『人はなぜ旅に出るのか・・・旅の歴史と民俗』

大変興味深いフォーラムを聴きに行ってまいりました。
「旅の民俗」シリーズ出版記念フォーラムでした。
(旅の文化研究所編 現代書館)
1:基調講演 「宮本常一の旅学から」
神埼宣武さん(民俗学者・旅の文化研究所所長)
2:「津軽三味線ひきがたり」
二代目・高橋竹山さん
3:パネルディスカッション 「旅の民俗ー行商・芸能・観光」  
パネラー:岡村 隆さん(作家・探検家)、亀井好恵さん(成城大学民俗研究所研究員)、山本志乃さん(旅の文化研究所研究主幹)
コーディネーター:佐伯順子さん(同志社大学大学院教授)
「旅は憂いもの辛いもの」
「かわいい子には旅をさせよ」
「袖振りあうも他生の縁」  
人はなぜ旅をするのか?
人間にとって旅とは何なのか?
記録や体験者の記憶を収集し、社会変化などを実態的にとらえた、新たな「旅行史」・・・とあります。
第一巻 生きる

第二巻 寿ぐ(ことほぐ)

第三巻 楽しむ

読み応えのある本です。
“人に逢う”・・・仕事であろうがなかろうが、私はこれがとても好き。いったいいままで何千人の方、何万人の方々とお逢いしてきたでしょう。お逢いした人から多くのことを教えられ、そこからまた、人の暮らしの深遠をたずね、好奇心は際限なく募るばかりです。
それもこれも根っこはひとつ。
宮本常一(1907-1981)の一冊の本に出会ったからだと思います。
忘れられた日本人
中学生の時に図書館で手にし、「スゴイ人がいる!」と夢中で読んだ本でした。民俗学者で、農村指導者であり自分の足で地球を4周するほどの行程をヅック靴とこうもり傘をリュックに引っかけ、半世紀にわたり訪ねた村々は3000以上。日本の僻地離島を隅々まで歩き、離島振興に情熱を注いだ人。これが、私の最初の情報でした。
この日のそれぞれの方のお話は大変興味深いものでした。二代目高橋竹山さんの津軽三味線。先代はまだ”門付(かどつけ)”をしながら盲目の身を全国行脚されておられ、後に二代目と一緒にニューヨークやパリでの公演も大成功でした。目をつぶりながら音色を聴いていると日本の風景が浮かんできます。
神崎先生の「宮本常一の旅学から」も勉強になりました。
〇 旅に出なさい そして、タスキを繋ぎながらそのタスキを若い人に繋いでいく。その場所に行ったら高いところに上ること。などなど。
先にもお話いたしましたが、私は仕事がら出会う人も多く、出会った方から多くの心もいただきもしました。実際、学校というのは社会のいたるところにあり、田んぼで作業する腰の曲がったおじいちゃんに日本の農業の絶望を昔聞いたことがあります。海辺で網をつくろうおばあさんに、港町の歴史を聞き、山また山の奥の木地師の古老に山の掟を学びました。
日本のいたるところに師がいる。私の旅はそういう無名の師に出会う旅だったようにも思います。私に話してくれたことを折りにふれ思いだします。
海外からたくさんの観光客の方々が日本にお越しくださいます。かつての旅と現在の旅は大きく変化しています。かれらが求めているほんとうの『日本』の旅とは何んなのでしょうか。
私の好きな岩手県遠野。柳田国男の遠野物語の世界は、ないと思えばなく、あると思えばあるのです。地方の至るところで、良き文化を必死で守っている人たちがいます。
宮本常一が歩いたように、私も一人でポツポツと歩きたくなりました。そう誰も行かない寒い寒い季節に行けば、もう遠野はすっかり民話の宇宙。
この日は一日、フォーラムで旅をしておりました。

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