新春を迎えた箱根

箱根の山に新春が訪れました。      

人日の こころ放てば山ありぬ
               長谷川双魚

今日、一月七日は ”人日(じんじつ)の日” 。
年が明けて、初めて訪れる節句の日です。

七草粥を炊いて豊作や無病息災、そして長寿を祈る日でもあります。正月のお酒やごちそうで少し疲れた胃を休ませる食べ物が、この七草粥です。

台所で母がトントントンと七草を叩いていた素朴で懐かしい音。子供の頃、1月7日は七草粥。11日はお供え餅を切ってお汁粉を食べる鏡開き。15日はあずき粥。

生活のなかで1月の催事を自然に学んでいきました。

七草粥を食べながら、セリ、ナヅナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロと気が付いたら暗記していたのも、この頃でした。

今年もまた、コロナ禍のお正月でしたね。昨年に引き続き、帰省するかどうか悩んだ方も多かったことでしょう。幼い頃に育った家に戻り、一同がお互いの無事と健康を確認し合うお正月。

そんな当たり前のことが制約を受ける年の初めは、やはり辛いものです。わが家のお正月もずいぶん変わりました。

子供たちがまだ幼かった頃、おせちを作り終えるのを待ちかねたように除夜の鐘の音が聞こえてきました。それを耳にして年越しそばを食べてから、箱根神社へ参りました。

そして、2日と3日は箱根駅伝の応援が定番でした。我が家から歩いて数分の所が芦ノ湖のゴール・スタート地点ですから、家族揃って応援に出かけたものです。今は子供たちもそれぞれ家庭を持ち、自分たち流のお正月を迎えているようです。

今の私はといえば、元旦の、それも夜が明ける前に箱根神社に詣で、旧年の感謝と新年のお願いをするのです。そして、翌日からの2日間は箱根町町民にとっては”お年玉”ともいえる駅伝応援に参加するのが”恒例”でした。

もちろん、昨年、今年とラジオ、テレビを通しての声援でしたが、密を避けるためには仕方のない我慢ですね。

ただ、とても幸せなことがまだあります。毎年の晩秋から初冬にかけて、この町ならではの素晴らしい体験ができるのです。凛とした空気の中、まだ周囲が闇に包まれていても、何人もの選手たちが黙々と練習を続けているのです。

私は杉の木立を歩いていますが、少し上の道からは忍び寄るような足音が聞こえてきます。”タッタッタッタ”それは静かで力強く、神秘的ですらあります。あの時間、あの場でなければ決して味わえない、独特の感覚なのです。

その音を耳にしながら、「どうか怪我なく箱根路を、そして青春を駆け抜けてください!」と祈るのです。

箱根の山に新春が訪れました。 2022年のスタートです。
どうか今年こそ仲間や家族、そしてたくさんの方々が集い、 存分に笑い、おしゃべりができますように。

「新春を迎えた箱根」への1件のフィードバック

  1. 朝日新聞の自伝連載記事、読んでおりました。
    大したことは書いていませんが、余った年賀状で葉書を朝日新聞文化部宛に送りますので、良かったら読んでみてください。

山口達人(かつと) へ返信する コメントをキャンセル

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