『リーチ先生』

今、原田マハさんの「リーチ先生」(集英社)を読んでおります。

7月にイングランド西端の港町・セントアイビスに念願だったバーナード・リーチの工房を訪ねたことはブログでも以前ご紹介いたしましたね。

何故、英国人のリーチがこれほどまでに”日本の美”に魅せられたのか・・・が不思議でなりませんでした。

最初は60年ほど前に民藝運動の創始者、柳宗悦の本でリーチのことを知りました。まだ中学生だった私が手にした本「民藝とは何か」。わけも分からず読み、その人が宗教哲学者であり「白樺」の同人であることを知ったのは女優になってからのことでした。

映画界はいっけん華やかな世界、でも私自身は居場所を見失い心細い日々が続いていた10代。また「民藝とは何か」のページを開きました。

「あの平凡な世界、普通の世界、多数の世界、公の世界、誰も独占することのない共有の世界、かかるものに美が宿るとは幸福な報せではないでしょうか」とありました。

高価なものではなく、民衆的工芸、つまり「民藝」の心は「美しいと心に響く、感じる心が大切」とも理解しました。「そうなのだわ、心に響く何かを見つければ心の安定が得られるはず」そう思い民藝の世界へと誘われていきました。

「真に美しいものを選ぼうとするなら、むしろあらゆる立場を超えねばなりません。そうしてものそのそのものを直接に見ねばなりません。立場は一種の色眼鏡なのです。ですから知識で見たり概念で見たりしたら、末葉の性質に引っかかって、本質的なものを見逃してしまうのです。ものの美しさは何よりも直感に依らねばなりません。」(民藝とは何か)より。

バーナード・リーチ、濱田庄司、河井寛次郎、などなど、そのときに知った名前でした。それから現在まで「民藝の旅」は続いております。

原田マハさんの本は大分県小鹿田(おんだ)にリーチが訪ねてきたところから始まります。現在でも窯元が多くあり、小鹿田の土は豊かで「陶土」には適しているといわれます。1ヶ月ほど滞在しリーチはその土で作陶を続けます。

半分ほど読んだところでしょうか。もう止まりません。柳宗悦がリーチを訪ねてきて、時には美について激しい口論になったとしても、お互いを認め合い、濱田庄司たちとの友情を育んでいったのです。この「リーチ先生」を読んでいるとまさにその場に居合わせたかのような錯覚におちいります。

ちょうど深沢のギャラリー・セントアイビスで「夏のコレクション展2019」が始まりバーナード・リーチの1950-60年代の作品を中心にギャラリー所蔵作品などが拝見できるので行ってまいりました。

オーナーの井坂浩一郎さんはたびたびセントアイビスはじめイギリス国内でのリーチ作品を巡っておられます。

そうそう興味深かったのはリーチのエッチングです。本の中にも出てきますが、英国を代表する芸術家リーチは陶芸家でありエッチングも素晴らしく、日本に来て生活のために「エッチング教室」を開こうと思いエッチングの展覧会を開催し、そこに柳宗悦が見にきたのが出会いでした。

マハさんの本の中に登場するバーナード・リーチは濱田庄司との友情、柳宗悦と親友になったことなど、その人間味溢れる描写には東洋と西洋の架け橋になった人間「リーチ先生」が描かれております。

”読み終わるのがもったいない!”とおもいつつ読み続けております。

ギャラリー・セントアイビスの公式サイト
http://www.gallery-st-ives.co.jp/Top.htm

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