「蜂蜜と遠雷」

今週は東京でラジオの収録、大阪での講演と旅が続き、新幹線の中で至福の時が持てました。
そうなのです、この2週間あまり私にとって時間ができると読み続けていた本、恩田陸さんの「蜂蜜と遠雷」は第156回直木賞受賞作品です。
この作品についてのコメントは、私のつたない文章では到底表現することは不可能です。人生で始めて経験する感覚。生まれて初めての読書体験。ただただ感動するばかりです。
演奏シーンを文字が追いかけながら・・・頭の中には素晴らしい音楽が響きわたりその演奏に引き込まれてゆく・・・文字の中から音楽が響く・・・こんなことってあるのでしょうか。
舞台となるのは3年に一度開催される芳ヶ江国際ピアノコンクールが舞台です。世界の若手の登竜門として注目をされているコンクール。オーデションに参加するそれぞれの人物。そこにはドラマがあり、審査員たちが困惑するほどの演奏。小説ですから詳しく内容は書きません。
帯には『私はまだ、音楽の神様に愛されているのだろうか? ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描ききった青春群像小説』と書かれています。
ある新聞のインタビューに著者の恩田陸さんは答えておられます。
「日本人の耳は、虫の声や松籟、風やせせらぎなど、通常ノイズ(雑音、騒音)として処理されるものを音楽として聴いていると言われている。自然界の音から、某かの意味を読みとってきたとも言い換えられる。」
「言葉は、楽譜のようなものだ。ある人にとってその言葉が「意味のある」ものならば、必ずそこに音楽を聴くことできる。人は、文章を通して自分の頭の中に至上の音楽を鳴らすことができる。そのことは、読んでくれた皆さんが、実感してくれ、この賞をいただけたことで、ある程度証明できたのではないかと思う」と。
クラッシク音楽には詳しくない私。小説の中に出てくる曲目も半分は聴いたことがないのですが、知識がなくとも、知らなくとも、頭の中にはその音楽の素晴らしさが聴こえ、その風景がみえてくるのです。
寝る前には本を読み、CDを聴きながら一日が終わります。
いつもの椅子の横に読む本を2冊くらい置きながらが日常なのですが、この「蜂蜜と遠雷」は読み終わるのがもったいなくて、別の場所に置き大切に・・・大切に読んでおります。
あと20ページくらいで終わってしまいます。エンディングが待ちどうしいのですが、週末の楽しみにとっておきます。
この作品は構想から10年近くの歳月がかかったそうです。
恩田 陸さん”ありがとうございました”  
至福のときをいただきました。
そして、また旅に持参し、日本の風景の中で読み直したいと思います。

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