世界報道写真展2016 沈黙が語る瞬間

恵比寿にある東京都写真美術館に行ってまいりました。
JR恵比寿駅東口から動く通路を歩き、恵比寿ガーデンプレイスの中に東京都写真美術館(TOKYO PHOTOGRAPHIC ART MUSEUM)はあります。
そこには静かに”沈黙が語る瞬間”がモノクローム・カラーで展示されています。
「日常生活」「一般ニュース」「自然」「人々」「スポーツ」「長期取材」「現代社会の問題」「スポットニュース」それぞれの部門での出展です。
会場に一歩足を踏み入れると、直視できないほどの衝撃を受けたり、自然の部では伐採行為や農地への転用、山火事により森林が奪われ、オランウータンの生息環境は危機に瀕している写真には胸がしめつけられます。
そして、世界報道写真大賞「スポットニュースの部1位」は、オーストラリア人の一枚のモノクロ写真でした。
2015年8月28日、レスケ(ハンガリー南部)で撮影された写真の前では言葉を失います。ウオーレン・リチャードソンはセルビアとハンガリーの国境を越えようとするシリア難民の男性と幼い子どもを撮影しています。
有刺鉄線付きのフェンスが出来上がる前に、ハンガリー側へと渡ろうとするのですが、その赤ちゃんを手渡そうとする瞬間を捉えています。警備員に見つからないよう、フラッシュはたけません。月明かりをたよりに捉えた瞬間。男性が子どもを手渡す瞬間。見事な報道写真ですが、これが現実なのですね。涙が溢れてきました。
「長期取材」の部1位は写真家メアリー・F・カルバードの作品です。写真の横にはこのようなコメントが書かれていました。
「内なる戦い。米軍内では女性に対する性的暴行事件が頻発している。性的暴行について指揮官に訴えることは困難。もしくは無駄だと考える女性が多く、報告があった場合でも法廷にまで持ち込まれることはほとんどない。軍隊での性的トラウマ(MST)は、長期にわたり精神的な問題を引き起こす可能性がある。」
このように書かれています。
自殺を図った娘の写真をベッドに置き呆然と立ち尽くす父親の姿。
世界で今、何がおきているのか、真実はなんなのか・・・
会場には若い人たちが真剣に写真に見入っていました。
10月23日(日)まで
東京都写真美術館

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