秋の京都

この季節は「秋思・しゅうし」とよぶとか。
実りの秋、収穫の秋。花は実となり枯れ葉となりどこか寂しい思いがいたしますが、心が幸せで満たされるような展覧会に行ってまいりました。
『石井麻子のニットアート展』です。
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石井麻子さんには過去に何度か我が家の箱根やまぼうしで、展覧会をしていただき、そのたびに心惹かれる天使たちが舞い降りてきます。着るとラブリーな気持ちにさせてくださるセーターやベスト。私のクローゼットでは石井さんの天使たちが仲良く一年中微笑んでくれています。
今回の京都文化博物館でのニットアート展では2003年から製作をはじめたニットタペストリー27枚が展示されました。パリからスタートし「京都姉妹都市シリーズ」は9都市。春夏秋冬プラハ、グアダラハラ、韓国、キエフ、フィレンツエ、西安、ボストン、ケルン、京都など。
そして我が家のやまぼうしのために製作してくださった「箱根・HAKONE」。深い青の色が湖や空、そして寄木細工の文様。素敵です。宇(そら)で遊ぶ天使たち、天使の森深く迷いこんだような感覚にとらわれる素晴らしい手仕事。心がほっとして思わず微笑んでいる私。
世界の平和を祈り、そして古都の、歴史、文化、自然に学びながら、「畏敬の念」を持って製作に立ち向かうことは至福という言葉以外ありません。とおっしゃる石井さん。行く秋を足の赴くままに旅をさせていただきました。
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そして、翌日は早朝京都御苑の周りを散策し、向かった先は今回の旅の楽しみのひとつであった千年の都に伝わる秘法を紹介する、秋の「京都非公開文化特別公開」のひとつ、来年生誕300年を迎える江戸中期の絵師、伊藤若冲(じゃくちゅう・1716~1800)の天井画が初公開されているのです。
10月30日~11月8日
江戸中期の奇才と呼ばれた若冲。謎の絵師です。
今回初公開された、浄土宗信行寺の天井絵「花卉図」。本堂の一画に、格子状に区切った167面は一枚が38㌢の角の板で、中央を円形の画面として植物が描かれています。
朝一番で行ったのですが、すでに1時間待ちの行列。頭上に花々が降り注ぐように描かれています。アヤメ、ボタン、ユリ、シュウカイドウ、ヒマワリ、キク、ナンテン・・・若冲らしいこだわりもうかがえます。ボタンは正面から描かず、後ろ姿。アヤメは茎をくるりと丸めて下をむいているのです。本堂で檀家のひとたちが祈る場所にはそのような構図がふさわしいのでしょうね。
それにしても・・・あの「若冲」の本来の作品とはかなり違います。最晩年のこの作品がもしかしたら、もっとも「若冲」の本質的な絵なのかもしれません。信行寺はこれまで、劣化を防ぐために公開せずにきたそうです。美術を学ぶ人たちから『拝観のチャンスを』との願いを受け一度だけの公開となりました。
本堂の一画にすべて異なる植物を外国人も京都の人も、私のような観光客も、若冲のその晩年の絵に魅せられました。
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その足で錦小路の市場へと向かいました。
若冲は高倉錦小路の青物問屋の長男に生まれますが、15歳ごろから絵を学び弟に家業は任せ、絵に専念し動植物を描き続け、その手法はだれも真似のできない様々なアイデアで描いていきます。
私は今回の天井画を観て初めて「若冲の心」の入り口にたてたような気がしました。
謎の人物でもなく、奇抜でもなく「人間若冲」をかいま見ることができました。
紅葉にはもう少し・・・冬が間近まできている気配はありますが、心はぽかぽか・・・丹波の栗きんとんとお抹茶をいただき京都を後にしました。

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