ぱしふぃっくびいなすの船旅

船旅
船旅に 擬えるなら 兎に角に 私の船は
甘やかな  港を後に 帆をたてて 錨を上げて
海へ出た 荒ぶる海へ
小椋 桂
そう、私、船旅をしてきました。
と、言っても仕事でですが2泊3日の。
「ぱしふぃっく びいなす・秋の日本一周クルーズ」に横浜港から乗船。このクルーズは、海からめぐる日本の風景。歴史を紡いできたその風景に浸るをテーマに、横浜から、神戸、明石海峡大橋、瀬戸大橋をくぐり、ゆっくりと瀬戸内海を通って佐世保港へ。

私は瀬戸内海、小豆島を航行中あたりで乗船されている皆さまの前で、この四方を海に囲まれた日本の豊かな自然や暮らし・・・などを話させていただきました。
佐世保、萩、能登半島、秋田の男鹿半島、室蘭を回り横浜に戻ってきます。それぞれの寄港地では九十九島や日本海に面した萩では伝統と文化、情緒溢れる城下町など、輪島では朝市や漆塗り、千枚田。男鹿半島では美しい夕日に出逢えるでしょうか。
そういえば私もいつからか「夕焼け探し」の旅にでるようになりました。ある所へ仕事があっていく時、前の日の午後に出かけ、ちょうど夕焼け時にその地にいるようにすののですが、これが実は大変なのです。”運がよけりゃ、いい夕日に会える”・・・と思いつつ列車に乗り込みます。
男鹿半島の夕焼けは今でも忘れられないのです。太陽が沈む直前のあの真っ赤な光りに包まれた太陽。津軽線に乗って見た夕焼けの素晴らしさも忘れられません。
どこかで夕焼けに出逢ったら、その夕焼けのドラマは、今、自分が地球のどこにいるのだろうと、呆然とすることがあります。
たくさんの旅をしながらいつも思うのです。
旅は未来であり、過去であり、そして今であり・・・。
日常の生活時間とは違う時間と空間の中に飛び込むと、私という旅人は、現実の私から旅立ったもう一人の自分と旅しているのに気づきます。
旅する先が、何百年もの歴史が現在も色濃く漂う場所に立つと、私はタイムマシーンに乗ってきたトラベラーという感じになります。
北前船の航路をたどったこともありましたっけ。
海路をたよりに流通された交易。
港、港にドラマがあります。
北前衆の表むきの仕事を支えているのは女たちだったのです。
「でも、過去帳に、女の名前はございませんね」と、ぽつりと語ったおばあちゃん。
このひと言が私の胸にひびきます。
海を見ながら思います。
生物を育てるあらゆる出発点に水があります。
水は生命の命綱であり、その命綱は森です。
その森をこれ以上壊していいのでしょうか。
目の前の経済的な利益を優先して、森を壊していいのでしょうか。
壊れるのを知っていて、そのままにしていいのでしょうか。
森、山、川、海、生物の命、そして私たちの命。
その全てが連鎖しています。
ほんとうに美しい日本の海。
日本一周をするお客さま、クルーの方々。
素晴らしい2泊3日の海の旅をご一緒させていただきました。
皆さま楽しい10日間の旅を!Bon Voyage!
いつの日か ゆったりと列島を巡る船旅をしたい・・・と心から思いました。