イギリスの旅・前編

はちみつ色の村を訪ねて

イギリスの中でも、もっとも美しい村といわれるコッツウォルズの村を訪ねる旅をしてきました。

前日まで雨・霧がかかるイギリス的な天候だったそうですが、私が訪れた日から一週間は、嘘のように雲ひとつない晴天に恵まれました。真夏日のような日が続き、街行く人々は女性はノースリーブにサンダル、大きな帽子をかぶり太陽を浴びていました。

”はちみつ色”に輝くライムストーンの家並みのなんと美しいこと。

今回の滞在はヒースロー空港から真っ直ぐコッツウォルズへ。ロンドンから西方へ約2時間のドライブで街に着きます。娘と一緒の旅です。北と南160kmの間を村々が点在しています。村は鉄道とバスで結ばれています。

1日目は、コッツウォルズのアンティークフェアへ。娘は鎌倉で小さなアンティークショップを営んでおり(Floral Antiques)、毎年この時期に買い付けで訪れているので、私は便乗です。

街のフェアは他と違い、プロの為、というより、アンティークの好きな方々がバスケットを持ち近隣の人が多いそうで、おしゃれをして週末を楽しんでいるようです。

2日目からはイギリスに住む息子家族とこの街で合流、孫たちの学校のお休みにあわせての滞在です。

コッツウォルズはかつて羊毛で富を成した人々が暮した村。いつしか毛織物は化繊に取って変わりましたが、その後はロンドンから2時間ほどにあるこの村は、富裕層の別荘地として都会のセンスも入り、美しい新たなコッツウォルズへと変貌を遂げていきます。

そしてその流れも「アーツ&クラフト運動」によるところが大きいです。美術やクラフトの盛んな土地、特に北コッツウォルズは19世紀のデザイナーやアーティスト達が活躍しました。そして、「アーツ&クラフト運動」に賛同する芸術家や工芸家がこの地に移住して保存活動も行われるようになりました。

その中心物的人物が1870年代活躍した作家でありデザイナーでもある「ウィリアム・モリス」です。

粗悪品の大量生産に抗し手工芸の復興運動を主導したモリス。主要産業だった毛織物が衰退し、廃墟と化した村もありましたが、その美しさと貴重さを世に伝えたのもモリスでした。古い建築物がむやみに改修されることに反対し建物は古いままの姿で残され室内を美しい空間にと仕上げています。

現在のコッツウォルズの姿は、モリスの思想とその賛同者たちの活動なしにはなかった思います。

コッツウォルズの語源は「羊の丘」という意味。丘で羊たちがのどかに草を食んでいる風景が広がっています。この郷愁あふれる風景にふれたくて世界中から人々が訪れます。

私達も中心の街に近い家を借りほとんどが自炊でした、(少し長い旅の時は自炊がいいですね。息子たちが炊飯器を持参し、日本からお米を持っていきスーパーで野菜や果物、牛乳などを買いました。イギリスも物価高ですが野菜類は比較的に安定していて、サーモンは美味しく日本より安め。ソーセージも美味しいです。イギリスはオーガニックの食材が手に入りやすく美味です)

お嫁さんと孫娘がルバーブとオレンジのパウンドケーキや私の大好きなスコーンを作り、息子と男の子の孫はバーベキュー。お米を入れたハンバーグは美味でした。

最初に訪れた村
モリスが賞賛した「バイブリー村」。

ウィリアム・モリスが19世紀の中ごろ「イギリスで一番美しい村」と称したことで良く知られている村です。石造りの家はまさに「はちみつ色」。この建物は毛織物の工房として使用されていました。まわりの水辺とともに保存され、その美しさに魅せられ、世界中から人々が訪れます。

白鳥や水鳥が遊ぶコルン川沿いに石造りの家々が緑に囲まれ牛ものんびりしています。
美しい風景です、ほんとうに。

バーフォード村
古くから宿場町として栄えたコッツウオルズの玄関口として栄えた街で、駅馬車の走っていた往時の風景を思い浮かべます。 ”坂の町”として道路の両サイドにはおしゃれなカフェが並び、私たちはピンク色のカフェで伝統的な手づくりのお菓子をいただきました。

楽しみにしていたショップ
「デイルスフォード・オーガニック」

この20年で英国オーガニック市場は大きく進化しているとのことです。「地球のリズムに合わせた調和のとれた暮らしを!」「人も地球も持続可能に」の理念のもとオーガニック農場で作られた食品、ワインなど酒類にお惣菜や野菜、生活用品など等。デザインもおしゃれです。私は、お惣菜のキッシュやお土産の紅茶や布素材のエコバッグなど・・ジャムも美味しかったです。

自分の住む町にこんなショップがあったら毎日通ってしまいそう、アブナイ・アブナイ。

ヒドコード・マナーガーデン
「庭で部屋づくりに精を出した奇人」と呼ばれたローレンス・ジョンストンが40年にわたって造った庭。1948年に彼が寄贈しナショナルトラストの管理下になり植栽で仕切られた小さなガーデンは28区画。

人見知りの主人は、庭を小さな小部屋に仕切り楽しんでいたとのこと。周っているとそれぞれの景色が異なり、四季折々の植物に出逢え嬉しくなります。イギリス人のガーデン好きが感じられ場所です。

ケルムスコット・マナー
いよいよコッツオルズ最後の日は町の中心から車で30分程のケルムスコット・マナーへ。とても楽しみにしていた場所です。

1600年頃、農場として建築され1871年以降は作家でありデザイナーでもある「ウィリアム・モリスとその家族」の隠れ家的別荘となり、モリスが創作の場としてこの家を愛し、愛でた家です。

村の外れの駐車場からは10分ほど村の道を歩いて家に向かいます(歩けない人には6人乗りの小さな電気自動車で)

美的なアプローチです。途中には豚が逃げ出さないように低い石の塀があり、その石の美しいこと。当時モリスが歩いた小路。美しい花々。風が心地よく、モリスはこの村からイマジネーションを得ていたことでしょう。この村に暮らし、いかに自然を愛し、愛でていたことが良く分かります。

一部屋、一部屋の装飾、壁紙、ベットカバー、カーテン、どれもモリスがデザインしただけではなく自ら織ったタペストリーなど、手づくりの温もり、美しい暮らしを体感できることができる家です。

帰りにセント・エドワーズ教会に。 
異世界の扉

教会はとても古く、サクソン時代から建っていたといわれています。
ホビットの扉は北の入り口にあり、イチイの木が両脇を囲む小さな扉は、教会の扉というよりホビット族(空想の世界の妖精)の家の扉のようです。イギリスらしくて素敵!教会内のステンドグラスも数世紀にわたる増改築により様々な様式が築かれたのでしょう。光が射しこみ美しいです。

この日で息子家族と別れ、コッツウオルズの東の玄関口といわれる街に戻り、穏やかな坂道に石造りと木骨組の家々が混在する村のB&Bに泊りました。私はイギリスの田舎のB&Bが好きです。そこには人の暮らしが見え家人との交流が持てます。

そこの主は、かつてアンティーク関係の仕事をしていたそうです。築500年の家の内装を40年かけて変え、増築し、庭は自ら手入れし自然の見事なイングリッシュガーデンへと生まれ変わりました。

入口でまごついていると、前の建物の老婦人が声をかけてくださり、庭を見せてくださったり「しばらくしたら戻るからここで待っていれば」と。ご近所のコミニュケーションも良さそう。何だか嬉しくなってしまいました。

ご主人の案内でまず美しい庭を案内してもらい部屋に入ると”まぁ~ラブリー”と思わずつぶやきました。

私も箱根の家の古民家をリフォームして住んでいます。壊されていくのが切なく「何とか再生を」と願い日本全国の古民家を訪ね12軒分の家をまとめました。

住み始めてやがて50年になります。参考にしたのは、ブラック&ホワイト。イギリスの田舎家を参考に何度も訪ねました。朝食はご主人自ら作り、宿泊客はアメリカからのカップルが二組。ドクターの彼は日本が大好きで何度も訪ねているとのこと。ご主人は偶然日本への旅から戻ってきたばかりのようです。旅先でのこのようなひと時にこころ安らぎ思い出となります。一泊でしたが素敵な滞在になりました。

息子家族とは別れ、私たちはバーフォード村からリンカーンへと向かいます。
続きは次回に。