映画「ノマドランド」

  • アメリカ西部の大平原を、一台の古びたキャンピングカーが疾走しています。運転しているのは60代に差し掛かった一人の女性。彼女は過去から逃げるのではなく、新しい人生を求めて走り始めたのです。

映画「ノマドランド」は経済不況で仕事も家も失い、夫まで亡くしてしまった女性の、精神的な旅立ちの応援歌です。

ノマドとは「遊牧民」のこと。「流浪の民」とも言われます。主人公の女性・ファーンは、これまで築いてきた人間関係や財産を恨めし気に振り返るのではなく、本当に必要なものを改めて見つけ出す旅に出ました。

ファーンは「ホームレス」という言葉に反発します。「ハウスレス」だ、と言うのです。家を失ったが、キャンピングカーがある。そして、行く先々のオートキャンプ場で、心の通い合える仲間とホームができる。そこが、ノマドランドです。

ファーンのキャンピングカーには、亡き夫の必要最小限の思い出が積まれているだけです。モノはそれで十分、そんな思いなのでしょう。この映画には、豊かな奥行きや幅を感じることができました。

単にアメリカ西部の「非定住者」に限定された物語ではないのです。これはアメリカ在住の中国人女性、クロエ・ジャオ監督によって作られました。そして、主人公のファーンを演じたフランシス・マクドーマンはアカデミー主演女優賞を2度も獲得したベテラン女優ですが、「ノマドランド」では制作陣の一員としても参加しました。その成果は、ファーンの人物設定にも見て取れます。

大平原に佇むファーンには、男女の違いなどを超越した静かで力強い、ひとりの人間としての決意が滲み出ていました。2人の”合作”は、この作品に文化や人種、更には性別までも軽々と飛び越えた普遍性をもたらしました。

ノマドの人々は別れる際に「さよなら」とは言わないのです。
「また、どこかで会おう!」。
やはり、「ホームレス」ではないという自負心と凛々しさが溢れています。

勇気づけられ、少しゾクっとする映画でした。

映画公式サイト
https://searchlightpictures.jp/movie/nomadland.html

「映画「ノマドランド」」への2件のフィードバック

  1. 浜美枝様

      「ノマドランド」私も観てきました。共感しました。
      同じ様には出来ませんが、心に深く入ってきました。
      決して裕福ではなく、働きながらの旅は、時には過酷な
      事もあります。主人公より遥か年長の私ですが、色々考え
      させられました。又、来週観ようと思っています。
      
       気温の変化がありますので、どうぞご自愛下さいますように。

                        郁代

    1. 郁代様

      「ノマドランド」ご覧になられ、さらにもう一度。
      わかります。私ももう一度観たいです。
      ほんとうに色々考えさせられましたね。
      先日は「ミナリ」を観てまいりました。
      2作に共通することは「生き方」ですね。
      コロナ禍にあって、不自由ではあるものの生きる”意味”を学びます。

      箱根の山のコメ桜も散り、シャクナゲが咲き始め花の季節を迎えます。

      まだ花冷えの日もございます。
      ご自愛くださいませ。

      浜 美枝

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