『孤独って素敵なこと』

講談社から本を出版させていただきました。
以前、朝日新聞の取材で、60代に入ってから身の丈にあう暮らしを求めてきたという話しをまとめていただきました。その記事のタイトルに、私がふとつぶやいた言葉「孤独って、素敵なこと」という言葉をつけてくださいました。そしてその記事を目に止められた講談社の編集の方が「本を書いてみませんか」と、私に声をかけてくださったのです。
孤独のありようも、年齢とともに変化します。
若い時代の孤独と、今感じる孤独は、ちょっと違っています。それは年齢を重ねるいうこと自体に、やはり寂しさと厳しさがつきまとっているからではないでしょうか。
体がこれまでのように動かなかったり、以前ならすぐに記憶して忘れることなどないはずのことでも、ふとした拍子に抜け落ちてしまったり・・・・・。
人生の先輩や親しい友人を見送ることも少しずつ増えてきました。今まで両手に抱えていたものを、年齢とともに少しずつ手放し、坂道を下りていく・・・おそらく、この年齢で向き合うのは、そうしたことも同時に思い起こさせるような、生命体としての変化であり、根源的な孤独なのでしょう。
私にとって、孤独はもはや友人のようなもの。
そして孤独の明るい面を、ゆったりと自覚できるようになりました。
 
 孤独だから自由でいられます。
 自分を知り、自らに優しくも厳しくもなることもできます。
 家族や友人をより深く愛し、孤独の先にこそ幸せと豊かさがあると感じます。
子供のころから竈の番をまかされ、中学卒業後バスの車掌になり、たまたま女優になり、「ここは自分のいる場所なのだろうかいていい場所なのだろうか・・・」と、ふと思い、箱根の芦ノ湖のそばに居を定め40年近くなります。
そんな自分自身を振り返ってみました。本の表紙の写真は篠山紀信さんが撮ってくださいました。同時代を呼吸してきた篠山さんと、この年齢で再会できたことも嬉しいことでした。
これからも自分自身を信じて、いくつになっても、今、人生が始まったという気持ちで、一日一日を大切に歩んでいきたいと思っております。
宜しければ書店でお手にとってみてください。
それから、7月4日発売の『週刊現代』でノンフィクション作家の石井妙子さんが箱根にお越しくださりインタビューをして記事にまとめてくださいました。8ページです。
先日「原節子の真実」を出版された素敵な方です。
これからの人生が楽しみになりました。

「『孤独って素敵なこと』」への4件のフィードバック

  1. 浜様同じ世代を生きてきてとっても共感します
    私自身半年前に主人に先立たれ、これからは己の人生を生きるんだと強く思います
    自身のために生きるこれからは許されるかなと
    限られた生、家族に迷惑をかけないよう健康に留意し好奇心を持ちながら感謝の日々を過ごしたいと思います
    浜様のこのぺ-ジいつも楽しみにしていますお体ご自愛ください

  2. nakasawayoshikoさん
    ブログへの投稿ありがとうございます。
    そうですか・・・ご主人さまとのお別れはどんなにかお寂しかったことでしょう。
    出逢えば必ず別れがありますものね。
    そしてひとりであることを受け入れれば、自分の輪郭が
    おのずとわかってきて、今日をどうやって幸せに生きるか、
    自分で考えることができますもの。
    人間、孤独だからこそ今日一日がありがたく感じられ、
    周りの人をより愛せるのではないでしょうか。
    nakasawayoshikoさん
    どうぞお元気で!
    お互いに自分の青い鳥をみつけましょうね。
    浜美枝

  3. 今ご本読み終わりました。
    何度も感動して涙が出たり、共感したりで生の感情をお伝え出来るブログを発見して喜んでいます。
    私も来年は70代に突入です。若いころは茶道や陶芸、水墨画などの趣味でしたが、今ではなぜか洋に走り、3年前からフラダンスに夢中です。
    私が口癖のように言っているのは「ステージでスポットライトを浴びて踊るのではなく、風に吹かれて、お日様の光をあびて、自然の中で、そして大切な人のために心を込めて踊りたい」ということです。
    浜さんのご本で「スポットライトの下の…」という言葉にもはっとしました。
    そして私も若いころ、バスのガイドをしていたんですよ。
    父親は三重県出身でしたので、今でも墓参に毎年三重県に行っています。伊勢神宮の森と素朴な建物にはいつも感動します。
    北軽井沢に別荘を作り夏の間はそこで暮らします。自然が素晴らしく、古民家を移築した茅葺の里も近いので、ぜひお遊びにいらしてください。

  4. 岸知子様
    投稿有難うございました。
    金曜日にオランダ・デルフトから戻りました。
    今回はフェルメールの世界にどっぷりと浸ってまいりました。
    ブログに写真も載せておりますのでご覧ください。
    本、お読み頂きありがとうございました。
    自分らしく生きる・・・ことの大切さを実感しているこの頃です。
    智子さんも伊勢神宮の森の中を歩かれるのですね。
    私も、毎年・・・とはいきませんけれど大事な森のひとつです。
    心が落ち着きますね。
    北軽井沢は本にも書いた私の大切なおば様(村田ユリさん)の
    お宅に伺うときには抜けていたところ、素敵ですね。
    どうぞお元気で!
    浜美枝

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