秘島図鑑

皆さまは「ひとう」というと温泉かな、という響きがございますでしょ。
今日のお話は「秘島」です。
私は青春時代、”島”にかぎりない興味と愛着をもって、旅を続けた時代がございます。遠い島は、鹿児島県のトカラ列島。何しろ50年ほど前にはたしか10日に1回、運行されている村営船のフェリーのみでした。今は週2回運行されている「フェリーとしま」があるそうですが。鹿児島を出港したフェリーは、口乃島、中ノ島、諏訪乃瀬、小宝島と向かいます。その小宝島では最後の小学生の卒業式があると聞き、「小宝島・子宝島」とのイメージで12時間ちかくかかって行くのです。
まったく、よくそのようなエネルギーがあったものです。デッキから見る島々には何かロマンを感じ、うっすらとした島には興味がわきます。
沖縄の島々はもちろんのこと、海外の島まで足を延ばしました。
今年の四月、天皇皇后両陛下が、元日本の植民地で太平洋戦争の激戦地だったパラオ共和国を訪問し、元日本兵や遺族も見守る中、日本の慰霊碑だけではなく、アメリカ軍の慰霊碑にも献花されました。そのときの「このパラオの地において、私どもは、先の戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、その遺族の歩んできた困難の道をしのびたいと思います」というお言葉を聞き、思わず胸が熱くなりました。
私がパラオへの旅をしたのはまだ10代のころです。美しい海、砂浜、夜は星が輝き、ホテルもない島での滞在はアメリカ軍の官舎のような建物に宿泊ができました。女性はまだ腰に布を巻くだけ。外国人は私とアメリカからの20代の女性だけ。グアムから週2便ある飛行機で行きました。その前にはサイパンにも何度か訪ね、チャモロ人、カナカ人の友人もできました。深い戦争の爪痕も残っていました。
パラオの周りには美しい島々があります。マップ・ヤップ島。小船で連れて行っていただきました。夜になると村の長老が焚き火をおこし、かつて自分たちの先祖が星明かりをたよりにカヌーで島に渡ってきたこと・・・などを語り聞かせてくれるのです。涙がでるほどの美しさです。そして、朝、澄んだ向こうに見える無人島を眺めていると『あ~この先の島にも行きたいな!』と思ったものです。
そんな思い出の島々。今回『秘島図鑑』(河出書房新社)をお書きになった清水浩史さんは、それを実現なさっておられるのです。帯には「本邦初の”行けない島”ガイドブック」遠く離れた小さな島々から、今の日本が見えてくる!!と書かれています。
清水さんは、1971年生まれ。早稲田大学在学中は、早大水中クラブに所属。ダイビングインストラクター免許を取得し、今も国内外の海と島の旅を続けています。テレビ局勤務を経て、東京大学院(環境学)博士課程中退。現在は編集者、ライターとして活躍しておられます。
「私の行けない秘島」のお話を伺いたい!とラジオのゲストにお招きいたしました。数々の文献を読み込み、美しい部分だけではない、南亜黄島など漂流して生き抜いた人や、アホウドリ捕獲のため撲殺があり環境破壊してしまって無人島になってしまった島。沖大東島(ラサ島)は、60年近く米軍の射爆撃場になっていたこと。その歴史や生活、かつて営まれていた人々のドラマ。清水さんが「秘島図鑑」で掘りおこしてくれました。
西乃島は、噴火で今なお成長中。見守りたくなります。 『地球』という星に生きている私たち。地球という星が生き物であり、今も変化し続けています。 そのことをふまえて「秘島」を見ると、旅の愉しみもさらに深くなるのでしょうね。
『この先にはもう行けない!でも行きたい!』そんな55年近く前の思いを叶えてくれた一冊でした。
放送日10月18日(日曜)10時半~11時
文化放送「浜美枝のいつかあなたと」
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「秘島図鑑」への2件のフィードバック

  1. 浜美枝さま
    『秘島図鑑』の清水です。
    先日はお招きいただきまして、ありがとうございました。
    収録前までは緊張していたのですが、浜さんのお心遣いで
    楽しく過ごすことができました。
    スタジオなのに、本当のリビングルームにいるような
    緩やかな気持ちになれました。
    これは、旅を愛する浜さんの大らかさが、
    スタジオに滲んでいたためだと、感じ入ったしだいです。
    浜さんのお話を伺いながら、
    50年前のトカラには、どんな風景が広がっていたんだろう・・・と、
    私自身「遠くを旅している」ような気持ちになりました。
    これからも番組を楽しみにしています。
    このたびは貴重な機会をいただきまして、
    本当にありがとうございました。
    清水浩史

  2. 清水浩史様
    ご丁寧なご挨拶ありがとうございました。
    おかげさまで、素敵なお話を伺うことができました。
    『旅好き』はお互いにそうですね。
    清水さんのお話は”うらやましい~”と心底思いました。
    人生は旅・・・とよく言われますが、私も清水さん同様
    旅から賜った数々は人生の宝ものだと思っております。
    これからもできる限り旅は続けてまいりたいと思います。
    とくに、国内をもっとくまなく歩きたいです。
    なんとなく虫のすだく声に秋の深まりを感じます。
    お風邪などお召しになりませんようご自愛くださいませ。
    浜 美枝

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