『激安食品の落とし穴』

昨年から今年にかけて、日本の農業についてマスコミをはじめいろいろな所で議論が盛んに交わされてきました。それは皆さまもご存知のTPP(環太平洋パートナーシップ)の大筋合意がなされたからです。「人・モノ・お金」が原則自由になることです。
私は40歳から環境・農・食の問題を勉強してまいりました。この20年あまりで農業の現場も大きく変わりました。将来に農業者の人口は減り続けます。農業就業者の平均年齢は66歳です。50歳未満の農業従事者は25万1千人、5年前から比べると23%も減少しているのです。もちろん一部には優れた農業者もいます。輸出にも力をいれ成功している人もいます。「足りなければ輸入すればいい、そのほうが安くすむ」という声も聞こえてきます。
“食は命に直結しています” 
そんな環境のもと、私は心配なことがたくさんあります。全国各地を自分の足で歩くと耕作放棄地のなんと増えたことか。美しい景観が大きく変化し、このままだと日本の農業、食はどうなってしまうのか・・・。日々の暮らしに目をやるとスーパーなどでの安売り競争。たしかに安いにこしたことはないのですが・・・。
「新鮮でおいしく、安全でしかも安い」そんなことはありえないのです。私の子供のころの暮らしには、庭先に鶏が走り回り、牛舎で牛のお乳を搾る光景など生産現場を身近に感じることができました。現代は、たべものを巡る不祥事も取りざたされています。考えたこともない破棄すべき食品を流通に流す。こんなことってあるのでしょうか。私達台所を預かるものとして考えてしまいますよね。『これってどういうこと?』と。
そこで出会った本『激安食品の落とし穴』です。
お書きになられたのは、農畜産物・流通コンサルタント山本謙冶さんです。山本さんは、1971年・愛媛県生まれの埼玉育ち。慶応義塾大学・環境情報学部在学中、畑サークル「八百藤(やおふじ)」を設立。キャンパス内外で野菜を栽培し、この活動は今も後輩に引き継がれています。これまでの著書に「日本の食は安すぎる」「無添加で日持ちする弁当はあり得ない」があります。私も山本さんの本は以前に読んでおりましたので、現在の「農・食、そしてわれわれ消費者」のことなど伺いたくラジオのゲストにお迎えしました。
安くて美味しい食品は家計を助け、一見、理想的ではありますが、これが「安すぎる」となると、生産者や食品メーカーは生産行為を続けられない状況に追い込まれます。「今の事実を伝えたい」と、全国各地の食の現場で取材して書かれたのがこの本なのです。
本の中で「消費者は弱者であり、守られるべき存在というのが日本の消費者運動の趣旨だが、果たしていまの時代に合っているだろうか。いまや消費者が最も強い立場にいるのではないかと思うほどだ」と。(第一次産業からみた)買い手側が圧倒的パワーを持ってしまい、価格を支配している。
そうですよね・・・この安さで安全?だれか泣いている人がいるのでは?と思うことがあります。皆さんはどのように思われますか?たしかに昭和のころとは環境が変容しています。賞味期限は自分達で判断していました。食べ物にたいする基礎知識が変化している・・・というか、頼りすぎていて期限切れは破棄してしまう。破棄する量も日本は桁外れに多いのです。テレビや雑誌に取り上げられると、スーパーではその商品が瞬く間に棚やカゴからなくなります。
山本さんはおっしゃいます。「日本人はたまごが大好きだ。ひとりあたりが年間に消費する個数は世界でトップクラスだし、しかも生たまごを食べる文化がある!」そのたまごは「物価の優等生」といわれてきた。でもそうでなくなる時代がくるか?
私はスーパーでの納豆とたまごの「激安競争」を見ていて心配になります。たまごの生産者は激減しています。わずか2600戸しかありません。農家戸数の0.1パーセントなのです。「激安」にさらされ商売にならないのです。
日本は競争社会になり合理化と大規模化が進んでいます。最初に述べたようにTPPでの合意によりさらに競争社会になっていくでしょう。でも、私達消費者だけが「食」のあり方を変えることができるのです!食卓を守ることができるのです!そして生産者と消費者がお互いを理解しあうことができるのです。
ぜひ放送をお聴きください。
そして「激安食品の落とし穴」(KADOKAWA)をお読みください。
未来を担う子供たちのために私達ができることからはじめませんか。
文化放送 「浜 美枝のいつかあなたと」 
2月28日放送 日曜10時半~11時まで。
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