奇想の系譜展~江戸絵画ミラクルワールド

上野公園は満開に開花した桜を愛でる人々で賑わっておりますが、私がこの展覧会を観にいったのは1週間ほど前。5分咲きでしたが、それでも賑わっておりました。

会場の「東京都美術館」は午後1時でもかなりの人がチケット売り場に並んでいます。「江戸アヴァンギャルド一挙集結!」とあります。美術史家・辻惟雄(1932年~)が1970年に著した「奇想の系譜」。その著作に基づいた江戸時代の「奇想の絵画」展の決定版といわれています。

今もっとも人気のある「伊藤若沖」。そして狩野派きっての知性派といわれる狩野山雪、歌川国芳など8名の作品が一堂に会しました。

いまや超人気の若冲。会場に入ると、いきなり巨大な白象と黒鯨に対面する。お~~と「象と鯨図屏風」に出くわします。のけぞるほどの迫力、ユルキャラのようにデフォルメされた白象、鯨は潮を吹く背中しか見えません。この絵画を観たかったのです。

しかし、これまで美術展に行き、目的の絵画に出会うまでのウォーミングアップが楽しみなのですが、今回はいきなりです。自由で斬新な発想、まさに江戸のアヴァンギャルド!

因襲の殻をやぶり描かれていますが、一方初期の作品「紫陽花双鶏図」は観察しつくした緻密な鶏と紫陽花には若き頃の若冲の才能を感じられます。(米国・ブライスコレクション所蔵)

そして、目的のもう一枚。狩野山雪の「梅花遊禽図襖」(ばいかゆうきんずふすま)は花鳥画と見えますが主役は花でも鳥でもなく、画面中央をもだえるように枝が描かれているのです。

上に伸びようとしている枝が押さえつけられでも、小枝は真っ直ぐに伸び・・・この非現実的な世界に魅了されます。こうして江戸時代に”アヴァンギャルド”が存在し、現代の私たちの目の前に現れてくれる・・・本物に出逢う、体験し、感じ、感動する。もうすぐ終わってしまいますが4月7日までです。

上野公園・東京都美術館にて開催中。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_kisounokeifu.html

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