NHKラジオ深夜便「大人の旅ガイド~飛騨市神岡町・山之村」

今夜ご紹介する飛騨市神岡町山之村は、岐阜県の北端に位置し北は富山県、東は高山、南は飛騨古川町、西は宮川町に境が接しています。近隣都市からは、高山市の北へ44.3キロ、富山市から南南東へ48キロの位置にあります。
市街地から22km山間に入った標高千メートルの楽園、
地図にない村”山之村”です。
雄大な北アルプス飛騨側山麓の高原に点在する7つの集落(森茂・伊西・下之本・瀬戸・打保・和佐府・岩井谷)70戸からなる山之村。
ここは昔ながらののどかな山村風景がひろがります。
辺境の集落、そのどの家にも全面が板造りの伝統的な倉庫「板倉」が残っています。700年の歴史をもつこの地域には、茅葺きの家や、地蔵堂や道祖神などがあり、そこには穏やかな空気が流れ、まさに日本の故郷といった感じがします。
全国的に深刻な過疎化と高齢化が進んでいますが、山之村のみなさんは持続可能な村づくりに一生懸命です。現在、市町村合併が進んだなかで、一般的に中山間地域は行政のきめ細かな支援等が行き届かなくなり、更なる過疎化への道へ、との声もありますが、ここ山之村は神岡町の住民との連携もとられ素晴らしい活動をしています。
この村は「にほんの里100選」にも選ばれています。
選定委員長の映画監督・山田洋次さんは
「にほんの里100選というタイトルをはじめて聞かされたときに感じたのは、なつかしい風景や誇るべき暮らしの文化を残しているような地方が、ぼくたちの国に百カ所もみつかるだろうか、という不安だった。しかし、ふたを開けてみて驚いた。寅さん映画の監督として日本中を歩き回った経験など実に貧弱でナンセンスということを思い知らされた。」
と語られています。私もそう思います。
私がこの村を始めて訪れたのは一昨年の12月、この山之村で作られている「寒干し大根」を求めて伺ったのが始めてです。寒干し大根は1、2月の極寒期に天日干しをし、キツネ色に変わり保存食として、どの家庭でも作られています。冬景色の美しさと共に、その美味しさはまた格別なものです。
その「寒干し大根」を作り続けてきた「すずしろグループ」の皆さんが「食アメニティコンテスト」で農林水産大臣賞を受賞なさいました。軒先に藁で吊るしていたものを串にさして、そろばんを縦型にしたような干し台が工夫されまさに、村の風物詩として全国に知られるようになりました。
「すずしろグループ」も創立20周年を迎えられました。
今は自然食ブームなので売り出せますが、当初は大変なご苦労だったと思います。
「毎日毎日積もる雪、いつになったら春が来るのかと思っていた。雪よけをしながら山々を見ると、木々にも雪が積もっている。いつになったら雪がとけるのだろう。この長い冬を何か利用することがないか、楽しみはないかと思っていた頃、昔から山之村には保存食としての「寒干し大根」がある。これを生かし、冬にしかできない食文化を大切にしよう」
と思い皆さんでとりくまれたのでした。
美しい暮らしを残す・・・という事は、そこに人の営みがあって初めて守られるのですね。
北ノ俣岳(2,661m)登山の中継地としても知られ山之村には、コテージ、バンガローを備えたキャンプ場があり、奥飛騨山之村牧場では白樺の森に囲まれて、牛たちとのんびり、草を食む緑のまきばでのんびりすることが出来ます。(4月29日オープン~11月の頃・雪が降るまで)
旅館や民宿もあり、豊な自然を満喫できます。
先ほど申し上げた「寒干し大根」は山之村牧場で購入できます。3月下旬に再び訪ねたら、まだ小雪が舞い春にはあと一歩・・・というところでしたが、代表の清水利子さんは「今年もいい味になりました!」とおっしゃっていました。さっそく私も帰宅してから料理しました。シンプルに煮物も美味しいし、中華風に椎茸、白菜、キクラゲ、エビを油で炒めてみました。
バスで山ノ村から神岡町に戻ったら、市街地を散策してください。神岡町市街地は大洞山(1,348m)直下の盆地にあるため、湧き水が豊富で至る所に地元の人々が共同で管理している水車があり、年中冷たくて美味しい水が流れています。
疲れたら、平成17年4月にオープンした「平成の芝居小屋・船津座」でひと休み。船津座は飛騨の匠の伝統の技を結集した建物です。
飛騨は春夏秋冬・それぞれの自然が楽しめます。その中にあって”あるがままの自然”と共に暮らす神岡町の奥座敷”山之村”をご紹介しました。

【旅の足】
富山から~高山本線で猪谷(46km,33分)バス40分神岡市外
        神岡~バス・車(22km,40分)
名古屋から~高山本線で古川(2時間25分)バス45分神岡市外
松本からは車の場合、安房トンネルを抜け乗鞍スカイラインで高山へ
新宿駅西口から高山まで高速バス有。(約5時間30分)
大阪(近鉄なんば)から高山まで高速バス有。(約5時間20分) 

【お問い合わせ先】
社団法人 飛騨市観光協会
TEL 0577-74-1192
FAX 0577-73-0099