鹿児島で仕事があり終了後、一日休みをとり奄美大島の「田中一村美術館」へ行ってきました。鹿児島空港から約1時間で奄美へ到着。車で7,8分の奄美パークの一角に美術館はあります。
2001年にオープンしてから今回は4度目です。田中一村のことを知ったのはNHKの「日曜美術館」でした。その時の衝撃は今でもはっきりと覚えています。「これって日本画?」従来の日曜美術館で観る絵画とはまったく異なり、その画像からうけるあまりにも異端といってもよい画風に衝撃を受け、また感動を覚えました。『実物が観たい』そんな思いをかなえてくれたのが巡回展でした。昭和60年だったと記憶しております。福岡の岩田屋に日帰りで観に行きました。目の前にテレビで見た作品の数々。テレビで見たときとはまた違う静謐で亜熱帯の植物を描きながら、そこには一村の生き方、奄美での暮らしはストイックといってもいいほどの生活なのに、絵の中には人物は描かれていないのに人々の温もりが感じられる作風。ただただ涙がこぼれるほどの感動を昨日のことのように思い出します。
一村の過ごした奄美での19年の歳月。50歳という年を迎えての奄美行き。”なぜなのだろう”という疑問。奄美の地に深く身をまかせ、ガジュマロの大木、ビロウ樹、鳥や魚、亜熱帯の植生のもつエネルギー。日本画ではあるのにどこかモダン。すべてが驚きと感動の展覧会でした。
これほどの才能の持主がなぜ存命中に世に認められなかったことが不思議でなりませんでした。それからです、「田中一村」の追いかけを始める旅がはじまったのです。本、新聞、映画、売るための絵を描くことなく、誰ひとり看とることなく台所で食事の支度中に倒れその69歳の生涯を終えたのです。生計を立てるため大島紬の染色工として働き、朝、夕と散歩をしその自然を観察し、魚屋さんのご夫婦に鮮度の良い美しい色をした魚を描かせてもらったり・・・そこに一村の純粋で妥協を許さない厳しさ、自然を知り尽くした画家の目を感じることができます。
前回の奄美では終の棲家、倒れた家や一村が歩いたであろうと思われる山にかこまれた熱帯林の道。そこには「南国の明るさ」はなくむしろ静謐な空気を感じ、ただただ一村の存在を感じたくての旅でした。
1908年7月22日栃木生まれ1977年9月11日没。
千葉に暮らし、若きころからその才能はすでに確立されていたように思います。恵まれた家庭環境にはなく、若き日「米邨(べいそん)となのっていた時代」の襖絵を今回見ることができました。南画を描いた時代、東京美術学校(現・東京芸術大学)の同期には東山魁夷、橋本明治などがいました。でも中央画壇からはなれ南の島奄美へ。それはなぜ・・・
かつて読売新聞に「果たせぬ望みへの静かな諦めと一種の悟り」と書かれていました。
水辺の上に立つ美術館。
ひとり静かに思う存分独りじめできた一村の絵との出会い。
エネルギーがわいてきました。
奄美の湿気を含んだ風に見送られ帰路につきました。
日本至る所に、いっぱい素晴らしい所があることを伝えて頂ける
《金曜日》が楽しみです。
今日の、奄美大島の美術館
唯々南国のイメージしか持っていませんでしたが
心惹かれました。
是非訪れてみたいです。
今日も有難うございました。
☆のかけらさん
毎週ご覧いただきありがとうございます。
そうなのです、日本列島素晴らしいところが沢山ございますね。
奄美大島には羽田から格安チケットで直行便も出ております。
『田中一村』はぜひあの奄美でご覧いただきたいですが、遠いですよね。
私は伊藤若冲と同じくらい好きな画家です。
共通点もあり、その生き方に惹かれます。でも、こうして旅先での出会いは宝です。
そんな思いをお読みいただき嬉しいです。
浜美枝
浜様
今年もご活動始まり嬉しく拝見しました。
田中一村さん、初めて知りました。浜さんのブログを通して知る事は嬉しい事です。 私も実際に絵を観たくなりました。
昨日は北鎌倉で会食の後、円覚寺の大方丈で、金澤翔子さんの力強い書を見て来ました。いつもは混雑している北鎌倉も、とても静かでした。八幡宮迄歩きフローラルさんに寄り、娘さんと、松浦弥太郎さんの話をしたりして戻ってきました。
今年もお元気でご活躍される事を祈っています。
郁代
郁代さん
今年も1月末、あっという間に2月ですね。
庭の寒椿にうっすらと雪をかぶり風情がございます。
「田中一村」素晴らしいです。
チャンスがあったらご覧ください。
また巡回展があるといいですね。
冬の北鎌倉・・・素敵ですね。フローラルにもお寄りいただき
ありがとうございます。
この春に出版する本にかかりきりの毎日です。
今年も宜しくお願い申し上げます。
お風邪など召しませんよう、ご自愛くださいませ。
浜 美枝
初めて知る素晴らしい絵と田中一村という1人の人生。でも初めて見たとは思えない懐かしさを感じました。
いつか是非訪れたいと思います。
カイロより奄美に思いを馳せながら。
「田中一村」初めて知りました。
色彩が澄んでいますね。
もっと知りたくなりました。検索してみます。
いつも、何か新しいことを知るチャンスがあります。
ありがとうございます。
今度、帰国したら是非行ってみます。
Neferさん
カイロからのお便りありがとうございます。
いつか一度は行きたいところです。
「田中一村」ほんとうに素晴らしいです。
彼は奄美でようやくご自分の落ち着く
自然を見つけたのではないでしょうか。
私もですが、奄美の自然に抱かれていると
力がわいてきます。
そして穏やかな気持ちになれます。
それは奄美の人々の優しさにあるように思います。
旅、お気をつけて続けてくださいませ。
浜 美枝
さくらこさん
ブログへのコメントありがとうございます。
そうなのです・・・。
田中一村の絵は奄美の美しく澄んだ空気感
静謐な樹木、それらが絵の中から感じられ
観るものの心をとらえ、離しません。
いつかご覧になれるときがあるとよろしいですね。
海外にお出かけなのでしょうか。
お気をつけて。
浜 美枝