久留米への旅

先日 西日本華道連盟、西日本新聞社、テレビ西日本様のお招きで久留米での講演に伺ってまいりました。
この頃のいつもの私のパターンなのですが、講演前はなるべく前日入りして、その街を散策させていただきます。今回は運よく「石橋美術館物語1956久留米からはじまる」の最終日に間に合いました。60年の石橋美術館としては幕を閉じ、新たに久留米市美術館として生まれ変わります。


石橋美術館はブリジストンの創業者・石橋正二郎が郷里久留米市に建設寄贈した美術館です。
最終日だからでしょうか、市民の方々でいっぱいでした。子供も鑑賞し楽しめるよう様々な工夫がされていて、東京の美術館とはまた異なる部分があり温かみを感じます。
ふるさとの画家・青木繁の「海の幸」や坂本繁二郎の「放牧三馬」、安井曾太郎の「りんご」、それにセザンヌ、黒田清輝、ピカソ、クロード・モネ、アンリー・ルソーなど等、素晴らしい作品を市民の方が熱心に見入っていました。
こうした芸術が生活の中に溶け込んでいることが良く分かります。絵画鑑賞の後、青木繁旧居向かいました。


青木繁が多感な少年期を過ごし、その芸術の才能を育んだふるさとの家。ここは「青木繁旧居保存会」のボランティアの皆さんの管理により運営されています。いかに地元の人たちに愛された画家であるかが良くわかります。
そして、会場の久留米シティプラザ ザ・グランドホールには会場いっぱいのお客さまが出迎えてくださいました。


伺うところによりますと、西日本華道連盟は昭和24年華道を通じて日本文化の交流と発展を目的として結成されたそうです。流派を超えての親睦団体で、韓国、台湾、モナコ、ハワイ、中国などとも交流し、活動を続けておられます。
日本の「食」もそうですが、世界を旅すると「日本文化」は憧れと尊敬を持って語られます。まず、大切なことはそれらの文化を私たちが深く知ることですね。
『明日を素敵に生きるには』がテーマでした。
会場の皆さんの笑顔がとても素敵です。
いろいろお話しをさせていただき、最後に私の大好きな中原淳一さんのお話をさせていただきました。今まで挿絵など絵画に夢中でしたが、60歳代になって展覧会で改めて、以前は気づかなかった中原先生の文章に素敵な人間哲学がありました。
『愛すること』  中原淳一
女性は愛情深い人間であって欲しいのです。朝食の支度をするのなら、その朝食を食べてくれる人の一人一人に愛情をこめて作って欲しいのです。窓を開けたら新鮮な空気を胸いっぱいに吸って、幸せを感じ、窓辺の植木鉢にも愛情をこめて水を注ぎたいし、掃除をするならそこに住む人はもちろん家具、柱、壁にも愛情をこめられる人であって欲しいのです。
世の中がどんなにめまぐるしくなっても、そんな悠長なことは言っていられないなんて言わないでください。生きている限り、愛情深い女性でいてください。そういうことを知っている女性が必要でなくなることは、ないはずです。
ファッションだけでなく、暮らし、そして生きること全般に美を追求されてきた中原先生の、心底、思うことがこの一文に現れているのだと思います。「それいゆ」や「ひまわり」は、まさに女性のありとあらゆる「暮らしの技術」を教えていることに気づきます。
「愛情深い女性でいてください」このフレーズが心に残ります。
同時代を生きてきた会場の皆さま、少し先輩の方、お若い方、とても素敵な出逢いをいただきました。
壇上を美しい花で飾ってくださった方々、心より御礼を申し上げます。またいつかお目にかかれますことを願っております。
ひとつだけ、心残りは名物の「久留米ラーメン」が食べられなかったことでしょうか・・・。

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