『須田菁華展~受け継がれる用の美』

『須田菁華展~受け継がれる用の美』のご案内です。
箱根「やまぼうし」で念願の展覧会を開催いたします。
9月23日(金)~29日(木)まで。
旅は最良の師や友を私に与えてくれます。
自分の体に合った水、空気、風、土、
そして人との出逢い。
それを探すのが旅のような気がします。
旅先で求めたものによって旅先の見え方が違います。
どのくらい前のことでしょうか。
山代温泉の須田先生の工房をお訪ねしたのは。
日本家屋のその佇まいは温かで優しさに包まれていました。
そして、笑顔で出迎えてくださった須田先生。
作品一点一点が手の中に包みこまれてしまう・・・。
そんな作品に魅了され、我が家の食器棚には須田コーナーがあります。
使い勝手が良く、どんな料理にもあう、まさに「用の美」です。
23日は須田先生も私も一日中会場におります。
会期中は私はできる限りそれらの器とともに居たい・・・と思っております。
皆さまのお越しをお待ちいたしております。
詳しくはHPをご覧ください。
http://www.mies-living.jp/events/2011/sudaseikaten.html

つなみ

文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」(放送は日曜10時半~11時)
お客さまに、ジャーナリストの森健さんをお迎えいたしました。
現在、「文藝春秋・臨時増刊号」として発売されている一冊の本。
タイトルは「つなみ」
森健さんは1968年、東京のお生まれ。
早稲田大学法学部に在学中からライターの活動をはじめられ、卒業後は「文藝春秋」、「週刊文春」などの媒体で多くのルポルタージュ記事を随筆されてきました。
今年おきた東日本大震災に関しては早くから取材をはじめられ、現在は森さんが企画・取材・構成された子供たちの作文集「つなみ」が発売中です。
これは、森さんが宮城県の石巻市、気仙沼市、岩手県の釜石市、陸前高田市などを訪れ、地震と津波の被害にあった子供たちに作文、あるいは絵を書いてもらい、一冊にまとめたものです。
私はこの本を電車の中で読み始めました。
涙が止まりませんでした。
そして、「子供に辛い思い、いやな記憶を思い出させたのではないか・・・」
との心配もいたしました。
でも違っていました。
子供たち一人ひとりが、真正面から震災や津波に向き合っているのです。ある意味、子供たちのほうが大人たちよりも「心が強い」(立ち直ろうとしている)部分が感じとれました。
番組ではその作文を寺島アナウンサーが紹介してくださいます。
三陸海岸は、明治29年や昭和8年にも大津波に襲われています。ご本を拝見すると、年長者の知恵(津波の予知)で助かった子供たちも多かったことがわかります。
本書は、活字もありますが、原稿用紙をそのまま撮影しているページもあります。その鉛筆の質感から子供たちの息づかいが伝わってきます。
森さんはおっしゃいます
「多くの子供たちが感謝しているのですよ、お世話になった多くの方々に」
家族を失っても元気に遊んでいる子もいます。
元気を装っている部分もあるでしょう。
でも、子供たちには「未来」があるのが救いです。
そして楽しいことを発見するのが子供たち。
この子供たちに私たち大人は何ができるでしょうか。
「つなみ」手にとってください。
そして放送をお聴きください。(10月2日放送)

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C.W.ニコルx浜美枝 『森を語る』

作家のC・W・ニコルさんが「箱根やまぼうし」で森を語ってくださいます。
私とのトーク、そしてDVDでは「アファンの森」(ケルト語で”風が通るところ”)の現在の様子が観られます。

ニコルさんは25年前に荒れた森を再生させるために長野の黒姫に移り住み、自らの手で森づくりをはじめました。
当日の様子は私のもつラジオ番組「浜美枝のいつかあなたと」でも収録させて頂きます。(文化放送・日曜10時半~11時)

お伺いしたい話はいっぱいあります。
「森」の再生に向けてどんな思いがあったのか。
そしてその森は動物や人間に何をもたらしてくれたか。
現代の日本社会の「山」に行政はどのような取り組みをしているか。
(海外との比較)
ニコルさんが17歳まで暮らした英国、ウエールズ。
人間が子供の時期に自然とふれあうことの大切さ。
それは一生の記憶に残るのか。
現在の日本の子供に何をしてあげるべきか。
日本は今年、大震災という未曾有の事態に襲われた。
今後どのような精神性をもって暮らしていくべきか。
など等。
日本国籍を取得し、心から日本を愛しているニコルさんから見て日本人の暮らし方がどのように映っているのか。
もう30年近く友人としてお付き合いさせていただいて、彼ほど真摯に自然と向き合っている人は少ないように思います。
今回の災害で被災した子供たちを「アファンの森」に招いてもおられます。
自然に触れ「心開く」子供たちも多いとききます。
当日はトークとDVD・・・そして食事をご一緒しながら語り合いたいと思います。
開催日は2011年10月2日(日)15:30開場です。
詳しくはHPでご覧ください。
皆さまと共に「語り」あいましょう!
http://www.mies-living.jp/events/2011/afan.html

男も更年期で老化する

文化放送 「浜 美枝のいつかあなたと」(日曜10時半~11時)
お客様に、精神科医の和田秀樹さんにお越しいただきました。
和田秀樹さんは1960年、大阪のお生まれ。
東京大学医学部を卒業後、東京大学付属病院の勤務などを経て現在「和田秀樹こころと体のクリニック」の院長をされています。
高齢者のメンタルをケアする「老年精神医学」の専門家として長年研究をされ、現在「更年期」に関する著書『男も更年期で老化する (小学館101新書)』が小学館から発売中です。
正直言って女性の私には「男の更年期」はまったくわかりません。しかし、御著書を拝読すると、「これはむしろ女性もきちんと認識しておくべき」だと思いました。パートナーや仕事場での上司、そして男性自身も。「更年期」という言葉は医学用語として、現在、かなり浸透していますが、それは女性に使われる場合がほとんどです。
和田先生は番組の中で
☆男性も「更年期」に要注意!「更年期の過ごし方」がその後の暮らし方を左右されると仰います。
男性ホルモンの減少
セロトニンなどの体内物質の減少
前頭葉の萎縮(考え、感情の老化)
様々な現象がでてくるそうです。もちろん個人差は大きいです。
番組では、
心がけたい食事
硬直化しがちな感情のコントロール
性のありかた

など率直かつ専門的に語っていただきました。
やはり、お互い男女とも精神的には、「自由」でいつまでも若々しくありたいですね。
詳しくは番組をお聴きいただき、本をお読みください。
本の中には《男性更年期》度チェック・シートも載っています。
(放送9月18日)


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残暑お見舞い申し上げます

皆さまはお盆休みはどのように過ごされたでしょうか。
帰省なさった方もいらしたでしょう。
私はどこにも行かず箱根の我が家で過ごしました。
毎朝の山歩きと、荷物の整理をしました。
心と頭の整理が、夜の音楽だとすれば、身体の調整を担っているのは、私の場合、毎朝の山歩きです。ひと晩眠って、前日の疲れがすっきり解消されるのが理想ですが、年を重ねるにつれ、身体がすっきりと目覚める朝ばかりではなくなってきます。
疲れを持ち越してしまう朝があります。でも、山歩きをしているうちに、前日から持ち越した身体のこりや疲れが、不思議なくらいとれていきます。お気に入りの木には、触って「おはよう!」と声をかけ、絶景ポイントでストレッチやスクワットをやって・・・歩いているうちに、心からよけいな澱みたいなものが剥がれ落ち、やがて心も体も活性化してくるのがわかります。
そして屋根裏部屋の片付け。
『必要なものだけを身の回りに』との思いで5年前のリフォームを機に、家を改めて見回したら、子どもたちの部屋はほとんど昔のままだし、袖を通すことのなくなった古いセーターやシャツなどの洋服、小物などがいつのまにかたまっていました。
小さいころの私は長屋暮らしで、余計なものなんて何ひとつありませんでした。生ゴミは裏に穴をほって埋め、使い終わったカレンダーは小さく切ってメモ帳代わりに。鉛筆は持てなくなるまで使いました。物の寿命がつきるまで、使い切る暮らしでした。そうした暮らし方が身についていたので、「捨てる」という行為が、乱暴に思えてなりませんでした。
しかし、子どもたちも巣立ち、静かな暮らしになったというのに、使わなくなったものを抱えていていいものか・・・、60代後半、心身が安定している今こそがチャンス。
2度目の片付けが屋根裏部屋でした。
「わ~ぁ、10代の終わりにギリシャに行った時の写真」
「これはカンヌ映画祭の時」などパネルの数々。
インドに行った時に買った民芸品などまるでタイムスリップしたよう。
子どもたちに手伝ってもらっての整理です。
67歳になり、時は過ぎ行くのだとしみじみ感じます。
思い出は胸の中に。新しい自分に出会うためにも、必要なものだけを身の回りに、そんな思いでの屋根裏部屋の整理をした夏休みでした。

近畿大学・若狭でのフィールドワーク

近畿大学総合社会学部の客員教授として昨年から授業を受け持っています。
前期の担当が私で、後期はイーデス・ハンソンさんです。
「インターンシップ IV」は講義とフィールドワークです。
「暮らしの足元が問われる時代」です。
3月11日から5ヶ月目を迎えました。
東日本大震災は、悲しみとともに、いつもは穏やかに見える自然に獰猛な牙や爪が隠されていること、制御していたと思いこんでいた原発が暴走を始めた時の人間の無力さなど、私達に大きな課題をつきつけました。
私は学生の皆さんに「現場を歩く大切さ」を実感してほしい・・・と思って授業を進めてきました。 頭だけ働かせるのではなく、自ら手足を動かし、全身で生きる喜び、充実感を味わってほしいのです。
理性だけを優先させ、機能性、効率性だけを重視するキカイのような生き方ではなく、感性を高め、美しいもの、美味しいもの、心地よいものに幸せと喜びを感じ取れる生き方をしてほしのです。
「生活革命の時代」を迎えました。
今年も若狭の我が家での2泊3日のフィールドワークをいたしました。
私自身、農村を歩くなかで、そこで抱えている問題を知りました。
若狭の田んぼで10年間米作りも続けました。
そんな体験の中から、IT(情報技術)時代の今日、客観的かつ理論的な視点も欠かせませんが、それだけでは、臨場感や緊張感、あるいは問題の背後に流れる人々の思いなど、大切なものが漏れてしまいかねないと思っています。
学生達が「何を感じたか」感想文をお読みください。
読んだ感想をお聞かせいただけたら幸せです。
そして、この頃思うことは、『政治を司る人たち』には、おおいに現場に足を運んでいただきたいということです。”同じ目線の高さ”に立ち、共に問題と向き合ってほしいと切望します。

波多瑠衣子
この3日間は、本当に自分にとって大きな時間でした。元々、自然や体を動かすことが大好きな私には、ぜいたくすぎました。こんな貴重な体験ができたのも、多くの人のバックアップがあってこそで、いろいろなところを暑いのにもかかわらず、つきっきりで案内してくださった松井さん、アトリエに私たちを入らせて下さった渡辺先生など、たくさんの人の支えによって私たちの旅が出来たと思います。
そして、2日目の夜に地元の農家の人と話せたおかげで、「やまぼうしを近大農園にしよう」というすばらしい案も出ました。私たちの農業をしたいという思いを浜さんが聞いてくださり、自分のやりたかったことへのひとつのステップを踏めたような気がしました。
本当にたくさんの人々に恵まれたこの旅は、この夏の大きな思い出となりました。
久保佑馬
今回のインターンシップの事に関して、自分が感じたこと。それは、「自分のやりたい事」です。大自然にかこまれたこの土地で、本当に農業に携わりたいと思いました。牛のふんのにおいはきょうれつだったし、田舎の暑さを感じました。しかし、ひぐらしやその他大勢の生物の鳴き声がここちよいBGMになり、居心地やすい空間に2日間もいられたことを誇りに思います。現地の農家の松井さんと話したり画家の渡辺さんの話を聞いたりして都会と田舎の違いが、本当に身に染みました。都会じゃ味わえない話、経験、先生の絵の色づかい、全てが本当に自分の中で心に残る経験になりました。このインターンでつちかったことを、一社会人になった時に、少しでも役立つようにこれから大学生活もあと少しですが過ごしていきたいと思います。この旅行を通じて一番心に残っていることはBBQでの松井さんの息子さんとの会話です。自分の考えが正しいわけじゃないが、自分の考え方も一つの考え方なんだと思い、少し安心しました。浜さんと話していた、若狭のやまぼうしでの「近大農園」の一期生として、ずっとこれがつづいていけるように、少しでも役立てるように勉強を続けて生きたいと思いました。
青山昌也
今回のフィールドワークを通じて農業がいかに今後の日本の社会に大切かという事が身近に感じとれる事が出来たが、反対に、いろいろな話を聞いているうちに、現在は若い人がとても少なくなっており、相次いで農業や畜産業が閉鎖されているという現状や、人と人とのつながりのおかげで、集落が守られてきているのだということも分かり、とても良い経験になりました。そして、今後、私達2回目のフィールドワークメンバーを中心に近大農園をどのように進めていけば良いかを考えなければいけないと思っています。
濱田美保子
今回のこのフィールドワークを通して、一番感じたことは、農家のかたたちは、みんなそれぞれ自分のやりかたを工夫しながら農業をしているということです。個人個人は自己流で農作物をつくり、経営のしかたも、つくるものも多様ですが、みんな常に向上心をもってとりくんでいると思いました。自分の努力度が一番目に見えるのが農業だと思うので、意識が高い人が多いと思いました。人と人とのつながりもきっかけがないとなかなか生まれてこないと思うのですが、協力なしにはやっていけない農家では一番深められるものだと思いました。
行田光毅
8月8日~10日にかけて、福井県の大飯町でインターンシップを行った。いざ大飯町についてみると、大自然が広がっていた。やまぼうしも昔ならではの作りで、風情があった。体験学習は大変勉強になった。渡辺淳先生のお話に、畜産農業やきのこの栽培、炭作りをなさっている方々の苦労話など聞くことができた。この体験は、自分の将来の夢に結びつくのではないだろうかと思った。
松井さんにも大変お世話になり、2日目のBBQの時には、若い方の農業に関する話も聞けた。この2泊3日のインターンシップで、自分の視野を広げることができ、本当に参加してよかったと心から思った。
小森健太
やまぼうしにやってきて最初に感じたのは、本当に自然が多いところだなということでした。また、若州一滴文庫を見学した際、作りの趣きはモチロンのこと渡辺先生の指導等に対する考え方、「道具と場を与えているだけ」ということがとても深い言葉のように思いました。
酪農家や野菜農家などは、以前の小せがれネットワークでみたように後継者不足があるようであり、問題点をみてとることができました。
今回のことにより人と人との関わりの大切さとその時代の流れによる薄れというのを改めて知り、当たり前と思っていることこそが、もう一度考え直すべきことであると思いました。
フィールドワークを通して感じたこと
後藤大輝
今回の若さのフィールドワークを通して、若狭の文化や、農業の楽しさ、つらさ、難しさを感じとることができました。
まわりに見えるのはきれいな川と緑の美しい山、そして広い田んぼにはえる稲ばかりで、同じ日本とは思えませんでした。
2泊3日でけっこう時間があるからゆったりできると思っていましたが、たくさんの場所を訪れたのですぐに時が過ぎていき、もっともっとここを知りたい、農業のことを知りたいと思いました。バーベキューのときも農家の人にたくさんの貴重なお話を聴くことができ、とても参考になりました。この貴重な経験を今後の人生に生かしていきたいと思います。
宮田朝衣
今回のフィールドワークはとても勉強になり、楽しくて、だけどくたくたになる程疲れました。教室で黒板に向かって農業や地域の事を学んでも、それは形だけのものであって、それもとてもいいことなのですが、実際に体験するのとでは全く違うなと感じました。
それはいい意味でもありしんどい面もありました。あんなに気持ちのいい風も壮大な滝も田んぼの美しさも味わえるのは実際の現場だけです。しかし、農業の大変さや、若者の少なさを味わえるのも現場だけです。この貴重な経験を必ずこれからは自分の糧にしていくつもりです。
荒木靖彦
僕は今回のフィールドワークをすごく楽しみにしていました。期待通り、自然がいっぱい、というよりほぼ自然しかないようなところで、とても気持ちの良いところでした。
いろんなところに行って、いろんな体験をしました。この体験の素晴らしさを他の人に伝えたいです。しかし自分の撮った写真を見ても、その時の感情とか、写真の外の景色とか、その場の空気は感じられません。このインターンシップでは「現場を歩くことの大切さ」を学びましたが、それさえも現場を歩いて初めて理解することができました。このフィールドワークで、今までの講義のまとめをすることができたと僕は思っています。何より楽しかったです。だからこの思い出は忘れません。学んだことも忘れません。このインターンシップに参加して本当に良かったです。きっとまたこのメンバーでやまぼうしに来ます。
花立智司
二回目のインターンシップですが、去年とはまた違う楽しみや学びを味わえました。松井さんや渡辺さんなど、たくさんの方々と再会でき、農業の話や油絵の話などをたくさん聞き、一緒にお話をして、交流を深めました。特にうれしかった事は、名前を覚えていてくれた事です。
今回は受講生ではなく、つきそいという形で参加しましたが、受講生達を見ると、去年のインターンシップを思い出し、何を学んだか、何を話したかなど、いろいろなことを思い出し、そして今回のインターンシップでは、どんな事を経験したのか、また経験した事をこの先どう生かすかを思い出したり考えたりしたい。

湿生花園は巨大な寄せ植えガーデニング

私の住んでるいる箱根は午前中から蜩が鳴き、虫のすだく声に夏の終わりを感じます。
先日、早朝からの原稿書きもひと段落したので「そうだわ、夏の花を見にいこう」と思いたち、仙石原の「湿生花園」に行ってまいりました。

山の花や植物を見にいらっしゃるのは以前は殆ど女性でした。でもこの頃は中高年のご夫婦が多くなりました。楽しそうに花と一緒に写真を撮ったり、俳句を読んだり、スケッチをしたり、素敵です。
湿生花園は、仙石原地区に位置します。
この仙石原は、江戸時代に「千石原」とか「千穀原」と呼ばれていました。
古文書によると、慶長十六年(1661年)には五名の村人が二町歩余りの土地を耕していて「耕せば、千石はとれる」ということが地名の由来だそうです。今、この地に立つと、昔の人々の苦難がどんなものだったか偲ばれます。
山に囲まれた仙石原は、二万年前は湖の底だったそうです。
川や湖沼など水湿地に生息している日本の植物や、草原や林、高山植物、めずらしい外国の山草も含めて多様な植物が四季折々に茂り、花を咲かせ私はここにくるとえもいわれぬ「至福の時間」を体験できます。

今、ガーデニングが盛んです。この湿生花園全体が巨大な「寄せ植え」だと思ってください。 サギソウ、カワラナデシコ、ミズキンバイ、オミナエシ、ヒオウギ、ウバユリ、ナツズイセンなどなど夏の花がいっぱい。いつ来ても、植物の多様な生命に感動してしまいます。
花や植物のにぎわいに鳥や虫、それからイタチやタヌキやかやねずみなどが棲み、園内に飛来し、まあ、にぎやかに鳴き合います。
箱根に住んでよかったなあ、と、しみじみ思うひとときでした。
植物とふれあって帰る道すがら、もう気持ちが癒されているのを感じました。

聞香の会

先週末、箱根「やまぼうし」で「お香の会」があり私も初めて参加いたしました。
かねてより「お香」には興味があったのですが、なかなかチャンスがなかったので今回、楽しみに参加いたしました。

第一部は聞香(もんこう)の会。
伝統的な香道では、香りは嗅ぐとは言わず「聞く」というのだそうです。
そこからして「難しいのかな・・・」と思いつつ椅子に座りました。
埼玉、東京からもお越しくださり参加者は7名。
渡辺先生は分かりやすく「香」の成り立ちからお話しくださいました。
西洋のアロマセラピーの研究は進んでいる一方で、東洋の香りに関する調査は盛んではなく、古代文明の時代からの「香り」をもっと皆さんに知ってもらいたいと渡辺さんは仰います。

香炉の灰作り(灰手前)から始まりますが、これがなかなか美しくは作ることができません。灰をかきあけ、押さえ、呼吸を整えます。
香木は全て天然。
伽羅から始まり沈香、香十徳、白檀はティモール島周辺が原産地。インドやインドネシアでも多く産出されていましたが、現在は少なく貴重品になっているそうです。栂(つが)、安息香(私はこの香りが一番好きです)のバニラのような甘い香りは呼吸系に薬効があり、タイ、ベトナム、マレーシア、ジャワ島から産出されます。
20種類くらいの香木から3種類の香木を聞かせていただきました。
「嗅覚がきく人は健康なのですよ、ほら鼻がきくって言うでしょ、つまりそれは自己防衛なのです。」
テーブルと椅子での会なのでリラックスして「香りを聞く」ことができました。
香りと自分がひとつになれるか・・・。
興味深かったのが、それぞれの香木の持つ柔らかな香りが沈静作用、安定作用、頭痛の緩和など様々な効能があるからでしょうか、30分くらい聞いていると精神が落ち着き、心が満たされてきます。
そう、幸せな気分になってくるのです、不思議と。
室町時代に生まれた「香道」。
ひとりひとり感じ方が違うそうです。
参加者全員で「香・満ちました」と言って第1部は終了。
昼食は湘南エリアの地野菜をふんだんに使ったヘルシーで美味しいフレンチのランチボックス。

第二部は匂い袋と塗香(ずこう)づくり。
僧侶は法要の前に、修行僧は修行に入る前に、塗香を口に含み、手や身体に塗って、煩悩、汚れ、邪気を除き心身を清めたそうです。一般の人が読経や写経をする前にもよく使われるそうです。
先生が「浜さんはどんな香りがお好きですか?」と仰られたので「ちょっとラブリーで優しい香りがすきです」と申し上げました。
先生おすすめのブレンドと自分の好きな香りをブレンドして出来上がり。
私は白檀、安息香と丁子を少々。
先生いわく「成熟した大人の女性の香り・・・です」と。
手の平に塗ったらやわらかな香りに心が休まります。
匂い袋にそっと入れ、旅の最中、ひとり夜、音楽でも聴きながら香りを楽しみましょう。
蜩が鳴き、風がそよそよと部屋をぬけ心地良い一日でした。
渡辺えり代先生、ご一緒した皆さま、ありがとうございました。
また秋には「やまぼうし」で講座が開催されます。
ご興味のある方はHPでご覧ください。

『日本の花火』

文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」(日曜10時半~11時)
お客さまに花火写真家の小野里公成(おのざときみなり)さんをお迎えしました。
小野里さんは1957年、東京のお生まれ。
カメラマン、デザイナーとして早くから活躍をされてきましたが、花火の魅力に魅せられ、1992年に写真集「花火賛歌」発表。以来、毎年、数十回にわたって花火大会の撮影を続けられています。

とにかく「美しい」のです。
小野里さんはおっしゃいます。
「花火と対話しながらシャッターをきっています」と。
事前に打ち上げられる花火を下調べし、プログラムなどで順序を調査。夜の撮影に午前中からスタンバイし、万全を期してもその通りにはいかない場合もあるとか。
鉄道ファンが全国を旅するように「花火おたく」の世界もあり、花火を追っかけ旅する人もかなりいるそうです。
おススメの花火大会も伺いました。
競技会系は大曲、土浦。
新潟の長岡(川)、柏崎(海)、片貝(山)。
などそれぞれのロケーションで花火もまったく違って見えるそうです。
片貝の場合は神社への奉納が目的。
土地の雰囲気で音をふくめ微妙な違いが楽しめます。
今年は、三月の大震災の影響が「花火業界」にも及んでいますが江戸時代から続く「隅田川の花火大会」(川開き)は慰霊や厄払いの意味を込めて始まりました。今年は8月27日(土)午後7時5分から開かれます。
以前にテレビの生放送の中継で打ち上げを真下から見上げたことがあります。やはり、花火は風や匂い、そして音も楽しみたいですね。そして、「日本の職人の技・魂」をしっかり見たいものです。
小野里さんの主宰するウェブサイトに「日本の花火 (ちくま新書)」があります。
こちらには美しい花火の写真もUPされています。
ぜひご覧ください。

楽しいお話、放送は8月14日です。
お楽しみに!

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金沢への旅

「NHK金沢放送局」の番組出演のため金沢に行ってきました。
昨年放送した「ためしてガッテン 今夜解禁!加賀百万石 涼感超うま新メニュー」を見ながら、その時の料理を担当した老舗料亭「つば甚」の料理長・川村浩司さんとご一緒でした。
新メニューは「夏おでん」
金沢市はおでん屋さんの数が人口あたり日本一だそうです。
知りませんでした。
石川県は食材の宝庫。
ご当地料理といえば「加賀野菜」がかかせません。
「夏おでん」にも加賀野菜がたっぷり使われていました。
私は金沢に行くとまず朝一番で近江町市場へ向かいます。

野菜や魚、もうもう・・美味しいのです。
収録当日の朝も行きました。
なんとばったり料理長と出会いました。
「毎朝くるんですよ」とのこと。
料理人はご自分の目でしっかり確かめ食材を買われるのですね。
私が買った野菜は「加賀太きゅうり」、「打木赤皮甘栗かぼちゃ」、そして大好きな「金時草」。そうそう「ヘタ紫なす」も今が旬です。
「加賀きゅうり」は大きいもので長さ30センチほどもあり、果肉は厚いのですが、やわらかく、食味、日持ちも良く薄くスライスして酢のものや煮物に使います。夏は特にむくみやだるさをとる効果があります。
皆さん、「いしり」ってご存知ですか?これは絶品の調味料。
イカや魚を原料とした「魚醤油」で、能登半島では刺身や煮物の隠し味として使われています。
私も昔、真冬の能登・輪島で鍋料理を食べたときにこの「いしり(いしる)」に出会い、真イカの内臓を使ったたまらない美味しさに感激して、以来、我が家の冷蔵庫には必ず入っています。
今回、川村料理長から新しい食べ方を教えていただきました。
「カルパッチョに一滴たらすと美味しいですよ」
「とうもろこしやカブに一筆さっと塗って焼くとこれも美味しいです」と。
「いしり」には動脈硬化を防いだり、疲労を回復させるアミノ酸が普通の醤油の二倍以上あるそうです。
もちろん「夏おでん」の隠し味にも使われています。
こうして伝統的な製法が今に伝えられているって素晴らしいですね。
今回は収録があるので魚はいつも行く魚屋さんで覗くだけにしました。
のどぐろや甘エビ、メギスも美味しそうでした。

この頃思うのです。
私は太平洋岸と日本海側が体に必要な気がするのです。
豊かな日本の食文化があるから私たちは生きていけるのですね。
素敵な金沢の旅でした。