未来よこんにちは


映画「未来よこんにちは」を観てまいりました。
主人公である高校の哲学教師のナタリー(イザベル・ユペール)、同じ哲学教師の夫が恋人ができたといって家を出てしまう。25年連れ添った夫。もうあまり若くない大人の女性の人生の日常に突然訪れた喪失感。
一人暮しの母親が認知症の兆候を見せ、夜中も授業中にも電話でナタリーを呼び出し、狂言自殺を繰り返す。ナタリーの唯一の慰めは愛弟子で哲学教師になった魅力的な青年。ときめき。青年は教師をやめ、アルプスで仲間と自給自足の生活を送っている。その素敵な風景、自由な暮しに惹かれて美しい田園を訪ねるが・・・
この映画はフランスの女性監督ミア・ハンセンが、まだ30代半ばでありながら50代の女性の揺れ動く心理を見事にとらえ成熟した映画に仕立て、ベルリン国際映画祭で監督賞を受賞。主演のイザベル・ユペールも主演女優賞を受賞。老いることへの不安も見せず、辛く、悲しく、切ない物語をみごとなまでに凛々しく、爽快に生きる主人公への共感を感じさせます。
現実には孤独で、涙することもある。仕事がうまくいかないこともある。いろいろあるなかで手にした”自由”ひとりの孤独をパワーとして生き抜く姿に拍手喝采!どんなことがあっても前へ前へと進む・・・そのすがすがしく、人生は過ぎ行くことばかりではなく、時には残酷なほどの時間の積み重ねだけれど、それを”自分の人生”として受け入れることの大切さをイザベル・ユペールが見事に演じています。
未来を信じ切なくてもそこには愛があり、ユーモアがあり、そして・・・未来がある。
美しい風景、インテリア、パリの空気。音楽もセンスいい。そうそう、忘れてはならないのは母親を演じたエディット・スコブが素晴らしいです。観終わったあと、背筋が伸びました。大人の女性にお薦めの映画でした。
この日はラジオ収録後に観ましたので、友人達(素敵な女友達)にもお薦めしシャンパンで乾杯し最終の新幹線で山に戻りました。花冷えのする夜でしたが、夜桜が皇居のお堀に舞っていました。水面に浮かぶ桜吹雪・・・散りゆく姿が美しく、いずれくる老いも怖くはありません。映画っていいですね。
映画公式HP
http://www.crest-inter.co.jp/mirai/
BUNNKAMURAル・シネマ他にて。

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