直木賞作家・荻原浩さん

今年7月「海の見える理髪店」で第155回直木賞を受賞された作家の荻原浩さんとラジオの収録と毎日新聞での対談で一日ご一緒させていただきました。
発売と同時に拝読した本。そして受賞なさったときの記者会見での雰囲気・・・自然体で作品そのままのお人柄に魅せられていました。とても緊張していたのですが、穏やかで優しいお人柄にさらにファンになってしまいました。
荻原さんは1956年、埼玉県生まれ。成城大学卒業後、コピーライターを経て、1997年「オロロ畑でつかまえて」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2005年「明日の記憶」で山本周五郎賞、山田風太郎賞受賞など、著書も数多くこの度の直木賞は初めてノミネートされたのが11年前で、今回、5度目のノミネートで受賞されました。
どんなお気持ちで、どこでその受賞を待たれていたのかをまず伺うと「編集者の方々と飲みながら待ちましたが、何度も受賞を逃しているので、落ちるのには慣れていて、その時には何と話そうか・・・と考えていました」と。その時にご自身の携帯電話に受賞の知らせがあったそうです。
「海の見える理髪店」は6つの短編小説からなり、どれも家族のことが描かれています。その中の表題作「海の見える理髪店」は、理髪店の店主ともう一人の主人公『僕』のものがたりです。
よく喋る店主からは昭和の庶民の歴史も垣間見え、店主から見る『僕』と、『僕』から見る店主の描写、海の見える風景をお客さんに見せるための心使いや二人の距離感が絶妙です。
この小説で描かれているのは世の中には、人に言えない何かや、様々な事情を抱えて生きている人がたくさんいると思います。
短編の中の『いつか来た道』では画家の母親に反発した娘が16年ぶりに実家に戻ってくるという物語です。世の中には、仲のいい親子もいれば確執のある親子もいます。様々なパターンがありますが、時間が解決してくれたり、和解に導いてくれることもあります。
ラジオでは「年月の流れ、歳月の持つ重み」などを伺いました。『遠くから来た手紙』では、すれ違いの夫から逃れるように実家でメールや古い手紙を読んで夫との関係を見直す・・・帯にはこのように書かれています。『誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に沁みる家族小説集』と。
読み終えて、「もっときちんと言葉で伝えておけばよかった」「後悔」「ささやかな幸せ」「家族であっても寂しさがある」「人って愛おしい」・・・「家族と暮した豊かな時間」などなど・・・心の深いところに、ともし火を感じました。
今回の収録は荻原さんで2本でした。
待望の「直木賞受賞第一作」『ストロベリーライフ』が話題になっています。「ストロベリーライフ」は毎日新聞の日曜版「日曜くらぶ」に連載されていました。
イチゴ農家を舞台にした長編小説で、家族、農業、そして人生の岐路などいろいろなことを考えさせられました。岐路に立った時、人はどんな決断をし、そして決断した人を周りがどうサポートするのか、これがテーマの一つになっています。
行動すること、動き出すことの大切さも感じました。迷っている人の背中を押す・・・それらが「ストロベリーライフ」に描かれています。
私たちは「農・食」のことをもっともっと知ることが大切です。
じっくり荻原さんのお話をラジオでお聴きください。
そして、毎日新聞での対談をお読みください。
毎日新聞10月29日(土)朝刊(予定)
文化放送 11月27日と12月4日 日曜10時半~11時
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