沖縄・首里城

11月9日、30年来の沖縄の友人と共に、首里城に行って参りました。

10月31日に起きた首里城の火災から9日。前々日には沖縄に入っていたのですが、焼失した正殿、南殿、北殿を目にすることがためらわれ、伺うことができたのは沖縄滞在最後の日でした。

瓦が残っている北殿を仰ぎ見、失ったものの大きさに、改めて愕然としました。

失われたのは建物だけではなく、琉球王国時代から伝わる貴重な収蔵品や、多くの人々が技術をつくし、心を注ぎ込んで作り上げた復元品も失われました。私を惹きつけてやまなかったそれら工芸の数々を思い出し、胸に悲しみがあふれました。

私を民芸の世界に導いてくださった民芸の創始者・柳宗悦先生は、沖縄の織物や焼物、漆器などの工芸品に魅せられ、沖縄を『驚くべき美の王国』と記しました。その言葉に背中を押されるように、私は沖縄に通いはじめ、沖縄こそ民芸の故郷と思うようになりました。

その中で、琉球王国と王家に伝わる文化財の多くが沖縄戦によって失われてしまったこと、この首里城建設には、沖縄の宝を収集し、技術を再現し、後の世に伝えていくという意味も含まれているということも、知りました。

沖縄は和の島です。
その中心にある首里城は、美の城です。祈りの城です。
沖縄の人たちの誇りであり、大切なよりどころです。

私たち、日本人の宝物です。

「必ず再建する」と、沖縄県、那覇市、そして国も立ち上がりました。

「沖縄、がんばって」
「応援しています」

日本だけでなく世界中の人から、多くの励ましも寄せられています。

「もう一度ですね」
「やりましょうね」

目に涙を浮かべつつ、友人が力強くうなずきました。

建物はもちろん、工芸などの復元にも、多くの、おそらくは技術的な困難があるでしょう。けれど、きっと乗り越えて、守礼門から再び首里城の美しい姿を見られる日が来ると、私は信じます。

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