映画『ロング、ロングバケーション』

今週も映画のお話しです。

「最高の旅をした人生」にする。
大好きなキャンピングカーで二人は走り出した。
”そう、人生は上々だ!”

半世紀以上連れ添う70代の夫婦が、キャンピングカーでアメリカ縦断の旅にでる。

夫・ジョン(ドナルド・サザーランド)の運転する年季の入ったキャンピングカーに乗り、ルートは1号線を南下しキーウェストのヘミングウェイの家へと二人は旅に出る。

妻・エラに扮するのは、アカデミー賞に4度ノミネートされ、「クイーン」で主演女優賞を獲得したヘレン・ミレン。ジョン役のドナルド・サザーランドも2017年、アカデミー賞名誉賞に輝いています。

そして、監督は今やイタリアのNo.1のパオロ・ヴィルズイ。

「私はイタリア映画の申し子ですし、イタリア映画界の一部であることを誇りに思っています。ですから、アメリカで撮影するというプロジェクトは、半ば賭けのような気持ちでスタートしたのです。」と監督は言います。

原作の素晴らしさと主役の二人が快諾してくれ、その時点で作品への情熱がさらに駆り立てられました、とも語っています。

妻は末期ガンを患い、文学教師だった夫は認知症が進むなか、ハンドルを握り東海岸の陽光を浴び、ひたすら走ります。

敬慕するヘミングウェイの家を見せてあげたいと願う妻エラ。人生を共に歩んできた二人にも秘めた出来事があり、思わぬところで露呈し、絶望し、また再生し、希望をもち、老夫婦はそのトラブルまでも謳歌してしまう、旅を続けます。

『哀切』ってこういうときに使われる言葉なのでしょうか・・・。

「最後の瞬間まで自分の人生を選ぶという問題にたいしてどう向き合うか」を考えさせられる映画です。

最期の瞬間まで、息子達の意見を、理解ある医師たちの考えを尊重しますが、自分の人生を選ぶ自由は自分達本人です。

そこにはアメリカのヘルスケアシステムがあると言われています。人生の最後に多額のお金が使われる仕組みになっているとか。そのような背景を監督はどのような形で示したかったのか。

名優二人の演技は、演技をしていることをも忘れるほど自然体で、ユーモアがあり、人間的な魅力溢れる芝居なのです。だから名優なのですね。

唐突なラストは申し上げませんが、心に深く余韻を刻んでくれます。

”そう、人生は上々だ!”

そう・・・こんな愉快な旅ができたら人生最高ですね。たとえ何があったとしても。
いい映画でした。至福の1時間52分でした。

TOHOシネマズ日本橋などで上映
映画公式ホームページ
http://gaga.ne.jp/longlongvacation/

50周年の岩波ホール

創立50周年おめでとうございます。

神田神保町の岩波ホールが2月9日に50周年を迎えられます。ミニシアターの草分けで、映画文化を私が学んだのは岩波ホールでした。

世界の埋もれた名作を次々に上映し、欧米だけでなく、世界各地のアフリカ、中央アジアなど私が見始めた頃は全く知らない国々の映画にも出会えました。

シネコンで観てももちろんいいのですが、私のような時代の映画育ちには、やはり岩波ホールのようなミニシアターがしっくりきます。でもこのようなシアターが苦境にあり、閉館が相次いでいるのも事実です。

スマートフォンやタブレットで見る習慣が若者達に広がる中で、映画はやはり”スクリーン”で。そこには高い志があったからこそ「いい映画」を私たちに提供してくださるのです。

今日で終わってしまいますが文豪モーパッサンの名作「女の一生」ももちろん観ました。19世紀のフランスを舞台にした若い娘が妻へ、母へ、そして・・・この女の一生を気鋭ステファヌ・ブリゼ監督が新たな作品にと仕上げ、自然の素晴らしさ、時代考証が入念なので衣装も背景すべて、役者の芝居もまるで今この時代に存在しているように心が揺さぶられました。

岩波ホールでは映画監督の羽田澄子さんのドキュメンタリーも上映され続けています。「エキプ・ドシネマ」(フランス語で、映画の仲間の意味)という運動が1974年に起きます。

世界の埋もれた名作を発掘して上映するこの運動の中心として活躍したのが総支配人・高野悦子さん(2013年死去)でした。後を継いだのは岩波律子・支配人です。

どんな思いで継がれたのか、やはり直接お話を伺いたくてラジオのゲストにお迎えしました。

岩波律子さんは、岩波書店と岩波ホールの社長だった父・雄二郎さんの長女として、東京に生まれました。1975年、学習院大学大学院・仏文科修士課程を修了し、翌年フランスに留学。フランス語で日本文化を学ばれたそうです。1979年、岩波ホールに入社し、外国部、宣伝部、編集部を経て、1990年に支配人に就任。翻訳書に「カメラの旅人 ある映画人の思索と回想」があります。

神保町の交差点からすぐのところに岩波ホールはあります。私はいつも地下鉄で行きます。とても便利でそのまま上がればホールのある建物に入れます。

支配人として大切にしていることは、他の映画館の映画の予告編を入れないこと(これは見る側には有難いです、作品に集中できるから)。

映画の初日にはご挨拶をし、感想を言われるととても嬉しいそうです。客席の8割くらいは女性です。時には「ご飯はどこで食べたらいい?」など質問を受けることも。皆さんと交流したいと思います。そして『世界の映画を上映する窓口であったらいいな、と思います』と語ってくださいました。これからも「いい映画を見せてください」

明日2月3日からは「花咲くころ」が始まります。
ぜひ岩波ホールのホームページをご覧ください。
https://www.iwanami-hall.com

混乱のさなかにあった1992年のジョージアの首都トビリシを舞台に14歳の少女2人の成長を描く映画です。もちろん私も観にまいります。

放送は2月4日
文化放送「浜美枝のいつかあなたと」
日曜10時半~11時

映画 ベロニカとの記憶

1月20日から公開された『ベロニカとの記憶」』を観てまいりました。

上質な大人の映画。

監督は世界中で大ヒットしたインド映画「めぐり逢わせのお弁当」のインド・ムンバイ生まれのリテーシュ・バトラ。そしてキャストはイギリスの名優ぞろい。

私の大好きな1946年生まれのシャーロット・ランプリング。
「さざなみ」(15)でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。
この役は彼女しか考えられませんでした。と言う監督。
納得です。

主人公のトニーを演じるのは1949年生まれのジム・ブロードベント。他にも素晴らしいキャストの皆さん。原作「終わりの感覚」は読んでおりませんが、ぜひ読みたくなりました。

原作に基づいているとはいえ、映画では他の観点が加えられています。
主人公を演じるジム・ブロードベンドは語っています。

「原作は台本を受け取る前に読みました。素晴らしい作品ですね。自分の”主観”と他者が見る”客観”にはずれがあるというテーマに惹かれました。」と。

青春時代の思い出、初恋の真実、自殺した親友。美しい青春の物語。でも残酷です。

人間って、とくに若い頃の記憶は過去を美化し、意とせずに記憶を正当化し、記憶を塗り替えてしまう側面があります。ストーリーを詳しく書きたいのですが、この映画は人生の”ミステリー”です。

詳しくは公式ホームページをご覧ください。

私自身も観終り自分の思い出の扉をあけてみました。
初恋のこと、自分自身の青春時代、そしてそれらは歳を重ねて今思うと、生きて来た時間の中でその”記憶”は正しかったのか・・・と。

『奇妙な遺品が、40年前の初恋の記憶を呼び覚ます』・・・と書かれています。でも、観終わったあとの清々しさ、そして、人生に新たな希望と輝きを与えてくれる、元気になれる映画ですし、”人生って素晴らしいものだわ”と感じさせてくれます。

そして、老いてからの”許し”についても考えさせられました。

いかにもイギリス映画ですし、インド生まれの監督は世界中で映画を製作していますが、イギリスの歴史、文化、人々の営みを知り尽くされておられる・・・とも思いました。

アメリカ映画では実現できなかったでしょう。男と女、なかなか理解し合えないけれど、いつか寄り添うことで理解できるかも・・・とも思いました。秀逸の映画でした。

映画公式ホームページ http://longride.jp/veronica/

詩とオードリー・ヘプバーン

友人から一冊の詩の本をお借りしました。

倚りかからず』(ちくま文庫) 茨城のり子著

よりかからず

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはやいかなる権威にも倚りかかりたくない
ながく生きて心底学んだのはそれぐらい
自分の耳目
自分の二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある

倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

そうですね・・・そうそう。
椅子の背もたれだけで充分ですね。
他に倚りかかって生きていくのは美しくないですね。

この年齢になって、この詩の偽りのない、美しい日本語が理解できるようになりました。他にも素敵な詩が収められています。

先日、日本橋三越本店 新館で開催されている『写真展オードリー・ヘプバーン』に行ってまいりました。22日(月)まで。

オードリー・ヘプバーン(1929~1993)は「ローマの休日」、「麗しのサブリナ」、「ティファニーで朝食を」、「マイフェア・レディー」など数々の名作品に出演し、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞など受賞しているのは皆さんもご存知ですよね。

痩身、大きな瞳と長い脚。ファッションセンスも抜群。世界中の人たちに愛されたオードリー。亡くなってからすでに25年が経とうとしているのに、会場は中高年と若い人も多少・・・いっぱいでした。

おちゃめな姿。妖精のようなしぐさ。会場の男性も女性もご自分の青春時代を重ねるように「あの映画・・・素敵だったわね~」などとお話ししながら一枚一枚を眺めていました。

スイスでの家族とのプライベート写真、ご主人のメル・ファーラと息子ショーンとの姿。そして、撮影の合間の写真など素顔のオードリーに出会えました。

私はシャンプーをしている姿や、セットの片隅で出を待つ姿。また自室で台本を手にしている姿など、今までに見たことのないプライベート写真など素敵な写真に出会いました。

会場には映画音楽が流れ私自身も青春時代に戻っていました。

私は幸せなことに、偶然二度彼女をお見かけしました。

一度は私が007の映画出演のため、ロンドンの格式高いドーチェスターホテルにかんずめにされ(笑)英語のレッスンに明け暮れていた毎日。

夕方終わり、クタクタになり格式あるホテルですのでジーンズというわけにはいかず、着替えてロビーに降りてゆきソファーに腰掛けひと息入れていたとき、回転ドア(現在はオーナーも変わり当時の面影はありません)が開きドアマンがレディーを迎えいれていました。

その周りには”オーラ”が輝き・・・そうなのです”オードリー・ヘプバーンさん”が入っていらしたのです。ジパンシーのベージュのコートをエレガントに着こなし、妖精のような大人の女性の気品があり、周りの人たちも静かに彼女を迎えていらっしゃいました。私はただ見とれているだけ。ため息がでそうな美しさでした。

もう一度は、彼女が女優を引退されユニセフの活動を熱心にされていらした時代。東京駅で偶然お見かけしました。

新幹線のエスカレータを上がると何か雰囲気が違い、どなたかいらっしゃるのかしら・・・と思いました。ちょうどオードリー・ヘプバーンさんが新幹線に乗る時でした。

スーツケースを関係者の人が持とうとしたら「ありがとう、これは私の荷物、自分で持ちます」と仰り新幹線の入り口に入れておられました。

私は感動しました。年を重ね、もう若くはなく、でも顔のシワすら美しく、背筋を伸ばして乗り込んだ彼女を”本当の大人の女性”だと思いました。

写真展を見ながら彼女の人生も順風満帆というだけではなかったはず。

しかし、”倚りかかるとすれば それは 椅子の背もたれだけ”の詩が脳裏に浮かびました。

詩、写真。

豊かな一日でした。

寒中お見舞い申し上げます。

皆さまはお正月はどのように過ごされたのでしょうか。

私は、2日、3日の「箱根駅伝」で始まります。私の住むところが往路のゴールから5分のところにあり、往路では少し前に下りて行き、選手を迎えます。

駅伝には毎年ドラマがあります。若者が青春をかけ母校の襷を繋げる、その姿にいつも胸が熱くなります。往路は東洋大学、復路は青山学院が4連覇達成。シード権をかけての若者達の走りには毎回大きな声で応援します。

3日のスタートは夜明けとともに芦ノ湖辺りを、応援団の元気な声を聞きながら、散歩します。夜明けの富士山は凛とした神々しさを感じます。

三が日は箱根神社は大変な混雑なので、避けて初詣にまいります。早朝ですと人もほとんどおらず、ゆっくり参拝できます。

今年はどんな年になるのでしょうか。世界を見渡せば、問題山積、どうぞ”平和を”と祈りました。

そして、昨年12月から読み始めた原田マハさんの『たゆたえども沈まず』(幻冬舎)をお正月でようやく読み終えました。

そして読み終えたら行きたかった、上野の東京都美術館で1月8日まで開催されていた『ゴッホ展・巡りゆく日本の夢』へ。

もっと早くにでも行けたのですが、なにしろ本を読んでから!と思っていましたから。正解でした。

1880年代のフランスを舞台にした長編小説。画家ゴッホと、日本美術を欧州に広めた美術商・林忠正。そして、兄ゴッホを終生支え続けた弟のテオ。

実在の3人に原田さんは架空の日本人を絡ませ、傑作が生まれる過程を描いています。もちろん小説ですからフィクションの部分もあるでしょう。でも、展覧会をじっくり観ると、数奇な運命を辿り、自らの命を絶ってしまった描写がより理解できましたし、これほどまでにゴッホが「日本への憧れ」をもった背景も良く理解できました。

南仏のアルルに滞在中に書かれた自室やひまわり・・・私はそのあと、サン・レミ時代の「オリーヴを摘む人々」など風景画も好きです。いかにまだ見ぬあこがれの日本、浮世絵版画に影響をうけたかが分かります。

新聞のインタビューに原田マハさんは答えられています。

「ゴッホは情熱と狂気という枕ことばがつくけれど、彼の数奇な人生を超えた所に『星月夜』のような名作生まれ落ちている。それがアートの素晴らしさだと、小説を通して分った」

「私の作品を読んで、アーティストが面白いと思った人は、美術館や展覧会に足を運んでほしい。それで私の小説は完結すると思っています」・・・と。

かつて、10代の頃、女優としてこのまま続けていくべきか、と迷ってヨーロッパ一人旅をし、最後に辿り着いたのがまだ古い木造建てのゴッホ美術館でした。

軋む階段を上ったところに飾られていた「馬鈴薯を食べる人々」や履きふるした「靴」を、またアルル時代の絵に出会い感動して涙がとまりませんでした。

それはなぜなのか・・・

55年の時を経て原田マハさんの「たゆたえども沈まず」を読み、何度も観ていたはずのゴッホの作品を改めて観て、私の心の奥深くにある「日本」への憧れがオマージュとして迫ってきました。

芸術って、時にその人生を導いてくれますね。

美術館から歩いて「鈴本演芸場」へ。恒例の「新春爆笑特別興行」の夜の部へ落語を聴きに行きました。

太神楽社中の獅子舞、追っかけをしている柳家小三治師匠、紙切りの林家正楽さん、はじめ漫才、講談、粋曲の小菊さん、他落語家の皆さん。トリは柳家三三師匠。大いに初笑いでお正月の締めくくり。

2018年 お正月も終わり、新たな年のはじまりです。
皆さまにとって良き年でありますように。

今年も宜しくお願い申し上げます。

新年のご挨拶

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新春のお慶びを申し上げます。
穏やかな光に包まれた一年でありますように。
メインパーソナリティをつとめる文化放送『浜美枝のいつかあなたと』(日曜・十時半)が今年で十九年を迎えます。この番組で、多くのゲスト、そして農に携わる人々と出会い、いつもたくさんのことを学ばせていただいています。
また朝日新聞の連載『もつれた糸をほぐして』には、嬉しい反響をいただき、その声に励まされるように書き進めております。
人に恵まれ支えられ、こうした貴重な機会に巡り合ったことに感謝し、今年も前を見て、一歩一歩丁寧に進んでいきたいと思っています。
2018年 元旦 浜美枝

愛されすぎたぬいぐるみたち

2017年もあと3日。
皆さまは今年はどのような年でしたでしょうか。
来年は優しさに満ちた素敵な世の中になることを祈らざるをえません。
今年最後のブログはたまらなく愛おしい”ぬいぐるみ”のお話です。
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愛されすぎたぬいぐるみたち』[写真・文マーク・ニクソン(訳・金井真弓)]を手にした時の幸福感は言葉では表せないほどのものでした。
1ケ月ほど前のことです。表紙カバーは色褪せたクマのぬいぐるみ。ページをめくると変色したり、腕が剥がれ鼻がぺっちゃんこになっていたり、持主と一緒にお嫁入りしたり「愛されすぎた」ぬいぐるみたちは”くたびれ”すぎています。
ある日、きっかけはマーク・ニクソンが「大のお気に入りのぬいぐるみを連れてきてほしい」と人々に呼びかけました。洗っていなければいないほど、そしてボロボロであればあるほど望ましい。と。
いろいろな物語や思い出が、写真に収められ本が出来上がりました。持主の涙やよだれを吸い込み、きっと抱きしめられすぎてヨレヨレになったぬいぐるみたち。でも、どのぬいぐるみも胸をはって誇らしげです。笑いや涙の思い出がつまった文章も素敵です。今年最後の素敵な贈り物。
愛されすぎたぬいぐるみたち
何もわからなかったとき、そばにいてくれた
何があろうととも、そばにいてくれた
さんざん抱きしめられ、恐怖や希望を聞かされ、
涙や鼻水を吸ってよごれた子たち
ひとりぼっちの夜は慰めてくれた
部屋の暗い隅に怪物がひそんでいたときも
だまって見守り、いつも一緒で、かばってくれるこの子たち
手ざわりはもちろん、たちまち落ち着くなつかしいにおいもすてき
この子だけの香りをかぐと、心は安らぎ、夢の国へと運ばれる
純真な心を失ったときも、子どもの世界から大人の世界へ入ったときも
秘密は絶対に守ってくれ、見返りも求めずそばにいる
広い心の持主は、やっぱりいつもぼくのクマ
M・N
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私が『クマのプーさん プー横丁にたった家』[A・Aミルン作/石井桃子訳(岩波書店)]を手にしたのは1962年の年末でした。最初は昭和15年に出版されたそうです。20歳少し前のことです。
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その前に出会ったのが写真の”クマのプーさん”です。アメリカ旅行の途中に出会い、飛行機で一緒に帰ってきました。大きくて抱えきれないほどでしたが、シートベルトの上にちょこんとすわり・・・。それ以来引越しのたびについてきてくれ、4人の子ども達は鼻をひっぱったり、マクラにしたり、相撲ごっこをしたり、もうクタクタでした。久しぶりに子ども達の本棚からこの本を引っ張り出し、掃除もせずに階段で読みふけり、「プーさんと本」で今年も終わろうとしています。
プーさん!私74歳になりました。あなたと出逢ってから55年がたちました。今度は孫の相手をしてくれています。仲間のクマたちも全部アンティーク。このクマさんたちと孫と遊ぶときが一番幸せです。おままごとや追いかけっこも一緒にしてくれます。私の「愛されすぎたぬいぐるみ」です。
皆さま佳き新年をお迎えくださいませ。
今年もブログをお読みいただきありがとうございました。

又吉直樹さん

先週に続き又吉直樹さんについてです。
今週ラジオ収録に又吉さんをお迎えいたしました。
放送はお正月7日なのですが、今年最後の収録でした。スタジオにお越しになられてまず、”お洒落!”と思いました。カーキ色のセーターにオレンジがかったシャツ、そしてお馴染みのヘアースタイル。やはりシャイな方ですね。かなりプライベートなことも伺いましたが、誠実に丁寧にお答えくださいました。
又吉さんは1980年、大阪府寝屋川市生まれ。
高校卒業後、芸人を目指してNSC(吉本総合芸能学院)東京校に入学。2003年、綾部祐二さんとともにお笑いコンビ「ピース」を結成し、2010年、キングオブコントで準優勝。芸人としての活動と並行し、エッセイや俳句などの文筆活動も行い、2015年、『火花』で第153回芥川龍之介賞を受賞なさったことは皆様よくご存知のことと思います。
これまでの著書に、『第2図書係補佐』、『東京百景』などがあり、最新作が小説第2段の『劇場』です。
まず最初に映画「火花」を観ての私の感想。そして原作者として、観た映画の感想などを伺い、私は『火花』も『劇場』も芸人に対する愛はもちろん、一人の人間を大切にする温かさ、優しいまなざしはどこからくるのか・・・ぜひ伺ってみたかったのです。
『劇場』は演劇の世界の物語ですが、主人公の僕(永田)と女優を目指して上京してきた沙希の物語です。
切なくなるほどの、ある意味純愛(なんて言葉ではいいつくせませんが)小説。しかし、この永田が複雑な男。言葉を選びながらお話くださる又吉さんの世界はぜひ実際に読んでみて、また彼の言葉でお聴きください。
もう一つぜひお話を伺いたかったことは、以前、テレビで又吉さんの仕事部屋を拝見したのですが、机やスタンド、壁に立てかけてあった一枚の絵。
大変美的感覚のある方だと思い、その辺もお話を伺いました。日々暮らしの中で、意識していることなど・・・お笑いの仕事を終えるとまず仕事部屋に向かうそうです。
「美しいと感じることが好きです」とおっしゃいます。中学の頃から太宰治や芥川龍之介などを読みふけっていたとのこと。美意識はそうしたところからも生まれたのでしょうか。
芸人としての活動と小説家としての活動を両立させていることなども伺いました。
スタジオを後にされる時、しっかり相手の目を見てご挨拶くださる又吉直樹さんはとてもチャーミングですし、セクシー(大人の男の)と感じました。
『劇場』は新潮社から発売。
放送は文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」
来年1月7日  
日曜10時半~11時
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映画『火花』

又吉直樹さんの芥川賞受賞作を映画化した「火花」を観てまいりました。
2人のお笑い芸人の10年の物語です。
私は普段あまりお笑いの世界に接する機会が少ないのですが、もちろん又吉さんの原作は読んでおりますし、この原作をどのように映画化するのか・・・とても興味がありました。
挫折した2人のお笑い芸人を見事に演じている20歳の漫才師、徳永(菅田将暉さん)と4歳上の神谷(桐谷健太さん)、そして、監督は又吉さんの先輩のお笑い芸人であり、俳優であり、映画監督の板尾創路さん。
笑いを追及する二人は吉祥寺のハモニカ横丁で飲んだり、井の頭公園を歩きながら、漫才のネタを研究したり・・・その真剣さとくだらなさを言い合いながらの笑いの追及を、映像で表現するとこのようになるのだと深く感心しました。そして俳優さんたちのリアルさにはなにか・・・涙腺を刺激されドキュメンタリー映画を観ているような錯覚になりました。カメラワークが素晴らしい!演ずる舞台の上の彼らだけではなく、ソデで出を待つ姿、表情を監督はしっかりおさえています。
コンビの解散を決めた徳永が、相方のために考えたネタは、内容を知っていても泣けますし、エンディングで流れる「浅草キッド」(作詞・作曲ビートたけし)も素晴らしいです。青春を真剣に駆け抜けた映画です。
冒頭の打ち上げ花火。
ラストの花火。
切なくなりながら清々しい気持ちにさせてくれる2時間の映画でした。原作の持つ力が遺憾なく発揮されています。
実は今、又吉直樹さんの「劇場」を読んでおります。来週の私がパーソナリティーをつとめる文化放送「浜美枝のいつかあなたと」に又吉さんをゲストにお迎えするのです。お会いするのがとても楽しみです。
どんなお話を伺おうか・・・芸人と作家との狭間をどのように生きていらっしゃるのか、お聞きしたいことはいっぱいあります。
お会いしたら、来週のブログでご報告いたしますね。
とてもシャイな方とお見受けいたします。

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映画公式サイト
http://hibana-movie.com

フランスの絵本の世界

師走に入り、なんとなく気ぜわしい日々。
落葉し尽くした冬の山は静かで私のもっとも好きな季節・・・。
こういう季節には”小さな旅”がしたくなるのです。
素敵な絵本の世界に誘われ、館林までの旅です。
ゾウのババールやペネロペなど子どものころの憧れだったフランスの絵本。でも私の子供時代にはとうてい無理な世界でした。大人になってから少しづつ読み始めた絵本。
そんなフランス絵本の歴史をたどることのできる展覧会が12月24日まで群馬県立館林美術館で開催されています。
鹿島茂コレクション・フランス絵本の世界』展です。
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展示は、フランス文学者の鹿島さんが30年近くかけて集めてきた貴重なコレクションです。
厳選された約300点が初公開されているのです。
フランスにおいて子どものための本が発達するのは19世紀半ばだそうです。それまでの子ども達は労働力でもあったのですね。
編集・出版社のエッツェルは、作家や画家達の才能を発掘し児童書の傑作を世に送り出したことなど、よく理解できる展示になっていて、フランス絵本の黄金時代を辿るとともに「絵本」はいくつになっても憧れです。
展示では、絵本誕生の先駆的な役割を果たしたといわれるアルノー・ベルカンの「ラミ・デ・ザンファン(子どもの友)」1822年に刊行された復刊版など貴重な本などが観られます。
かわいらしく愛らしい絵本・・・
お掃除や、お片付けに忙しい師走。
ちょっと手を休め”子ども心”に戻るのも素敵なことですね。
浅草から1時間で行けるのですもの。
芝生にかこまれた美しい広場も、建築も素晴らしいです。
帰りには”冬茜”がお見送りしてくれました。
「ババールのこどもたち」の絵本を小脇に抱え帰路に着きました。
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群馬県立館林美術館の公式サイト
http://www.gmat.pref.gunma.jp/ex/exnow.html