日本民藝館

駒場の日本民藝館が改修されその記念に『日本民藝館改修記念 名品展 1』が6月27日まで開かれています。先日私も行ってまいりました。創設されて80年になります。この度本館と西館の建物が、2021年3月に東京都指定有形文化財に指定されました。

本館は「民芸」運動を主導した思想家・柳宗悦(1889~1961)自らが設計したそうです。一万七千点もの貴重な収集品が収められています。

私はこの民藝館には10代の頃から通っていました。「民藝」もよく分からずに「わぁ~素敵、いいな~」そして少しづつ学んできました。

今回の改修は柳が建てた当時の内装にできるだけ近づけることだったそうです。大展示室は今まで板張りだった床を大谷石にし、壁も静岡県産の葛布(くずふ)に張り替えられ、柳が創設したころの内装に近づけたそうです。右側の壁全体はガラスのケースになっています。以前よりもすっきりして作品も見やすくなっていると感じました。

「民芸」誌の記念号の中で館長の深澤直人さんは「柳はものと空間の関係を大切にしながらこの建物をデザインしたことがよく理解できました。その場の持つ空気(雰囲気)と「もの」との相互の関わりを深く探求していたに違いありません。」と語っておられます。

正面の広くゆったりとした階段を上ると、今回は映像で「日本民藝館物語」が上映されています。そして階段を見下ろす場所に置かれた長い椅子。私は何十回もこの椅子に座り、ぼぉ~と、ただただ独りその空気に浸ってきました。

まず2階から、目的めがけて進みます。木喰上人の彫刻、木喰明満 江戸時代(1801年)の自刻像の微笑みに心が和みます。その部屋には円空をはじめ庶民信仰の神仏像が見られます。「美の法門」「初期大津絵」「朝鮮とその藝術」も興味深く見ました。

柳宗悦によって朝鮮時代に造られた木工品・金工品・石工品・絵画など1920年代から30年代にかけて朝鮮半島で収集されたものです。私はこの民藝館で見たことがきっかけでソウル近郊に小さな部屋を2年間借りて韓国の民藝を知る旅を重ねました。

そして1階に下り念願の「琉球の富」の部屋に入りました。琉球王国時代(19世紀)の衣装の数々。有名な古紅型(びんがた)など。

5月15日は沖縄が日本復帰から49年を迎えました。私の沖縄の友人は「インフラはかなり整備されましたが根幹の問題は解決されていないことが多いと思います」と語ります。私は50年前、復帰一年前に沖縄にまいりました。

「沖縄こそが民藝のふるさと」と柳宗悦が語っていたからです。緑濃く、青い海の美しい自然豊かな南国の風土から生まれた「紅型」や「芭蕉布」「琉球絣」など、柳宗悦たちが沖縄で出逢い戦火をまぬがれた作品の数々は、こうして民藝館で大切に保存されているのですね。

10代の頃に「民藝とは何か」「手仕事の日本」などの本に出会い、民衆的工芸、つまり名もない人々の暮らしに美があると説いた柳宗悦の考え、思想を追い続けて今日まできた私。

その温かな眼差しは、文化の多様性を問い直す現代社会にあってとても大切なことだと改めてこの展覧会で気づかされました。

コロナ禍での改修工事、現場はどれほど大変なことでしたでしょう。職人さんはじめ関係者の方々に御礼申し上げます。

館内の感染症予防対策はしっかりなされています。

皆さんもやはり心に潤いを求めてでしょうか、作品を食い入るように見つめておられました。

静謐なときが流れていました。

(一部撮影可)

日本民藝館公式サイト
https://mingeikan.or.jp/

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