もう一度見たい物語

私、映画館には3ヶ月以上行っておりません。
普通ですと、少なくとも年に20本は観ますので、まさに”自粛”の日々ですね。

最近スクリーンを見つめたのは1月31日、渋谷でした。「男と女~人生最良の日々~」。クロード・ルルーシュ監督も主演のアヌーク・エーメさんも、とても素敵でした。半世紀以上前の大ヒット作の単なるリメークではありませんでした。時を経て、変わるものと変わらないもの。それらが穏やかに、時には淡いユーモアを交えて描かれていました。いい映画でした。以前、このブログで紹介させていただきましたね。

しかしそれ以降、わたしの映画館巡りは中断しているのです。
特にこの一ヶ月は”家篭もり”状態が続いています。

そんな中、映画を観たいという願いを何とか実現しようと、「私の、もう一度観たい映画」を思いつきました。これまで観た中で是非とも見直したい映画を、DVDで改めてじっくり鑑賞する。今のように時間があればこそ可能な、ある意味では贅沢な”企画”です。

まず取り寄せたのが、あの「カサブランカ」でした。ハンフリー・ボガートとイングリット・バーグマンが登場する、誰もが知る名画です。パリとモロッコのカサブランカを舞台に繰り広げられるこのロマンスは「君の瞳に乾杯!」という不朽の名訳や「As time goes by」の心に染みわたる主題曲なども加わり、映画史に残るものとなりました。

私が初めて観たのはおそらく30代の前半、もう40年以上も前のことだったと思います。場所は銀座の「名画座」でした。モノクロ画面に釘付けとなり、光と影の深みに吸い込まれていったことを、今も記憶しています。その後も何度か映画館に通い、文字通りの”リピーター”になっていきました。

何年か後になって私がモロッコへの短いひとり旅を経験したのも、どうしてもカサブランカの街をこの目で見てみたい!という一念からだったのです。そしてDVDによる、「自宅映画館」のトップバッターとなったわけです。

今回は歴史の年表を横に置きました。なぜなら、「カサブランカ」が制作・公開されたのは1942年(昭和17年)、私の生まれる前の年でした。その頃、欧州各地だけではなく、南太平洋では日米などが激戦を繰り広げていたのですね。

ラブストーリーの装いで、マイケル・カーティス監督は何を伝えたかったのでしょう。多国籍の人々のつながりを通じて、祖国への想いと人としての生き方を訴えたかったのかもしれません。「カサブランカ」がアカデミー賞の3部門を受賞したのは昭和19年春のことでした。そして、日本での公開は終戦の翌年、昭和21年だったそうです。

70年以上たっても色褪せない作品とはどのようなものか?一時停止が可能なDVDの画面を前に、心ときめく幾つものシーンを一つ一つ見つめ直しました。

自粛の期間は、まだしばらくは続きそうです。私の「もう一度観たい映画」のリストは、これから何本くらい増えるのでしょうか?外に出たい!と叫びたい反面、実は楽しみな気分も同居しているのです。

「もう一度見たい物語」への2件のフィードバック

  1. 浜様 
     新緑の箱根を想像しながら、メールをしています。
    自粛の中、お家で映画鑑賞何よりですね。
     浜さんの映画紹介のお陰で、友人と色々堪能する事が
    出来ました。有難うございます。
     カサブランカは、勿論、「旅情」「愛情物語」「海の上のピアニスト」「Follow-me」「ある日どこかで」「追憶」等々。
     「若草物語」は今週BSで放映されるので、楽しみにしています。まだまだ沢山ありますが、小学5年生の時、父に連れられて、「征服されざれる人々」を観たのが、洋画の最初でしょうか。1948年の作品でセシル・B・デビル監督で、音楽はビクターヤングだったのですね。私もDVD借りたくなりました。映画の話は尽きません。
     大変な時ですが、何とか、心も元気で過ごしたいと願っています。
    浜さんのブログに元気を頂き、感謝しています。
     どうぞ、ご自愛しつつ過ごされますように。
                             郁代

    1. 郁代さん

      ブログへの投稿ありがとうございます。
      お変わりなくお過ごしのご様子、何よりでございます。

      今週は”カサブランカ”をご紹介いたしましたが、そうですね、名画はたくさんございますよね。「旅情」も、そして次には
      「終着駅」を観ようかと思っております。10代の終わりにローマをひとり旅し、テルミニ駅のホームに立ち、ジェニファー
      ジョーンズを思い出したことなど、映画を通して青春時代の自分を見て懐かしさがこみあげてまいりますね。

      「若草物語」も観たいです。

      自粛を余儀なくされる日々、「この時期だからできること」を見つけて有意義にすごしたいですね。私は「茨木のり子さん」の詩集をもう一度読み直しております。大好きな方です。

      どうぞご自愛くださいませ。

      浜 美枝

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