向田邦子さん

今年の8月22日で向田邦子さんが亡くなって40年になります。

向田さんは突然、私たちの前から姿を消してしまいました。昭和56年(1981)取材旅行の台湾で航空機の墜落事故に巻き込まれてしまいました。51歳という若さで。私は向田さんの大ファンでした。小説、エッセイ、そしてテレビドラマの脚本など。もう、40年になるのですね。

テレビドラマ「阿修羅のごとく」(NHK放送)、「あ・うん」など。「阿修羅のごとく」は四姉妹(加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュンさん達が出演)と老父母。父親役は佐分利信さん。誠実な人柄、しかし父親には実は愛人と子供がいた。

当時のホームドラマでは衝撃的な展開を見せるこのドラマのシナリオに私は魅せられてしまいました。何気ない日常の会話の中に、繊細な表現、人間の業、決め細かい感情描写。当時としては斬新的なドラマでした。仕事を終えると私はまっしぐらに帰宅しテレビを見た記憶があります。

先日亡くなられた小林亜星さん演じる「寺内貫太郎一家」は昭和のガンコオヤジが主役で、今までにないホームドラマでしたね。エッセイもとても好きでした。「父の詫び状」(後に単行本になる。文藝春秋)1978年。実父の話がベースになっていて、ユーモアを交えながら日常のひとコマの切り口など”スゴイ人だわ~”と思いました。ノスタルジーではなく”昭和の香り”が感じ取れました。食べることが大好きで料理上手。料理の話しなど随分学ばせていただきました。

小説では「思い出トランプ」で第83回直木賞を受賞されます。と、言うわけで没後40年になる向田邦子さんの文章に触れたくて、エッセイや料理本、小説などを読もうと思っていたら、素敵な、とても素敵な本を見つけました。

『少しぐらいの嘘は大目に・向田邦子の言葉』(新潮文庫)を出された方が碓井広義さん。

向田邦子さんの全作品の中から、碓井さんが「男と女の風景」「家族の風景」などのジャンルに分けて、370余りの名言、名セリフを選ばれました。多くの方々に向田さんの作品が今も読み継がれているのはどうしてか。

知りたくなり碓井広義さんにラジオにリモートでご出演いただきました。素敵なセリフはご一緒している寺島尚正アナウンサーが読んでくださいました。

碓井さんは1955年、長野県のお生まれ。1981年、番組制作プロダクション「テレビマンユニオン」に参加し、以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作に携わり、去年3月まで上智大学文学部新聞学科の教授をお務めでした。

現在はメディア文化評論家です。今回のご本の資料書籍一覧を見るだけでも「脚本」「エッセイ」「小説」「対談集」「アンソロジー」「全集」など等、膨大な資料からまとめられました。

『向田邦子さんの世界』に没入できる本です。

ぜひ、碓井さんから直接お話しをお聞きください。

文化放送「浜美枝のいつかあなたと」 放送日 7月18日
日曜日 9時半~10時

「向田邦子さん」への2件のフィードバック

  1. アメリカ西海岸在住です。過日、碓井広義さんのこの文庫を、
    アマゾンから購入しました。向田邦子著のファンです。
    今日、友人のブログで、向田さんのことが書いてありました。
    こちらでボロンティアの朗読をしていた時は、向田さんの文章を色々と読ませてもらいました。何を読むか、困った時は、
    向田さんの文章を開くと、必ず見つかりました。
    来月で、40年になるのですね。私は、37歳でした。
    東京で、ボーっと生きていました。
    手元の文庫、友人のブログ、そして、8月22日は、東海岸に住む友人の誕生日です。不思議な繋がりを感じ、コメントさせてもらいました。
    放送は、もう終了しているのでしょうね。聞くことはできないのが残念です。

    1. 櫻子さま

      西海岸からのブログ投稿嬉しく存じます。
      碓井広義さんのラジオはもう放送されましたが、
      大変興味深いお話しでした。
      膨大な資料を読み込み
      向田ファンの私と致しましては
      至福のひとときでした。
      櫻子さんも向田邦子さんのファンなのですね。
      向田さんの何気ない日常のひとコマを文章で読むと
      何と洞察力のある方、人間味豊かな方・・・
      と何度思ったことでしょうか。
      櫻子さんと私はもしかしたら同じ年かもしれませんね。
      1943年生まれです。
      朗読のボランティア楽しみながら頑張ってくださいませ。

      浜 美枝

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