イギリスへの旅

初夏のもっとも美しい季節、花々が咲き、風が爽やかで、でも突然の雨に樹木が喜び・・・そんな頃の旅は久しぶりです。

今回の旅の目的のひとつはイギリスに住む息子家族に会うのがひとつ。孫たちはそれぞれ小学校、幼稚園にもずいぶんと慣れて元気いっぱいでホッとしました。

家族の住む街はロンドンから列車で約3時間のトットネスという町です。人口は約8000人。街の中を河が流れ、石だたみの道、シックな建物で緑豊かな美しい小さな街です。

私は箱根と同じように早朝のウォーキングをしました。川沿いを歩き、小さなパン屋さんで焼きたてのパンを買ったり、歩いて7,8分のところのショッピング通りではウィンドウショッピングを楽しんだりしました。朝の町には朝の匂い、生活の様子がよく分かり、私は好きです。

10時過ぎると町は活気づき、以前来たときに見つけた古い建築のカフェでティータイム。素朴なスコーンと紅茶。時にはひとりで。そして、ここもお気に入りのベジタリアンが通うビュッフェ式のお店でランチ。おかわり自由でたっぷり野菜料理がいただけます。7ポンド(980円位)で大満足です。

いつもイギリスで思うことは、日本は湿度の問題もありオーガニック栽培はむずかしい部分もありますが、ヨーロッパでは品揃えがとても豊富なことです。パッケージなども洗練されていて、日本も普通にこの位になるといいな~と思います。

映画の撮影でロンドンに8ヶ月くらい滞在しましたが、私はやっぱり田舎が好き。イギリスではカントリーサイドを訪れるとその風景の美しさに心奪われます。

目障りな看板や電柱もほとんどなく見渡すかぎりのなだらかな丘陵地帯。可愛らしい家々。しかし、そんなカントリーサイドの景観美は初めから存在していたわけではありません。

「ナショナルトラスト」(環境保護運動)が大きな役割を担っています。市民の手により守られてきた歴史があり、英国の美しい自然や貴重な歴史的建造物を市民が自ら寄付や寄贈によって保存してきたのです。

聞くところによると、現在ナショナルトラストの会員は約520万人。イギリスの人口が6600万人。11人に1人が会員というわけです(子供も含む)。会費はたとえば4人家族で年間120ポンド(18,000円程)で、全国に500以上ナショナルトラストはあります。

入場料、ショップやレストランの売り上げなど収益は約5億ポンド(750億)にもなるようです。スタッフは約12,000人。ボランティア61,000人。メンバーズシップの収益は1億6000万ポンド(250億)であとは寄付だそうです。

私も息子家族と一緒に一日のんびり過ごしました。イギリス人は歩くのがとても好きなようです。カフェのランチもスープとパンかサンドイッチくらい。どちらかとゆうとイギリスの庶民の生活は質素で堅実です。

なぜこれほどまでにナショナルトラストがイギリス国民に受け入れられ、社会的なうねりになって人々の支持を受けているのでしょうか。「ピーターラビット」の物語りの舞台が当時のまま残っていますし、英国の人々の憧れの地、コッツヴォルズ丘陵も、湖水地方と並んで、その多くがナショナルトラストの管理です。

この理念は人々の郷土愛。自らの国土を美しいまま次世代に残してゆく・・・・そのような思いが強くあるように感じます。

現在イギリスは多くの問題を抱え、国が揺らいでいます。

しかし、人々の暮らしは堅実であまりお金をかけずに自然の中でのピクニックや散策などとても自然体です。国土を愛する心を強く持っています。

どうか、良い方向に進み、歴史や文化を守りつつ若者が未来を託せるようなそんな国になってほしい・・・と旅をしていて切に願いました。

日本に暮す私たちも「美しい日本」を次世代に手渡すために今、何をなすべきか・・・学ばなければならないことがあるかも知れません。

来週は、もうひとつの私の旅の目的「バーナードリーチさん」の工房跡をお訪ねしたのでご報告いたしますね。

「イギリスへの旅」への2件のフィードバック

  1. My apologies for writing in English. I hope you have a happy trip to St Ives. You may know that Kenneth Quick one of the potters who worked for Leach died in Japan when visiting in 1963. He was there to train with Hamada-san. This is not a sad story as he left some lovely work.
    (Incidentally, my wife is Japanese, and we have a home in Marugame.)

    1. Thank you for posting a comment on my post.
      It was a really nice trip in this time of a year.
      St. Ives had always been on my list because it was the birthplace for the Mingei movement for me. And now all the memory will stay in my heart.
      I wish cultural exchange between UK and Japan will continue.

      Best regards,
      Mie Hama

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