灯台

皆さまは「灯台」にどのようなイメージをおもちですか?
旅先で出会う「灯台」にはロマンチックなイメージ、また海の安全を守る灯台、いろいろですね。
そこで「灯台女子」を名乗る灯台大好きな女性の本に出会いました。灯台を愛してやまない女子が日本には大勢いらっしゃるのですね!
灯台はそそる」(光文社新書)をお書きになった不動まゆうさん。1977年のお生まれ。フリーペーパー「灯台どうだい」の編集発行人で、国立音楽大学を卒業し、楽器の資料館で学芸員を務める一方で、減少の一途をたどる灯台の魅力や文化的価値をメディアで訴え、100年後の海にも美しい灯台とレンズを残すことを目指し活動されています。
仕事の休みを利用し、日本列島はもちろん、フランスやイギリスにも出かけてその姿を写真に残されています。日本にも、灯台を守る「灯台守(とうだいもり)」がいらっしゃいましたよね。映画にもなりましたね。というわけで不動さんのご本を拝読すると灯台は今絶滅の危機にあることがわかります。
この10年で沿岸灯台の新設はわずか2基だそうです。GPSの台頭、省エネの流れ、この10年で30基の沿岸灯台が廃止、撤去されたそうです。合理的なことだけではなく、人々の心の灯りをともす灯台。残してほしいです。
私が一番好きな灯台はご本にもでていますが、石川県能登半島にある旧福浦灯台。現在は使われてはおらず、県指定の史跡になっているそうです。
福浦の港はこじんまりした漁港です。30年ほど前、かつて海洋ジャーナリストの小林則子さんの「リブ号」に乗り込み、北前船の航跡を追うという試みに参加しました。この福浦という港は、北前船全盛の頃に隆盛をきわめ、漁師を迎える女郎さんも大勢いたということです。漁港を見下ろす小高い丘に木造の灯台、建物は洋風建築の郵便局などが建ち風情ある漁港です。
さぁ~ここからなのです、私の好きな物語は。灯台の近くに、腰巻地蔵という可愛らしいお地蔵さんが立っています。漁師と女郎さんたちの間に恋愛が生まれてもおかしくありません。 船が出るという日、女は男を帰したくないという一心で、この小高い丘へ登り、自分の緋色の腰巻を力いっぱい海に向かって振りかざしたのでした。
海の神様も女の腰巻をみてジッとしていられず、荒れ狂うとのいわれがあるのです。海が荒れれば船は出られず、女はまた、好きな男とひ夜をすごせるというわけです。丘の上に立つお地蔵さんは、この地で腰巻をふった女たちの供養地蔵です。松林の中、ただ海からの風が吹きあげ、松林が風をはらんでうなりをあげるような冬の日。灯台は静かに佇んでいました。初めての福浦の灯台をみてから何度も訪ねました。時には女友達たちと一緒のこともありました。「私たちは、彼女たちのように男にすがって腰巻を振るような可愛げのある女はひとりもいないわね~」などと笑ったこともありました。灯台には”ドラマ”があります。
“今日も一人で海に立つ小さな守り人・・・・”その姿を見ると愛さずにはいられないという灯台女子。
その灯火を絶やすことがありませんように・・・と祈ります。
ラジオのゲストにお招きし貴重なお話を伺いました。
放送日11月19日
文化放送「浜 美枝のいつかあなたと」日曜10時半~11時


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