長野から、しなの鉄道に乗り、りんごの実る木々の合間をぬってワンマンカーはひたすら黒姫に向けて走ります。
何度も何度も通った道。
このたび黒姫に住む友人ご夫妻から10年間閉館していた「落葉美術館」が今回を最後に1年に1日だけではなく、1週間開館するので「見にいらっしゃらない?」とお誘いを受け黒姫に行ってまいりました。毎秋、11月3日に一日だけのオープン。なかなかタイミングがなく今まで残念な思いをしてきました。今回は10日28日(水)~11月3日(火)・午前10時30分から午後4時まで。(入場無料)
私は初日の28日に行ってきました。
黒姫駅には友人が出迎えてくださり車で7、8分の「落葉美術館」へと。
紅葉は見事で山の上から裾野に降りてきています。雑木林の入り口から平山英三・平山和子ご夫妻のアトリエへと向かいます。サクサクサク・・・と落ち葉を踏みしめ歩きます。手入れのゆきとどいた庭と建物。入り口を入り磨かれたガラス窓の向こうには紅葉した樹々。土間と画室が展示室になっています。水彩絵の具を使って原寸で描かれている落ち葉の絵。落ち葉の表情は繊細で、その姿が忠実に描かれています。
友人ご夫妻は車を運転し、よく平山ご夫妻と落ち葉拾いをなさったそうです。ご自宅に帰られて色の変わらないうちに奥さまが克明に落ち葉のすがたを忠実に描きしるす・・・。葉の大きさによって描ききれない時は、きれいに包んで冷蔵庫で採ったときの印象を保存されるそうです。
美しい落ち葉に出逢った喜びが絵から伝わってきます。やまぶどう、こぶし、いたやかえで、くり、メイプル、おおばやなぎ、いたやかえで、はりぎり、ほおのき、やまぼうし、はうちはかえで、もみじ、さわぐるみ、おおばかめのき・・・など等。落ち葉の表情が繊細で、こんなに豊かな表情をしているとは驚きです。色が鮮やかさを保つために画室はなるべく暖房をしないようにするとか。落ち葉の季節は零下の日もありストーブはかかせません。落ち葉のしめりけにも気をくばられるのでしょうね。
東京から移り住んで30年あまり。お目にかかったことはありませんが、黒姫の落ち葉に魅せられて描き続けていらっしゃる和子さんのお姿を想像いたします。
敷地の雑木林には沢が流れています。黒姫の雪解け水なのでしょうか。
私も落ち葉のシャワーを浴びながら、こんなに美しい落ち葉があることに感動いたしました。落ち葉は秋だけではなく冬や春、夏の林にも出逢えるそうですね。
箱根の紅葉も美しいのですが、黒姫の雑木林は、また趣があります。
まもなく黒姫も雪におおわれます。
展示室の壁にこんな言葉が書かれていました。
自然がつくりだした一枚一枚の落ち葉の意匠は美しく不思議で
林のなかは、つきることのない美術館です。
私どもは黒姫で出会った美しい落葉のすがたを描きしるして、
住まいの一隅に落葉美術館としてまとめております。
小さな美術館ではございますが、林のなかの、ほんとうの落葉の
美術館の分館のひとつともなればと思っております。
平山英三
平山和子
やがて消えていく落ち葉に、70代になり自然への敬慕がつのります。
そして長野から途中下車し、上田の玉村豊男、抄恵子さんご夫妻の「ヴィラデスト・ガーデンファーム」にお邪魔して秋の花が美しく咲くお庭を散策し、コーヒーをいただき、晩秋の山の風が心地よい夕暮れ帰路につきました。
80代になられた平山ご夫妻。
もう、落ち葉の絵を観ることはできませんが、どうぞお元気でこれからも黒姫の落ち葉を描きつづけてください。そして、生きていることの幸せを与えてくださったことに深く感謝申し上げます。
想い出とは、
木をめでて心で感じた事とか。。
自然と共に育む心は
穏やかさと安らぎと、時におおらかさも与えてくれますね。
落葉美術館の平山様ご夫妻のお心に触れたようでした。
素敵なブログを有難うございました。
Nefer様
ブログへの投稿ありがとうございます。
移りゆく季節の中に折りなす人々の営み。
変化に富んだ自然の中に身を置くと感じる感覚。
おっしゃるとうりですね。
自然から学ぶことのなんと多いことか・・・と思う
今日この頃です。
晩秋からもうすぐ初冬へと季節は移ります。
ご自愛くださいませ。
浜 美枝
こんばんは。11年前、落ち葉の美術館で、こどもたちと拾った、楢のどんぐりが、我が家の庭にあります。思い出です。残念ですが、行けません。しかし、このブログで、思いを馳せる事ができました。ありがとうございました。
そうですか。
11年前に「落葉美術館」へいらしたのですね。
あの入り口からアトリエまでの素敵な小路。
私も落ち葉を拾いながら歩きました。
『心の玉手箱・宝石箱』は身近なところにあるのですね。
お互いに、素敵な出逢いに感謝ですね。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
浜 美枝