「モネ、風景をみる眼」


樹々が黄色や茶色に色づきかけてきた箱根の山。
朝庭に出てみると、美しい光を感じ思い立って「そうだわ・・・ポーラ美術館に行ってみましょう」というわけで先日行ってきました。
「モネ、風景をみる眼」が開催されています。
ポーラ美術館と国立西洋美術館の共同企画です。
箱根の森でモネの風景を観る・・・贅沢な時間です。
「モネは眼にすぎない、しかし何と素晴らしい眼なのか」
セザンヌの言葉です。
我が家からバスに乗り強羅駅からまたバスに乗り換え「こもれび坂、ひめしゃら林道」のバス停を抜けるとポーラ美術館があります。
私は美術館、神社仏閣などはなるべく朝一番で行きます。
そこには静謐な空気、風、匂いがするからです。
9月に2週間パリに行き、オランジェリー美術館でモネの睡蓮を見て、今回出展されている「サン・ラザール駅の線路」が描かれたその駅に降り立ち、白い煙を上げて走る列車ではありませんでしたが、じゅうぶん雰囲気に浸れました。
あるときは、ジヴェールのモネの家の美しい黄色に塗られた食堂に飾ってある浮世絵をみて、モネの深い浮世絵への興味に心が動かされ、庭を歩きなぜ私はモネにひかれるのかしら・・・と思ったものです。庭には藤や牡丹を植えて日本風の太鼓橋をかけ日本が好きだったことがわかります。
光や風、煌く水辺の風景。
後年、モネは語っています。
「私の眼はしだいに開かれた。自然を理解し、愛することを知ったのだ」・・・と。
私は不思議に思うことがあります。モネは収穫や農耕の風景をよく描きます。
でも、農民や労働を表現している絵がありません。
なぜかしら・・・風景に人物を描かないのは。きっと、光の効果を熟知しているからなのかしら。
見惚れているうちに、感動のこころでいっぱいになりました。
歳を重ねていくにつれて感動のこころが広がるように思います。
11月24日まで開催されています。
http://www.polamuseum.or.jp/