歴史上の人物が、五・七・五・七・七の三十一文字に思いをこめてこの世に残した「辞世のうた」(ワニブックス「PLUS」新書)をお書きになったのは歌人の田中章義さんです。
涙が出てしまうようなうた、背中を押してくれるようなうた、ユーモアのあるうた、様々です。
田中さんは、1970年、静岡県のお生まれ。慶応義塾大学1年生の時、角川短歌賞を受賞し、その後、短歌にとどまらず、ラジオ、テレビの出演、絵本、紀行文、人物ルポルタージュの執筆など幅広く活躍し、現在、國學院大學で教鞭をとっておられます。
現代社会ではインターネット、SNSなど、ましてや遺言状は書いても”辞世のうた”を詠む・・・などありませんよね。31文字の中に先人たちの生き方や考え方を学びます。
ラジオ「浜美枝のいつかあなたと」にお招きし、そもそも私など”短歌を詠む”なんてことはできませんし、日本人なら誰でもが知る人々が、人生の最後に何を語ろうとしているのかをお聞きしました。
まずは教科書で学ぶもの・・・と思っていた私。旅などしていて”あ~、短歌が詠めたらこの風景・光景、この感動をどのように詠むのかしら・・・”とたびたび思います。
「最初は好きなうたの真似で一文字自分の感じた言葉を当てはめ、それでもいいのですよ!音楽のリズムのように、歌うように詠んでもいいのですよ」と田中さんはおっしゃいます。
が、なかなか簡単ではありません。ご本の中で田中さんはおっしゃいます。
『辞世のうたと向き合うことは、今という時間の尊さと対峙することに他ならない』と。
そうですよね、あの時これをしておけば、と後悔しても始まらないのが人生・・・とも。分かっていてもなかなかできないものです。そこで、今回は田中さんのご本の中から先人の詠んだうたを一部ご紹介いたしますね。
高杉晋作
「おもしろきこともなき世をおもしろくすみなすものは心なりけり」
豊臣秀吉
「露と落ち露と消えにし我が身かな難破の事も夢のまた夢」
源義経
「後の世もまた後の世も廻りあへ染む紫の雲の上まで」
千利休
「提(ひっさぐ)るわが得具足の一つ 太刀今この時ぞ天に抛(なげうつ)」
新島八重
「若松のわが古里に来てみればさきたつものはなみだなりけり」
金田一京助
「道のべに咲くやこの花花にだにえにしなくしてわが逢ふべしや」
牧野富太郎
「朝夕に草木を吾の友とせば心さびしき折ふしもなし」
市川海老蔵(三代目)
「極楽と歌舞の太鼓に明烏 今より西の芝居へぞ行く」
近松門左衛門
「それぞ辞世さるほどにさてもその後に残る桜が花し匂はば」
石川啄木
「今日もまた胸に痛みあり。死ぬならば、ふるさとに行きて死なむと思ふ。」
和泉式部
「生くべくも思ほえぬかな別れにし人の心ぞ命なりける」
紫式部
「誰か世にながらへて見る書きとめし跡は消えせぬ形見なれども」
小林一茶
「ああままよ生きても亀の百分の一」
田中さんの「辞世のうた」はまだまだ興味深く、そして歴史背景、その詠んだ刻の心情などが綴られていて大変興味深いです。スタジオでのお話は、ユーモアをまじえ語ってくださいます。ぜひラジオもお聴きください。
文化放送 「浜 美枝のいつかあなたと」
3月3日
日曜10時半~11時放送
浜さん、早くも3月に突入しましたね。
私は春の時期が一番好きなので、非常に嬉しいことですが…。
浜さんもラジオ番組収録以外に、色々な場所を旅されていらっしゃるので、そうした話題も興味深いですが、今回のブログ記事のように、収録の際のエピソードもお聞かせいただけるのが楽しみでもあります。
また、こんなふうにラジオ番組にゲスト出演された方のエピソードや、収録の際のエピソードも色々とお聞かせくださいませ。
もちろん、浜さん自身が、あちこちの場所に出かけられた際のエピソードも色々とお聞かせいただけるのを楽しみにしております。
ちなみに、私は奈良県在住なのですが、またこちらの方にも足をお運びいただければ、奈良県民としては嬉しいです。
中村 有香
ハッスルレディーさん
お便りありがとうございました。
今朝の箱根の山は春雨がシトシトと降っております。
早咲きの桜を濡らす、”春の雨”・・・大地を潤してくれます。
毎週のブログは私の日記のようなもの、時々10年前などを振り返っております。
ラジオも20年目を迎えました。
いろいろな分野の方のお話が聴け、私のライフワークになりつつあります。
おひとりお一人の世界があり、関連した本を読み、スタジオにお迎えいたします。
これからもチャンスをみつけアップいたしますね。
何しろ、展覧会・映画・旅・そして、ラジオのゲスト・・・と皆さまにご紹介したいことがたくさんあるのです。
貴女は奈良在住ですね。
奈良には何度も伺いました。特に好きなのが”室生寺”です。
写真家の亡き土門拳さんの写真集に魅せられて、もう半世紀前のころでしょうか、始めてうかがったのは。
あの正面の階段にうっすらと雪が積もりそれはそれは美しくもう何度も何度も通っております。
伺うとあの写真を撮るのに、1ヶ月ほど、前の旅館に逗留なさったとか。ここ4年ほどご無沙汰いたしております。
今年行けるといいのですが。
その時には高野山にも。
日本の四季の美しさには心が癒されます。
海外からのお客さまも”日常の美”を求めておられる方が多いとか。
その美しさをいつまでも残したいですね。
どうぞお元気でお過ごしください。
浜 美枝