「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」

大変興味深い本に出会い、いっきに読みました。
作者はノンフィクション作家・森功さんです。
私自身は高倉健さんとは生前一本だけ共演させていただきました。それも40年ほど前のこと。ただ鮮明に覚えております。映画の内容というより「高倉健」という方の人間性を垣間見たときです。
それは、映画のクランクイン初日のことでした。
(東映映画『捨て身ののならず者』)
そう・・・初日はロケから始まりました。東京駅の近くの旅館で仕度をし、6畳ほどの部屋で出番を待っておりました。すると『失礼します。高倉健です』と廊下で声が致しました。慌てて障子をあけると廊下に正座をなさり、あの大スターの健さんがいらっしゃるではありませんか!私も廊下に頭をつけ「こちらこそ宜しくお願いいたします」と申し上げました。もう胸はドキドキ・・・共演させていただけるだけで光栄なのに大先輩のご挨拶に恐縮し、仕事はスタートいたしました。
もちろん撮影はスムーズに進行し無事に終了いたしました。仕事の間、健さんはスタッフへの気配り、共演者への気配り・・・私は当時東宝に所属しており、東宝の空気は東映とはまた違い、でも、戸惑うことなく仕事ができたのも、そうした健さんの周囲への細やかな気配りがあったからなのだと思います。
今回の森さんのご本”七つの顔を隠し続けた男“とありますが、森さんはさすがノンフィクション作家です。日本人に最も愛された俳優の”光りと影”を見事に描かれています。
影の部分・暴力団「住吉会」の幹部たちとの交流も健さんらしい「人の道・仁義のありかた」などよく取材なさっておられます。
森さんは、健さんの母校の後輩です。(北九州市の福岡県立東築(とうちく)高校。健さんは1949年、貿易商を目指して明治大学商学部に入学しましたが、あまり真面目な大学生ではなかったようです。むしろ”やんちゃな学生”だったようです)
社会人になっても時には度を超えるほど酒と喧嘩の日々。あるきっかけで俳優となり、後に結婚する江利チエミさんのファンになり”追っかけ”をして結婚します。
このご本を読んでいるとお二人が相思相愛であったことが窺われますが、幸せと不幸が交互に訪れるような日々。チエミさんと離婚後、亡くなってからも月命日には周りに気づかれないように墓参を続けていらしたようです。
謎が多く、きっと報道などで皆さんもご記憶があると思いますが、亡くなる前に養女となった女性の存在。彼女は健さんの最期を看取ります。親族も知らなかった彼女の存在。そして遺産。謎が残ります。
やはり、直接お話を伺いたく、ラジオのゲストにお迎えいたしました。
最後に森さんは「高倉健は本名の小田剛一(たけいち)としてではなくやはり”高倉健”を演じ切り亡くなったのでしょう、それが彼の美学です」とおっしゃられました。
私は本を通して”役者の孤独・業”を感じました。
そして森さんがおっしゃる”男の美学”を感じました。
ぜひ、森さんのお話をお聴きください。
そして本をお読みください。
文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」
放送は12月24日
日曜10時半~11時
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