輝く農山漁村の女性たち

輝く農山漁村の女性たち
~こだわりの地域特産品はこうして生まれる~
というテーマで、山口県からお招きを頂きうかがってまいりました。
第1部は”農の風景~輝く農山漁村女性たちへのエール~”と題して私がお話をさせていただきました。
第2部は現場で活躍している女性たちとのトークセッション”こだわりの地域特産品はこうして生まれる!” こんなお話を私はさせていただき、また活躍している地元のジャム屋さんをご紹介させていただきました。


山口県は、豊かな自然環境に恵まれ様々な地域資源が溢れています。ある意味恵まれすぎているかもしれません。山の幸、海の幸、温暖な自然環境。暮らしの中で培った知恵や技、そして地域資源を活かした特産品づくりを進めています。
私はこれまで40年近く農村漁村にお邪魔し女性たちと語りあってきました。歩いていると、農業の半分は女性が支えているのに、「自分の銀行口座」もなく、家族に遠慮して暮らしている・・・と思えることもありました。”もっと光をあててほしい!”と「食アメニティー」を立ち上げ、国にも協力していただき、農山漁村の伝統食など「食」によって経済的自立をはかろうとする女性たちを応援してまいりました。
確かに日本の農業・漁業は高齢化、担い手不足という側面もあります。TPPでの合意で、はたして日本の環境に即した生産ができるのか、安い生産物が輸入されて、確かに消費者としては嬉しいのですが、「食料」は工業品ではありません。海外からの輸入がストップした場合、担い手はすぐにはできません。広大な敷地を持つアメリカやオーストラリアとは違います。そして、世界中たとえばフランスもイタリアも「農業国」です。大型化してできる限界も日本の場合いはあります。何よりも、この美しい日本の景観は何で生まれているのでしょうか。外国からの観光客は何に魅力を感じて旅をしてくれるのでしょうか。そんなことを思いながらの40年でした。
『これからは、生産だけで食べていけない時代がくる!』と思い農村女性たちとヨーロッパへ”グリーンツーリズム”の勉強に13年通い学んできました。いまではあたり前のような「農家民泊・農家レストラン」。そこに女性の活躍の場があります。
女性たちには底力があります。「命を育む」という意味がよくわかります。今回のテーマである「六次産業化」は生産、加工、販売すべて完結いたします。地域に根ざしたやり方で、勢いを失いつつある・・・と言われた時代から、新たな「農業のあり方」を考えはじめ行動に起こしています。
食を取り巻く状況は確実に変化しています。ファーマーズマーケットでの食堂経営など、六次産業化は日本全国で大きなうねりになってきました。大量に生産し、市場に流す、一過性のイベントに頼るのではなく、新たなムーブメントが生まれてきました。
地域の食材を生かした加工品や料理を生み出すことで、地域内に人と人のつながりが生まれ雇用や起業を促進するレストランやカフェが生まれます。そこに都会の人が訪れ、生産者と消費者をつなぐ・・・そのような役割に「女性の活躍」が大きいのです。


ご紹介した地元、山口県周防大島のジャム屋さんです。
この周防大島は民俗学者、宮本常一のふるさと。私も何度か資料館にはお邪魔しております。
最初にこのジャム屋さんを知ったのは、地元の方からではなく東京でした。「知っている?山口の島で作っているジャム、フレッシュですご~く美味しいのよ」という話でした。私は毎朝、ヨーグルトにジャムは欠かせません。気になってある時訪ねました。
正直言ってジャムは日本全国のどの農村でもよく作られています。果実を栽培する地域では、誰もが真っ先に思いつくのがジャムです。イチゴの産地、りんごの産地、桃、梨、ぶどう・・・果実の産地に行けば必ずジャムを作っています。
「周防大島のジャム」はどこが違い、都会の人も興味をおぼえるのか。
松嶋匡史さんと奥さんの智明さん。ご主人は京都出身の元サラリーマン。奥さんの故郷での開業は新鮮な果物が入手しやすいということで始めたそうです。新婚旅行でパリに行き、たまたまジャム専門店に入ったとき、作り方、売り方が違っていたそうです。
高齢化率日本一の島に現れたジャム屋さん。ここまでくるのは大変なご苦労があったと拝察いたします。ジャムの主原料は、島特産のミカンを中心に契約農家から買い入れること。契約農家は52軒にのぼり、かつては加工用ミカンでは1キロ、10円ほどしかならなかったのが、ジャムづくりに適した果実を栽培してもらい、キロ100円で買いとるとのこと。お店で試食もできます。パンにつけて食べる焼きジャム。季節の新鮮なジャム。年間120種類。生産量は10万個。店頭で半分売り、ネット販売が2割、卸やパン店への販売が3割。広島のパン屋さんとのコラボ。パテシエの雇用。
「こだわったジャムにはブランド価値がある。お客さんもこだわりのもの作りに価値を感じて買ってくださる」とおっしゃいます。均一化され、どこにでもある物ではなく「つくり手も買い手も喜ぶ」大切なことだと思います。
トークセッションでは、それぞれのゲストの方の事例発表を伺い、地域に根ざしたすばらしい活動をなさっておられました。それを地域の豊かさにどう繋げていくのか・・・大変興味があります。
六次産業化については国が支援し、各自治体で積極的に推進されています。現実的にはまだまだです。販売先の開拓、メニュー開発など六次産業化には問題が山積しています。やはり「無理のない等身大」のところから進み、ひたむきに、愛情をもって、そして消費者のニーズをしっかりリサーチする経営努力も大切でしょう。
ご一緒した方々は何よりも、ご自分の暮らす故郷を愛しておられます。
山口にはまだまだ眠っている宝が山のようにあると感じました。
『輝く農山漁村の女性たち』に参加させていただき、会場の皆さまとご一緒に日本の未来・山口の未来について考えました。次回伺うときには「新たな宝」を教えてくださいね。
皆さま、貴重なときをありがとうございました。

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