浜美枝のいつかあなたと~館野正樹さん

多く旅をしていると多くの木々に出会います。
あの木は元気かしら、あの木はどんな顔になったかしらと、再会を楽しみにする木が私の旅先には何本もあります。
新潟の山、岐阜の山、山形の、石川の、富山の、北海道の、熊本の山々、そして樹々。また逢ったときの嬉しさは、懐かしい人々に再会したときの嬉しさに似ています。


春がすぎ夏。緑濃く葉を繁らせて木は豊かな実りを迎えます。人にたとえるなら気力にあふれ充実した時代というところでしょうか。青春時代から壮年までのダイナミック歳月を、木は夏に体験します。
秋、葉は色づき前身がまろやかにおだやかに変貌し始めます。繁り、実り、燃えたあとの一瞬のまどろみ。やがて静かな黄昏。ある日、一陣の風がふき季節は冬の頁をめくります。


箱根の山歩きを始めて10年になろうとしています。冬でも歩きます。10分も歩くと杉木立の道に行き着きます。この道が、杉の枝の間から朝の光がスーッと差し込んで、とても気持ちいいのです。冬が近づくにつれ、空気が冴え冴えと冷たくなり、真っ白に雪化粧した富士山が水色の空を背景にくっきり見えるようになります。木々は寒風に耐え凛と張り、太い幹は雄々しく大地をつかみます。どんな風にもみぞれにも雪にもひるむことなくひたすら耐える姿は、涙をさそう健気さです。
木の懐かしさ、大きさ、優しさ、いのち、強さ。その魅力にとりつかれたのはいつからなのか、定かではありませんが、私が長いこと恋焦がれた木・・・木。
とても素敵な本に出逢いました。
日本の樹木』館野正樹さんのご本です。
「健気で、したたかで、神秘的。」と帯に書かれています。
植物学者で、日光植物園・園長の館野さんは1958年、栃木県生まれ。現在、東京大学・大学院・理学系研究科で、准教授も勤めていらっしゃいます。専門は生態学です。
私たちにとっては無くてはならない木は、住宅に、薪にと、古くから生活を支えてくれています。静かにたたずむ木を、心の拠りどころにしている人もいるでしょう。一方で、木はしたたかで、たくましく、それぞれに生き方があるそうです。日本には千種類近くの木があるそうです。常緑高木、落葉高木、中低木・・・春になると、どうして毎年多くのスギ花粉が飛ぶようになったのか?など等、ためになる素敵なお話をラジオで聴かせていただきました。
私の大好きな”やまぼうし”についても。箱根は間もなくユキツバキが咲く季節を迎えます。雪解けとともに咲くユキツバキ、今年の雪はどうでしょうか。
ぜひラジオをお聴きください。
そして、壊れる寸前というのが日本の山の現状とも言われています。人と動物が共存できるような森がつくれないものでしょうか。
文化放送 日曜日10時半~11時
放送は来年1月11日です。


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