お二人に ぞっこんです!

私は今、二人の男性に惚れ込んでいます。こんなことは、もちろん初めてです。

お一人は坂本長利さん。今年の1月11日、このブログに書かせていただきました。坂本さんは1時間半近いお芝居を、たった一人で演じきる舞台俳優です。

土佐に住む盲目の馬喰が、自分の半生を悔悟と誇りを込めて振り返る「土佐源氏」。1967年の初演から半世紀以上、国内外で公演を積み重ねてきました。

今年の1月は東京の高円寺、そして平成もカウントダウンの先月29日には、川崎の新百合ヶ丘で1210回目の舞台がありました。両方とも、私は”追っかけ”ました。

何という舞台!坂本さんが寸分の隙もなく、時間と空間を従えていました。盲目の元馬喰は、言葉だけではもどかしい、微妙な心のざわめきや迷いを、手足の指先までも動員して演じていました。円熟味などという表現を、軽々と飛び越えていました。

ちなみに坂本さん、この10月には90歳を迎えられます。「百歳までやりますよ!」と。とても小柄な方が、舞台では何故あれだけ凛として、大きくみえるのでしょう。

新百合ヶ丘の会場を出るとき、私の背筋がピンと伸びました。私、”追っかけ”はこれからも続けます!

https://kyowado.jp/tosagenji_2011.html

二人目は、ジャン=リュック・ゴダールさん。

言わずと知れたフランスの天才映画監督で、「ヌーヴェル・ヴァーグ」の旗手。私が「勝手にしやがれ」や「気狂いピエロ」に初めてお目にかかったのは、もう50年以上も前のことになります。

旋風、いえ台風。若かった私など、彼の強烈なイメージやメッセージに訳も分からず煽られ続けました。

その昔、指揮者のカラヤンを「かっこよすぎるカラヤン」と表現した詩人がいましたが、私にとっては「かっこよすぎるゴダール」でした。初の長編作品「勝手にしやがれ」では監督と出演者を兼ねていましたね。

そのゴダールさんの4年ぶりの最新作が公開されるというので、取るものもとりあえず行ってまいりました。

題名は「イメージの本」。衰えない感性というものが世の中には存在するのですね。この映画の特徴は「コラージュ」。”糊付け”と訳すそうです。様々な映画や絵や写真、そして文章などを引用してつなぎ合わせる。90分近く、そのセンスと感覚にまたまた振り回されました。ちなみに映画の字幕では、「イメージ」を「映像」と訳していました。

ゴダールさん、今年の12月には89歳を迎えるとのこと、これからも作品を作り続ける!と話しているそうです。

こうして、二人の素敵なおじいちゃまに惚れてしまった私。今よく、「人生100歳時代」などと言われますが、それは単なる目標ではないですよね。

「そこまでに何をやりたいのか?プロセスが大事だよ!頑張りなさい」と叱咤された思いで、平成の終わりの街を大股でシャンと歩きました。

映画公式サイト
http://jlg.jp/

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