寒さは残るものの、日差しの明るさに、春の訪れが近いことを感じる候となりました。
この3月をもって、2001年4月から続けてきた『浜美枝のいつかあなたと』(文化放送)のMCを卒業させていただくことにいたしました。





あらゆる分野からゲストをお迎えして、お話を伺う「浜さん家のリビングルーム」、全国各地の農業従事者に、農業や食育の取り組みなどをお話しいただく「浜美枝の良い食とともに」という2つのコーナーで構成されるこの番組を通して、本当にたくさんの素敵な方々に出会うことができました。
ゲストからお聞きした貴重なお話、心に残る多くの言葉は、私の人生の宝物です。
農の現場のみなさまからは、「農業は命そのものである」と改めて教えていただきました。
リスナーから寄せられる葉書やメールを読ませていただくのも、私の大きな楽しみでした。あたたかな励ましのお言葉、番組への感想などに目を走らせながら、リスナーがいつもそばにいてくださる幸せを感じていました。
どんなときも私を支えてくださった寺島尚正アナウンサーには感謝しかありません。番組開始以来ご一緒くださったスタッフの方々にも、大変お世話になりました。
そして番組開始以来、「食の大切さ」を教えてくださったスポンサーのJAグループに、深く感謝申し上げます。
『浜美枝のいつかあなたと』は、私の最後のレギュラー番組です。それが発信者と受け手の距離がもっとも近いメディアであるラジオ番組であったことを、本当に嬉しく思っています。
なにより、私にとってこの番組は、かけがえのない学びの場でもありました。
15歳でバスの車掌として社会に出て以来、67年になります。
16歳で女優としてデビューし、1年に7本も8本も映画に主演していたころ、女優という肩書の重さに押しつぶされそうになり、逃げるようにイタリアに一人旅に出たことがありました。
私が、この世界で働き続けることができたのは、その旅の最中に幸運が重なり、マルチェロ・マストロヤンニとの出会いがあったからです。
片言の英語で、「私は女優の卵ですが、この旅が終わったら女優をやめるつもりです」といった私に、彼はこういいました。
「人を喜ばせるために流す汗の味を、君は味わったことがあるかな?」
人を喜ばせるために。
自分ではなく、人を喜ばせるために。
マストロヤンニのこの言葉を心の中におさめ、行き詰ったり壁にぶつかったりしたときも気持ちを奮い立たせて、これまでやってきました。
映画『007シリーズ』に抜擢され、やり切ることができたのも、ワイドショーのキャスターやNHKの「日曜美術館」の司会に挑戦できたのも、そのおかげかもしれません。
振り返ると、どの時代も緊張と興奮、感動の連続でした。大変なこともありましたが、ひとつひとつの仕事が、私の目を開き、心を耕し、人生を豊かなものにしてくれました。
番組は終わっても、人生は続きます。
さあ、4月からどうやって暮らしていきましょうか。
時間に追われることなく、丁寧に料理をするのも楽しそう。庭の木々と会話しながら、草をひいたり、落ち葉を集めたり。いつか読もうと思っていた本もたくさん。
穏やかに自分らしく歩んでいきたいと思います。
そして日々、新しい自分と出会いたい――
出会いは、人生の大きな喜びなのですから。


ラジオスタッフの皆さんと

子供たちから


















































