柳宗悦が出会った沖縄の美

日本橋高島屋で始まった展覧会に行ってまいりました。
とても楽しみにしていた展覧会です。
「沖縄は民藝のふるさと 宝の山」と記された一文を読み、行って見たい!と思ったのは10代の終わりころでした。
昭和38年。私の沖縄旅行はパスポート持参でした。二十歳になったばかりでしたが、その頃すでに民藝にひかれていた私は、本から聞きかじった柳宗悦先生による沖縄民藝の紹介に憧れをかりたてられ、いさんで出かけたのでした。
二十歳の若さと、女優という職業を考えると青い海、水上スキーというほうが私らしいのですが、現実の私は、絣や木綿や焼き物、昔話好きな少女でした。17歳でヨーロッパ一人旅をした経験から、私の旅はいつも一人旅。できるだけ歩く旅をむねとしました。
はたちの頃の感動は今でも新鮮です。
柳宗悦(1889~1961)が初めて沖縄を訪れたのは、1938年の暮れのことでした。民藝運動の作家たち濱田庄司、河井寛次郎たちも同行しました。伝統が色濃く残る沖縄文化に深く感銘を受けた、とあります。染織、織物、陶器、木工などの工藝や民藝運動の作家たちの作品が展示されています。
2019年の火災で焼失した首里城正殿が再建される予定の本年。
11月23日(月・祝)からいよいよ一般公開が始まります。
沖縄の文化や工藝がさらに注目をあびています。
柳宗悦は「日本にある殆ど凡ての城下町を訪ね歩いた吾々に、どの町が最も美しいかを問われる方があるなら、私達は躊躇わず直ぐ答えるでしょう。沖縄の首里が第一であると。」ともしるされています。首里城は「工藝の宝」です。
私は初めての沖縄の旅から、ただただ、ひたすら通い歩きました。本島から島々を。たとえば、ある村で中央に四角い板のはられた大きな平たいザルをみました。養豚農家でした。養豚小屋のそばで、おばあちゃんやおじいちゃんとおしゃべりをしながら、お昼に沖縄特有のイモをご馳走になりました。皮をむいては、ざっくり編まれたザルの目のほうにその皮を置くと、そこから下へ。つまり豚の食堂へとおちていくのです。人間の食べる芋は中央の板皿部分につまれ、皮は編み目から下へ、というわけです。そのザルの美しかったこと。人の温もりを感じたこと。そう、沖縄の道具には「工芸」として”ぬくもり”を感じました。
石垣へ渡ったとき、「腹八分目茶碗」にいたく感動しました。茶碗の八分目のあたりに穴があいていて、その穴以上に汁を入れると不思議なことに全部の汁が外へ出てしまう。私は目をまんまるにして、その茶碗の不思議さに魅せられました。
道具にたくさんの知恵や教えが備わっていることを知ったのも、沖縄や周辺の島々への旅でした。そうして知った沖縄の工芸。焼き物、ガラス、織物、染物・・・
柳宗悦先生はそうした沖縄固有の歴史や風俗、そして、”美”(ちゅらさ)~沖縄の言葉で清らかな美しさ、を届けてくださったのです。
1984年のこと。沖縄県読谷村でお逢いした与那嶺貞(よなみねさだ)さん。与那嶺さんは読谷村に500~600年前に南洋から伝来した織物を再現することに一生懸命でした。与那嶺さんがその織物を蘇らせようとしたとき、その織り方を知る人はひとりもいなく、昔から残されていた一枚のちゃんちゃんこがあるだけでした。
織り方が複雑で、その難解度ゆえに途絶えてしまったのでしょうから、再現もまた大変なご苦労だったそうです。与那嶺さんは、あの沖縄が焦土と化した戦争を生き延び、涙も涸れてしまった戦後を子どもを抱えて再び生きなおした方。
”戦争で何もかも失ったけれど、父親が私に授けてくれた教育だけは、誰も奪えませんでした”と、与那嶺さん。工藝学校に学んだ技術が後年、幻の「花織・はなうい」再現に結びついたのでした。
この方から、私は忘れられない言葉をいただいたのです。
“ザリガナ サバチ ヌヌナスル イナグ”
もつれた糸をほぐして、ちゃんとした布にする女・・・こんがらがって織れないからといって切って捨てたら一生布は織れません。女として、それは丹念にほぐしていきましょうよ、そうすれば、
“ハナノヤシラギウイルサビル”
また美しい花織をおることができる。
那嶺さんは機織の向こうで穏やかにそうおっしゃいました。
二人で手をつなぎ夕焼けの美しい海までの散歩道は私の一生の宝です。与那嶺さんは後に人間国宝になられました。なられても何も変わらず織り続けた一生に私は、長きにわたりご一緒させていただいた日々を宝ものとし、心の支えにしてまいりました。
花のヤシラギ(布) ウリサビル(織ることができる)



与那嶺貞さんに織っていただいた
読谷村の花織 ユンタンザハナウイ
世界中で紛争がおきています。
私たちは、未来をになう子ども達に何を残していくべきなのでしょうか。
こんがらかった糸はほぐせないのでしょか。
会場では、皆さん静かに美しい作品に見入っておりました。
心が豊かになる展覧会でした。
柳宗悦が出会った沖縄の美 琉球の民藝https://www.takashimaya.co.jp/store/special/ryukyu_no_mingei_ten/







































































































































































