どんぐり

森を歩くことは人生を歩むことに似ていると、その日もしみじみ思ったことでした。以前、軽井沢の野鳥の森で馬場さんという森の先生にお会いしました。野鳥の名前や習性や木々の話……。うかがいながら歩く森は、生き生きと生きる森。

なかでもドングリの話は、本当に感動的でした。ドングリの実って、ほら、先がつんととんがって、まあるく台座にのっかっていますね。あの形にはワケがあるんですって。馬場さんのお話によると、こうです。

「ドングリが地面におちるときが種の旅立ちです。どう落ちるかで、種の生存、繁栄が約束されます。もしドングリがただまんまるというのでは、溝やくぼみにはまって枯れてしまう。まんまるでないことで、ドングリは遠くへ転がっていけるのです。親木の下にいたのでは、葉が繁ってくると成長できません。できるだけ遠くへ飛んでいくことで、ドングリは成長できるのです」

すごい話だと思いませんか。私には四人の子どもがおり我が子も形さまざま。孫もおります。さぁ~どこに飛んでいくのでしょうか。

ドングリが落ちるのは秋ですが、私の子供の頃は近くの雑木林にたくさんドングリが落ちていました。拾うと実は形や大きさはバラバラ。どのぐらいの種類があるのでしょうね。ドングリとはブナ科の果実の俗称で、コナラやクヌギなど国内に22種が存在するそうです。

さまざまな動物に食べられるドングリ。先日新聞を読んでいたらこんな記事が載っていました。「ネズミなどの動物は冬の間の食料にしようとドングリを別の場所に運び、他の動物に見つからないように土中に埋める。春になり、食べのこされたドングリはその場で芽生える。動物によって遠くに運ばれることは、分布を広げやすくなったりすることにつながる」とありました。

気候変動の変化でしょうか。森林の管理が行き届いていないせいでしょうか。最近ニュースなどで市街地にクマの出没が相次いでいるそうです。ネズミやクマにとってもドングリは冬の前の重要なエサです。日本は本当に森林の国だな~と旅していると思います。国土の7割が山野です。ただし、どんな山野かとなると……疑問です。

手入れされずに放置されている山で木々が”泣いている”とある山男に聞いたことがあります。森が啓示している日本列島。ネズミやクマと共存して暮せる環境を作りたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です