女性たちが元気で美しい山間の町

岐阜県山県市の美山地域に残る伝統素材「桑の木豆」を、地域の味として伝えていこうと頑張っているの女性たちのいる「ふれあいバザール」をお訪ねしてきました。
バザールが発足して15年です。
美しい山の町という、まさにその名の通りの町です。
私を迎えてくださったのは、20年来の友人、元山県農業改良普及センターの山岡和江さん。美山の女性たちの頑張りは山岡さんの指導のお陰かも知れません。

山岡さんがまず連れていってくださったのが、「あじさいの山寺・三光寺」境内花園では、二百余品種・一万余株にも及ぶ「山アジサイ・額アジサイ」が花曼荼羅のように咲いていました。初めて見る「岩がらみ、そしてブルースカイ・紅花甘茶・白妙」など等あじさいを見ながら庭の木の下で、、ところてんを頂きながら至福のひとときでした。
ふれあいバザールの女性たちとは、私が「食や暮らしや環境」に興味のある女性たちとヨーロッパ研修にでかけて知り合い、その情熱・実行力・優しさに感動していらいのお付き合いです。
田園暮らしに関して、ヨーロッパのライフスタイルは日本に比べて、一日の長があります。農業が暮らしとあいまって、豊かな生活環境の創出に素晴らしい知恵が発揮されているのです。その環境作りを学ぼうと、英国・ドイツ・フランス・イタリアなどの田園の暮らしぶりや、さまざまな農業環境を視察し、あちらの女性たちとの交流の旅を20年近く、延べ200名くらいの女性たちの参加でした。
そんなご縁で、美山には以前にも伺っております。
みやま・・・古代から美濃森下紙が漉かれ、貴族や寺社に尊ばれたという町です。
美山は品と豊かさとセンスのある町です。
気持ちよく余所者を受けとめ、なごませてくださる。
「ふれあいバザール」がまさにそうした空間なのです。
周囲を山々に囲まれ、山百合が咲き温かな空気、人々の、えも言われぬ優しさ。そんな場所にあります。

建物に入ると左手側に地元でとれた新鮮な野菜や加工品などが並び右手側が食堂。この地域でしか栽培していない「桑の木豆」、国産そば粉の手打ちそば。これを目当てに大勢の人たちが訪れます。店舗前の駐車場は午前中から静岡名古屋など他県ナンバーの車でいっぱいです。奥の厨房ではすべて手作りでそばを打ち、山菜天ぷらを揚げ、てきぱきと働く姿の美しいこと。
1997年4月のオープン以来の黒字経営です。
生産者に85パーセントは支払い、その残りの15%で市から借りている建物の家賃やスタッフの人件費、などすべて賄われています。建物の改修や駐車場の整備など行政に頼らず自立しています。そんな経営を学びたいと、全国からの視察が相次ぎ、注目を集めています。リーダーの藤田好江さんとも長いお付き合いです。彼女はじめ、皆さんが兼業農家か趣味で農作物を栽培しています。
皆さんバザールで生き生き働いています。
皆さんの『とびきりの笑顔』が何よりのおもてなしです。
生産・加工・販売、そして食堂経営。
理想的なかたちです。
そばは毎朝、200名分を手打ちで作り、天ぷらは摘みたての桑の葉やミズキ、ダイコンの葉、水菜、どくだみの葉もすべてカラッと揚がっています。藤田さんはお客さんが「美味しい・美味しい」と言って食べてくれるだけで幸せです・・・と。
『食は命そのもの。農を考えることは、未来を考えること』だと私は思っています。
「ふれあいバザール」のみなさん!そしてサポーターの生産者や地元の方々、他県の人。皆さんありがとう!また伺いますね。
美山という町で私は、非常にバランスのとれた「人と産物と環境」を見せていただきました。東京から名古屋から岐阜へ。岐阜から入っていく夢回廊などと呼びたい、いわゆる観光地とは一味も二味も違う、暮らしの広がりと農村の未来がそこにひろがっているそんな旅をしてまいりました。

「女性たちが元気で美しい山間の町」への2件のフィードバック

  1. 先日桑の木豆の存在を始めて知り,食しました。
    これこそ懐かしい日本の味ですね。
    そして田舎の祖母が作ってくれた食事を思いだし、和み,涙でした。

  2. Neferさん
    コメントありがとうございました。
    「桑の木豆」は筋もなく美味しいですよね。
    昔は養蚕農家が多かったので桑の木に「インゲン豆」
    を這わせて作りましたが、現在は桑の木が少ないので
    畑で普通の木に「桑の木豆」を這わせて作っています。
    収穫は10月下旬頃。豆がふっくらしていて赤の色が
    きれいですね。
    皮も豆も食べられるので、いろいろな料理に使えます。
    懐かしい「おかあさんの味」ですね。

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