダールフアンにとっては”何か虚仮(コケ)にされてるな~”という思いにかられます。

以前私が10代の頃にカンヌ映画祭で、と来日された時にお目にかかったことがあります。私の目には人間的に魅力的で理論家、そしてユーモラスな人との印象が残っています。もちろん人間ですから表面だけでは分かりません。

でひ聞いてみたいです。『ゴダール監督!いかがでしたかこの映画は?』と。ただ、横に手を振るだけでしょうか。それとも笑って許すのでしょうか。ゴダールフアンの方、ご覧になったら感想をお聞かせください。

アンヌ役の主演女優 ステイシー・マーティンが素敵です。美しいです。ゴダールの活躍したあの時代の空気間は見事に伝わってきます。

『グッバイ・ゴダール』   いいえ、あなたは永遠です。

映画公式ホームページ
http://gaga.ne.jp/goodby-g/